In 理念浸透

 

 

経営理念について日経BP社から取材を受け、日経トップリーダー2019年8月号に記事が掲載されました。日経トップリーダーは、経営者をターゲットとして発行されている4万5000部発行の月刊誌です。特集内容は、「経営理念をアップデートせよ」サブタイトルは、「”経営者の覚悟”を示すのはもう古い」です。そのまま持論をサブタイトルにして頂きましたが、主に特集の骨子の所で取材を受けましたので、掲載記事も特集巻頭にして頂きました。

サブタイトルも含め、2度に渡って丁寧に取材して頂いて、私が平素から力説させて頂いている言葉をそのまま使ってプロの方に文章にして頂いたので、とても判り易いページとなりました。定期購読の雑誌ですが、よろしければぜひご一読下さい。

https://nvc.nikkeibp.co.jp/mag/index.html

経営理念をアップデートせよ「経営者の覚悟」を示すのはもう古い

簡単に内容をまとめておきます。要は時代が変わって社員一丸で月つ済むのではなく、多様な価値観を持った人と共に働く指針とする為には、経営者の覚悟的な経営李根では、共感しにくい。変化に合わせて社員が共感できる、そして行動につながる経営理念に刷新させては?という主旨になります。これをお伝えする為に以下の5つの項目をあげて、それをサポートする実際の企業事例があげられて行く特集となっています。

  1. 経営理念の主体は「社員」 私たちはという言葉は有効です
  2. 行動指針に落とし込む 具体的な行動につながるものが重要
  3. 環境が変化すれば変える  環境が変化したら恐れず変えてしまう事
  4. 全社員でつくり、共感を促す 共に創る事で生まれる共感は唱和などより遥かに効果的
  5. 名詞よりも、動詞で表現する 「誠実」「感謝」などの名詞より行動を示す動詞で表現する

ここからは、実際に雑誌でサポートできない事例についてご紹介します。弊社ピグマリオンが、過去2年間で経営理念の書き換えを行ったのは、2社です。本年度は大掛かりな経営理念再リニューアルという大型のプロジェクトが進行中です。

創る過程で組織エンゲージメントが高まる

弊社事例の1社目は全社員ではありませんでしたが、かなりの人数を集めて経営者が定義したミッションに対してビジョンと行動指針を作成しました。ここで、かなりこれまでの自身の理念に関する研究の裏付けを取る事ができました。もう1社は、海外本社の為英語版だったものを、日本支社で日本語化するという事を全社員参加で行いました。

弊社の経営理念刷新は、共感を呼ぶ為に全社員またはできるだけ多くの社員の方と「共に創る」事を非常に重要な事としていますが、それは、2つの理由からです。一つ目の理由は、理念浸透へは「理念への共感」という要素に着目するのが、もっとも効果的というデータを持っている為です。2つ目の理由は、共に考える事で組織へのエンゲージメントレベルが高まり、仕事のモチベーションが上がる為です。仕事へのモチベーションが高まったのかどうかは、「会社への期待」という設問で判断しています。

実際に理念リニューアルの研修を複数回実施て行くと約30%組織への期待が高まって行きます。これまで2年間の理念刷新研修の回数で言いますと人数が多いので14-15回ですが、1社目の平均が126.7%、2社目の平均が127.8%です。この数字は以下のようにアンケートで会社への期待を10点満点で研修前(WSはワークショップ)と研修後にお聞きたものです。実は統計的に採用できない異常値を削除すると140%程度まで上がる事もあります。これは、あまりにワークショップが楽しく研修終了後アンケートにすべて10点をつけてしまわれる方が後を絶たない為ですが、現在はその数値も最初から期待が10として採用しているので、130%前後で推移しています。

以下はある会社の研修アンケートの数字です。研修前をバリューを英語から日本語に直した1度目の研修、2度目の研修は出来上がった日本語の経営理念に関連付けて個人のビジョン・バリューを作り、仕事の意義を見直し更に組織エンゲージメントを高めています。

また、別の方法としてもっと多様性を活かしたい、個々の力を結集したいという場合は、最初に個人の強みや仕事で目指すべき価値観(理想・判断基準・最優先事項)を明らかにして、まさに上から下でなく下から上に創り上げるという手法を使う場合もあります。そのような手法で、ますます、経営理念の主体が社員という所に近づいてゆくのです。

こちらの写真は、今期15回を予定している「新しい仕事の仕方」をはじめる為の理念研修の模様ですが、まさにみなさんと一緒に考えて行くのです。

そして、その共に創り上げる経験は記憶に残る楽しいものでなければならないと私は考えています。もし、今の経営理念が現在の事業環境にあわない、社員のベクトル合わせにも、モチベーションアップにも使えないとお感じなら、現場で使える経営理念を是非、ともに作り上げるという事に挑戦されてみてください。

その他の経営理念に関する情報

経営理念の話をはじめると、まさに経営理念オタクでございますので、とても長くなってしまいます。その他の企業事例は、弊社ブログの「理念浸透」カテゴリーをクリックして頂くとずらっと出てまいります。なぜ理念の共感が必要なのか、そもそも良い経営理念とは何かなど、盛沢山です。お問合せはいつでもホームページのお問合せからお気軽にどうぞ。また、導入事例の以下の企業をご覧ください。

ベースになる考え方は、明治大学専門職大学院で発表した私の論文、『「理念への共感」に着目した経営理念浸透』で網羅されています。先行研究からの気づきとして発表した「2000年あたりを境にして経営理念の学術的な定義も経営者のものという定義から組織体のものに変わってたというエビデンス、またある企業の経営理念に関する大規模アンケートによる共感の重要性を重回帰分析で示したデータなどは、学術論文で読みにくいとは思いますが、こちらをご覧ください。

日本サード・パーティ株式会社~経営理念リニューアル

経営理念(バリュー)日本語化プロジェクト

経営理念浸透ワークショップ~個人の成長と個人のビジョン

 

明治大学専門職大学院査読付き論集

2018年度の第10号論説集です。

https://www.meiji.ac.jp/mbs/journal/journal.html