MR質問箱

「先生に会えない時代」の面談どうする?
MR研修参加者のよくある質問をまとめました。

価値共創型MR

「時間作ったんだから、早く用件言って!」という場合、私なら、すぐに話しはじめて、途中でインタラクティブなやり取りを試みます。しかし、結局、一方的に話す形で終わったときは、価値共創は成功しませんし、売上にもなりません。私はお客様を選べるので、そういう時は、「ご興味がないようでしたら、今日はこの辺で」と商談を打ち切りますが、みなさんは、そんなことできませんので正解が難しい質問ですね。できるだけ先生に患者さんを想起して頂くような質問も用意しておくのはどうでしょうか?

※価値共創型MRとは弊社の造語で、提案型MRの一歩上をいく、先生と共に価値を生み出せるMRのことをいっています。

お客様自身もまだ気づいていない課題に「気づかせるように導く」為の仮説は、私は最近は立てないようにしています。なぜなら価値共創にならず、お客様との深い関係を作れないためです。また、そもそも「気づかせる」という営業の世界で使う言葉も、傲慢な感じがして好きではありません。英語の文型で言うと第5文型という形です。〇〇に〇〇させるというやつです。それより、「一緒に考えさせて頂いて」結果的に、あっ!そうだね!という点を探して行くのが、私の理解する先生のインサイトを探るであり、インサイトを引き出すということだと考えています。

仮説を立てるのが悪いとは思いません。ただ、先生と難しい話になったら怖い、ちゃんと返事ができなかったら困るという背景で、仮説を立てるのが癖になっているMRの方が非常に多いと感じます。なぜなら、このインサイトを探る為に事前に仮説を立てているのですが上手く話が進みませんという質問が非常に多いからです。そんな仮説は、先生に思惑どおりの患者さんがいなかったり、ご興味がなかったりすれば簡単に崩壊します。また、仮説に強引に持ち込んで、会話が弾むとも思えません。エビデンスは持参しても、仮説は持参しなくて良いと思います。

※価値共創型MRとは弊社の造語で、提案型MRの一歩上をいく、先生と共に価値を生み出せるMRのことをいっています。

 

基本的にGL違反にならないように価値共創するということで納得してしまえば、受講された各MRの方々をみると、特にそこが問題にはなっていないようです。

たとえば、「一緒に治療実績を積み重ねる」はOKですが、「一緒に適応拡大の可能性を探る」はNGなどです。
これは、実際に私が間違えて使って指摘された例文です。効能外NGというやつですね。つまりGL遵守が使命ですので、なんでもかんでも共創すれば良いという分けではありません。

ただ、研修の中でご紹介している価値共創のプロセスで言えば、先生と共に患者さんのことを考えた結果、共に良いと思う成果が生みだされ最終的に「先生のパートナーになる」というサイクルは、多くの製薬会社で言うところの患者さん中心、Patient Centric、Patient Centricity、”A” Patient活動、など様々な言い方をされて目指すところと完全一致しています。そして、研修をする中で多くのMRの方は、なぜそのようなスローガンを会社が掲げているのか、ようやく判ったというようなコメントをされます。そうです、そこを目指さなければ、生き残れないからです。

DXが進み先生もうっかりすると、こちらと同じぐらいの情報をすでに持っている状態では、MRの存在価値がなくなってしまうからです。だから、患者さんを一緒に思い浮かべて、その治療について共に考えるMRを目指して頂きたいのです。プライマリーでは難しいと感じるかも知れませんが、逆に言えば今、希少疾病や特殊な病気の製剤を扱っているなら、マストもマスト、今すぐ「先生お困りごとはないですか?」というこれまでのスタイルを転換する必要があります。

AIが進化して、営業不要論なども一部にはでてきています。そのような時代に優れた成果を出す営業として生き残る為には、人でしか出来ないことをする必要があります。その購買プロセス、決定プロセスにもお客様にとって「楽しい」「嬉しい」「驚いた」などの刺激を「経験」「体験」として差し上げるのが重要だという考え方です。先生に「今日も楽しかったな、〇〇くんとの面談は」と思って頂くのは嬉しいことですが、ただただ、面白いことを言ってウケた楽しさではなく、短い時間であったもプロフェッショナル同士の火花を散らすような会話のやり取りの楽しさ、その楽しい経験を最終的に目指して頂ければ、「顧客のメリット」という点を実感して頂けると思います。

キーワードは、少しむずかしいのですが、「顧客経験価値」です。
マッキンゼーのレポートのタイトルにある「顧客体験はプロダクトに勝る」です。

つまりどのような優れた商品・サービスであっても、お客様が実際に営業と共に体験したという経験には勝てないよという考え方です。つまりお客様にとっての価値共創のメリットとは、My MRくんでは体験できないあなたとの共に患者様、そのご家族様のことを想い考えた「経験」です。そこで感じた「ああ、そうだね!」という「アハ!」体験です。

因みに、私の研修もお客様と一緒に作っています。担当の方に何度か面談させて頂いて「エリア特性は、どうなんだろうか?」「それぞれの皆さんが、困っていることはなんだろうか?」「どうすれば、それが解決できるのだろうか?」ということをお聞きしています。「あっ、そうですね!じゃあここはこうかも!」という体験を一緒にさせて頂いています。だから、研修自体が恐ろしい勢いで毎回変わります。

 

あるひとりの患者さんを思い描いて、その患者さんについて一緒に考えるのが良いと思います。「患者さんを想起する」これが大切。患者さんがいない場合は、特にまだ見ぬ患者さんについて先生と語り合う必要があると感じています。できるだけ具体的に40代女性〇〇病に罹患して3ヶ月、症状は〇〇、中等症バイオ製剤投与中」など、その病気の患者さんがいるかいないか(薬が売れるのか売れないのか)を聞くのではなく、お忙しい先生には申し訳なくとも一緒に考えさせて頂く為に、できるだけ具体的に聞いて下さい。

この患者さんを思い描きながら先生と未来を語り合うのがAIが発達してもMRという職業がなくならないと私が思う最たる部分ですので、これが出来ないとこれからのMRは困るわけです。多くの製薬会社は、すでにこの方向性に舵を切っていて、「患者さん中心」「Patient Centric」「A-Patient活動」「Patient Journey」というゴールを掲げています。

効果的なDTL/伝え方

印象に残る長さということで言えば、文字数で20文字以内です。短く・判りやすく・エッジのたった言葉を選ぶのが大切です。私の研修でも、短く・判りやすく、エッジのたった言葉・写真(ちょっと他はみないような写真なども)を使っていくことを心がけています。もっと知りたい場合は、引退したジャパネットの高田社長の本、「伝えることから始めよう」を読まれると良いと思います。

研修の中で、先生に信頼して頂くひとつの手法として、戦略的に自分の専門性と人間性を定義しておくこと。その専門性を伝える際は「ちら見せ」すると良いというお話をしたところ、このような質問を頂きました。この方は次のように質問を続けています。

「MRにとっての専門性とは、権威ある施設を担当した経歴や計画達成をした数でしょうか?ただ、これらは対社内向けのような気がします。 対先生(医師)への専門性と考えると担当してきた領域などでしょうか?対医師向けの専門性で思いつくことがあれば教えてください。」

これについては、いろいろ思いつきますが、たとえば、自分の経歴の中でたまたますごい先生と係わったことはありませんか?「私も〇〇地方時代に、〇〇医大の〇〇教授(すごい有名な先生)にしごかれておりまして」
みたいなフレーズをちょっと重要な局面でちらみせするのも、ひとつです。

また、「パーキンソンに関する論文を年間100本以上読むのを今、5年継続していますが、まだまだ勉強不足で先生には鍛えて頂きたいのですが」とか、「うつ病に関するお役立ちメルマガを毎日配信しており、すでに〇〇施設xxxx人のドクターに喜んで頂いています」というようなことです。

自分のことだけでなく、会社としての専門性や会社としての能力もちら見せすることができます。「手前味噌ですが、弊社〇〇領域には毎年〇〇万ドル研究開発費をつぎ込んでおりますので・・・」とか「弊社も医薬品を提供して今年で90年でございますので」とかです。これを、どのように嫌味なく相手に伝えるのがベストなのかの練習もしておいて下さい。

私は、製薬会社さんの研修を引き受けると、まずは主力製品の製品名と一般名と効果効能、禁忌、発売開始日などを確認して、つぎに競合の製品を調べて行きます。製品名をずっと使いながら、みなさんとの質疑応答などのやり取りの中で一度だけ、長い長い一般名をスラスラ言ったりすると、みなさんの印象に残りませんか?ひとつ手の内を見せてしまいましたが、他にも沢山研修内でのしかけをしています。商談も同じです。

そのまま使って安全性と有効性をGL遵守で説明したら15分はかかりそうな資材が殆どですよね。みなさんに出来ることはなんでしょうか?

ルールだからと2度めの商談でまた同じ資材で説明していませんか?同じものを出されて同じ順序で説明されたら、3度目のアポが取れなくなりますよ。また、先生に説明するときにスライド出さないと落ち着かないのか、目次(アジェンダ)のページを表示しっぱなしにして話していたりしませんか?そのようにGLやコードのルールを守りながら、出来ることを改善するだけでも、効果があると思います。また、中身は変えられなくても、最初の15秒と最後の30秒を工夫したほうが良い結果になります。

講師として私が心がけているのは、みなさんには全く応用できませんが、1スライド1メッセージです。また何かを伝える時に「写真」で表現します。皆さんのパワポは字がびっしりで、下手をすると4分割でグラフが4つのようになっています。他業種に比べても、なかなかない形です。一番近いのが官庁系のパワポですね。ちなみにIT系は30枚などやたら枚数が多いです。私のパワポはスカスカです。その代わりハンドアウトはびっしりの時もあります。手元資料を別に添付する、もしくはお渡ししてポイントを話すというイメージです。

あります、だいたい1分間に300字程度です。10秒で50字ですね。私は結構10秒50字、ちょうどぐらいです。
ただし、私の場合、同じ10秒50文字でも、みなさんが飽きずに聞けるように緩急をものすごくつけていますので、ちょっと普通は違うかも知れません。早口でも緩急、いわゆる抑揚がしっかりしていると分かりにくいということはないので、駄目ではありません、相手の様子が伺えない電話で早口になると、いいことないですよ。電話をする前に自分の前に鏡を置いて笑顔を創りながら話をすると、対面で話すときの間に近くなるので、おすすめです!

効果的なDTL/聴き方

みなさんは、KOLドクターやキークライアントが決まっているので、できるだけ祈って(SOV)帰って来るのではなく、軽めクロージングまでは行ったほうがいいと思います。逆に、相手に変化が見られないのは、それまでの面談の過程で何か上手く行っていないからかも知れません。共感が足りなかった、途中で(研修内でいうとオウムとカエルのところで)話しが十分はずんでいなかった・先生の価値観を十分聞けていなかった・心を動かすトークで未来を見せていなかったなど、面談の過程で自分の力不足がなかったかどうか点検して下さい。

話を弾ませ相手との距離を縮める「言い換えトーク(研修内ではオウムとカエルトーク)」は、短い時間で面談を垂直立ち上げして、インサイトを探るプロセスに入る為には必須のスキルです。でも、明らかに答えるのが面倒だから、「そうだよ」と先生が合意されているパターンは難しいですよね。

結論は、小さな石を積み重ねるです。野球であればホームランではなく、バントで進みます。相手が先生ですので、立場をわきまえつつ試して頂きたいのですが、私の場合は「そうだとしたら、〇〇ですよね」「そうだとしたら、この場合はいかがですか」的に私は、その小さな合意をつなげていきます。応酬話法というのとも異なります。そんな反論をいちいちしていたら、相手の本音(みなさんで言うところの先生のインサイト)は見つけられないからです。その小さな合意を積み重ねた後、「先程〇〇と先生おっしゃいましたが」という方法で少し間をあけてつなげてみて下さい。適切な質問ができるかできないかは、スキルですので、ある程度実践をつんでいくことが必要です。

私は、そのような場合はプロセスを見直すか、ちょっと強気に出るかのどちらかです。

良く顧客を4つのタイプに分類せよとか言いますが、大前提として、先生に合わせて、先生をよく見て、「いかにして心地よくお話し頂くか?」を考えるのが重要です。

話が弾まないときは、まずプロセスの頭に戻って「共感が弱かったかも」、またはその次のプロセスの「話しをオウムとカエルで弾ませる」のが弱いまま、価値観を聞いてしまったかもと、少し前のプロセスに戻って、「反省」するようにしています。

また、本当に「オタクの研修はどんなものがあるの?(早く話せよ、忙しいんだから)」的なお客様や共創して新たなものを作る気持ちのないお客様は、こちらからお断りしてしまうので、あまりそのような目に会うことはありません。

昔読んだ神田昌典さんの書籍「非常識な成功法則」で、彼がとてつもない大きな商談を決めたコツは、「興味がなさそうですね」と商談途中でノートを閉じて他に話しを持って行きますと帰り支度をはじめたことだと書いてありました。

「突破せよ!」を出版する時、医薬経済社に電話した際にその手法を使いました。なんのご縁もない医薬経済に飛び込みで電話をして、電話を出た人が面倒くさいというような感じだったので、「ご興味なければお断り頂いて結構ですが、このまま東洋経済さんにこの企画持ち込みます」とちょっとだけ(かなり)強気にでまして、すぐに提案書が社長まで行き4日で出版が決まりました。

同じところを回る、ルートセールスであるみなさんには、難しいと思いますが、そのような時に「先生この件については、あまりご興味ございませんか?できれば私もお忙しい先生のご興味のあることに絞ってお話しさせて頂きたいのですが」というような失礼なことを言う前(または後ろ)のクッション言葉、「私は、先生とご一緒に〇〇病の患者さんに笑顔の戻る生活をサポートさせていただきたいのです」などのボキャブラリーをそういう先生には用意しておかれても良いかもしれません。

「と仰いますと?」の方がご自身が流れが良いと感じる場合、そこを無理に変える必要はないと思います。私も相手が発言して自分に有利なことだと、わざわざ「今、〇〇様、XXXとおっしゃいましたが、それはつまり?」などど、わざと使うことがあります。

ただ、大丈夫だと思いますが、研修の中で価値観を掘り下げるという話しを聴き「掘り下げ質問」という言葉で「と仰いますと」という言葉が即浮かんだのでしたら、ちょっと補足があります。

私がもっと猛々しい営業をしていた20年以上前に流行った提案型営業の手法で「顧客に課題を気づかせる」というのがありました。その手法では、よく相手にしゃべらせる魔法の言葉として「とおっしゃいますと」で掘りさげなさいと言われました。この考え方ですと「お困り事」の掘りさげになるので、私の考える「価値共創型」、一緒にお客様と考えるゴールまでたどり着けないので注意が必要です。

書籍では、P20の「使役言葉」を脳内変換というところで、製薬業界にまん延する1980年代のアメリカで開発された営業スキルとして言及しています。

相手に「良く聴いてもらっているなぁ」と感じてもらっている効果を検証するには、いったんご友人かご家族でなにか一つの話題を選んで、「と言うと?」(「と仰いますと?」)で返す時と、「つまり、そういう風に感じているだね」で返した時の反応の違いを比べると面白いかもしれません。どちらも、良く聞いてもらったと感じることと思いますが、後者の方が、相手の立場にたって一生懸命考えないと出てこないので、その分「聞いてもらった~」となるのではないでしょうか?ぜひ実験をしてみて下さい。

これは、研修内の演習で先生に禁忌を聞かれた際に、禁忌を答えただけでは、ただの御用聞きになりますので、そこから会話を広げて先生の価値観(理想・判断基準・最優先事項)のひとつでも聞き出すようにして下さいとお伝えしたことに対する質問ですね。参考例をひとつご紹介します。

はい、〇〇の禁忌は〇〇と〇〇です。
先生、対象の患者さまがいらっしゃいましたか?(なぜ聞いてくれたのか?)
ドクターの答えを待って、、、私共も、この製品をまだご自身の病気に気づいていない多くの患者さんに
お届けしたいと考えておりますが(クッション言葉)、先生は〇〇の患者の疾患啓発には、どのようなことが大切だとお考えですか?(掘りさげ質問)

と展開します。禁忌を聞かれて〇〇と〇〇ですとだけ答えた時とは、情報量が雲泥の差です。みなさんも良い展開をぜひ考えてみて下さい。

まず、ひとつ手法としてお伝えしたいのが、そういう人も考えている可能性があると信じて、こちらも口を閉じてみることを試すことです。人は考えをまとめるまでに平均12秒かかるそうです。そういう先生だと、どうしよう、どうしようと焦ってこちらから話そうとすると、相手の考えは判らないままです。うちの息子が病気?というほど親に似ずに引っ込み思案というか、控えな性格で彼と話す時は、私のペースでは絶対口を開きません。このように人にはタイプがあるので、その場合ちょっと待つというのもひとつの手段になります。

排他的な先生というのは、世の中すべてに対して拒否なのでしょうか?それともMRにだけ排他的なのでしょうか?先生にもご友人やご家族もいらっしゃると思いますので、思い切って会話でジャブ(試し打ち)をしてみて下さい。そして、会話の最後にパーソナルタッチをしてみて、次回のきっかけを探ることも有効だと思います。

価値観とは、理想・判断基準・最優先事項などをさしています。さて、大切にしていることですが、無理なくお話頂けるように、クッション言葉を工夫することがまずひとつ。

  • クッション言葉:この病気の患者さんのQOLを上げるサポートを私もさせて頂きたいのですが
  • 価値観掘下げ:この疾患の治療で先生がもっとも大切だと思われることは、どのようなことですか

また、掘り下げるだけ掘下げたつもりで、実は会話が広がりすぎないようにコントロールすることも大切に思います。いわゆるとっ散らかった状態にならないような注意です。ただし、お客様が(みなさんの場合先生が)最初に言ったことが一番重要とは限らないので、あるところまでメモを取りながら聞いたら、「〇〇と〇〇と〇〇ですね。この中で・・・」と自分なら、小さくまとめて、またそこからお話を伺って掘下げていきます。

注意点は、あまり早いうちに、ひとつのことを掘下げないということでしょうか?

オンライン面談

上司はアポを取る時に「上のものが先生のお話しを是非直接お聞きしたいと」と利用しておいて、実際の面談では、自分がメインでお話ししましょう。その方が、自分自身も成長できますし、先生と最後までやり取りするのは、自分自身ですから、先生との関係ということでもメリットがあります。いつも上司が話すのは、おそらくあなたが話さないからです。

上司にとっても、そこでどうしても一症例欲しいというようなKOLの先生でもない限り、あなたの話しを横で「冷静に聞いて」大事なところでサポートしようと考えているはずです。だから、面談前にどちらがメインで話すか上司の方と作戦を練り、遠慮しないで話ましょう!
オンライン面談については、ものすごく簡単に言うと「声が命」ということと、「映えと盛り」が大事です。

まずは、手振り(ジェスチャー)を多く使うことです。人は動くものを追いかけるためです。そのために、オンラインの場合でも私は画角を若干引き気味にして、必ず手も映るようにしています。手の向きによっても、相手に与える印象は変わります。手の平を見せると「あなたを受け入れていますよ」のサイン。手の甲を見えて抑えるような動作をすると「断定します」の動作です。

表情は、私は好奇心全開でオーバーリアクション、かなり派手にくるくる表情を変えています。プレリードックという動物に似ています。草原で背筋を伸ばして目をキョロキョロする小動物です。お客様に「興味があります!」という事を身体全体で表現するイメージです。もちろん、これは個人差もありますし、学術的なエビデンスの話をする際は、抑えめなど工夫が必要だと思います。

また、男性には全く役に立たない話ですが、マスクの場合の対策で美しく、しっかりと眉がかけるアイブロウなど化粧品を変えました。最近は、男性も専門のサロンで眉を整える方が増えているようですよ。

スライドを映しっぱなしにするのは、本当にやめた方がいいです。スライドを映しっぱなしにすると相手の画面が小さくなって、本当に相手が考えていることや微妙な心の変化をつかめなくなります。

また、文字がいっぱい詰まったスライドで重要な所が赤字のもの(しかも真っ赤な赤)などもできたらやめた方が良いでしょう。こういうスライドをお使いのところが本当に多いのです。

私は赤・青・黄色の原色は危険色と言われ相手に良い印象を与えないので、重要な所で赤字にしたい場合でも、くすんだエンジっぽい赤しか使いません。ただし、PPTの資材は、MRさんは順序すらも変えることができない場合も多いと思いますので、臨機応変でお願いします。

クロージングのコツ

テストクロージングというのは、お客様が興味があるのかないのか、途中で試しに聞いてみることを言います。セミクロージングという言い方もします。私の場合は、「仮にこの研修を導入されるとすると何月ぐらいがベストですか?」とか「ご予算をいったん脇においたとするば、現時点で〇〇様はこの研修を導入されたいとお考えですか?」など多くのバリエーションがあります。ご自身でも例文をいくつか考えておいて下さいね。

アンメットメディカルニーズを解決する会社の方向性からすれば、今後その狭い部分で勝負することが多くなると思います。その際に、仮説を立てすぎない方がいいよと質疑応答でも答えています。あくまで私見ですが、あまり狭い所にこだわらなくてもいいと考えています。先生の価値観(理想・判断基準・最優先事項)を引き出す質問をしたり、そこから先生のインサイトを引き出す方が重要ではないでしょうか?毎回「先生、〇〇病の中等症の成人の患者さんいらっしゃいますか?」という入り方で、「その患者さん、いま、いないよ」という展開では、先へ進めなくなったりしますよね。もちろん大切な1DTLですので、そのような場合も大切な1DTLを無駄にしないように、先生の価値観(理想・判断基準・最優先事項)を「そうですか、失礼しました。でも、先生せっかくご診断事例を豊富にお持ちの先生とお話できたので、ぜひ伺いたいのですが、先生は、〇〇病の治療において、どのような点を重視されておられますか?」みたいなトークで、切り込んで頂きたいです。

ぜんぜん駄目ですね。私なら、クロージングでYesだったら、何例使って頂けるのか、薬局にまずどの容量を何本入れるのかなど詳細をお聞きします。大病院だったら、薬剤部にはどのようにつなぐのかとか、詳細を決めることはたくさんあるかと思います。

「おうちに帰るまでが遠足です」。Yesをもらっただけでは、売上伸びません。そこからの勝負も勝ち抜いて下さい。コロナでの新薬上市は、採用はされるけど、処方が伸びないという話を良く聞きますが、言い訳です。毎日会えていた時と同じように、次の訪問で使用感を伺おうなんて、ゆっくり考えているから進まないのでは?と、「私は」いじわるなので考えてしまいます。新しい時代はスピードが大事です。特に大病院の場合、以前のように翌日また行くということはできません。その場でできるだけ話しを進めてください。

せっかく頂いた時間が独り相撲ような状態で終わるのは辛いですよね。でも、そもそも、相手に変化が見られないのは、先生の性格のせいでも、製品力のせいでもありません。自分のクロージングプロセスにおいて、どこかにボトルネックはなかったでしょうか?共感が足りなかった?やり取り力、話を弾ませる会話(研修ではオウムとカエルのところ)で話しが十分はずんでいなかった?先生の価値観(理想・判断基準・最優先事項)を十分聞けていなかった?心を動かすトークで未来を見せていなかった?など、面談の過程で自分の力不足がなかったかどうか点検してみて下さい。

みなさんは実際に製品を販売するわけではありませんが、エスキモーに氷を売れるのが真の自立した営業です。私ですか?へぇというところにも仕事に行きますよ。研修会社に営業研修を販売したり、コンサルに入ったりしていますが、これなど、エスキモーに氷的な販売ですね。

もう判ります!私が、そうだったので。また、私の場合、余裕のある時はできても、たとえば競合で強いのがでてきたりして、自分が焦ると余計にクロージングが強くなります。そもそも、説得しようとか思わない方が結果はいいですよね。

私の前職はFranklinCovey社という世界的に有名なコンサル・研修会社で、そこで12年間研修の営業をしていたのですが、なかでも痛い思い出は、興味があると言われて伺ったお客様のところで、お客様の想いやお考えも良く聞かないで、早めで強めのクロージングをかけてしまい、「ちょっと、FranklinCoveyなんだから、そんなにがっつかないでよ!」とお叱りと受けたことです。もうその時の応接室、光の入り具合、すべて思い出せるほど強烈に恥ずかしい経験でした。穴があったら、入りたいどころではなく、穴を掘りまくって地球の反対側まで行きたい気分でした。

みなさんの場合お忙しい先生相手で焦る気持ちもあると思いますが、クロージングの確率をあげたいと思うならば、急がば回れ。テストクロージングは、本当に軽くから始めたほうがお得だと思います。さじ加減を練習してみて下さい。言い方も大事です、未来を一緒にのぞいてみましょう。もう一度言いますが、大事なのはSOVではなく、毎回きちんとクロージングをかけること、いきなりかけるより、テストクロージングでワンクッションがお得です。

信頼関係構築

私の自分ブランディングを選ぶ基準は、儲かるか儲からないかです。また、私の営業の基本姿勢が、「お客様に心地よくお過ごし頂く」ということですので、もう少し配慮した言い方をすると「お客様が心地よいか、心地よくないか」が基準です。
みなさんの場合は、こういう人に見えた方が、「処方頂けるか、頂けないか?」が基準になるのではないでしょうか?第3者ではなく、自分で決めた「こう見えた方が儲かるはず」という定義です。

短い時間で相手との関係性を構築するためには、戦略的に自分をどのように魅せるかという「自分ブランディング」が重要です。自分の能力をどのように見せたいのか?自分の人間性をどのように見せたいのか、わけて考えるのを研修ないではおすすめしました。特に営業であれば意識したい点というのは、それぞれの方の個性もあるのでマストの部分はありませんが、自分だったら「どんな営業から買いたいか?」というのは、ひとつの基準になると思います。また、留意すべき点としては、会社が組織として、戦略的に自分たちが、どう見えた方が良いかということを、決めて公にしていると思います。経営理念とか、ミッション・ビジョン・バリューとか、パーパスとか言うものです。所属組織の方針などもあるかも知れません。「患者さんによりそうMR」のようなスローガンかも知れません。そのような組織におけるビジネスの優先順位であったり、企業の価値観だったりに基づいて決めると尚良いと思います。

「チラ見せ」です。初対面でも信頼関係を一気に構築できるように自分をどのように魅せるかのブランディングをしたら、それを言いたくなるかも知れません、パワーポイントのトップページに自己紹介とか付け加えたくなるかも知れません。でも、これNGです。実はあえて発信はしません。効果的な使い方はチラ見せです。トークの中に織り込むのが癖になっています。アンケートにも、「他社含む〇〇〇〇名を超えるMRの方に同様の研修を行っていると考えると末恐ろしく」なったので、自分を磨きます!というような事を書いてくださった方がいらっしゃいましたが、これも、自分の営業の癖でうっかり研修内でも言ってしまっただけで、脅かしてすみません。累計なのでたいしたことはありません。

その先輩の言うように、短い自己紹介の中でそれが表現出来たらいいですね。でも、親が〇〇病だったのでとか自己紹介では重すぎる場合もありますよね。また、おっしゃるようにすでにお付き合いのある先生には、そこからあえて「自分がMRになったきっかけの話」などし始めたら、殴られそう。(笑)結局自分のことを長く話すことは、相手に取っても負担なので、私は自分のことは最小限、あくまでそいう事は、商談中にチラチラと織り込みます。もともとドクターは、患者様の役に立ちたいので、患者さん以外に使う無駄な時間を恐れているとも言えます。私は、自分のことを、どのように話すかということよりも、その人に響く熱意を工夫して事前に仕込むという事前準備をしています。そのお客様にどのくらい好奇心を持っているかは、結構伝わるものだからです。みなさんの業界だと、小さなことでも熱意は伝わるので、研修をするその会社の製剤だけでなく、競合が何社あって、その薬はなんという名前で、それぞれどのような特徴や適応があるのかまで調べておいて、ここ大事なのですが「必要に応じて」使います。殆どの場合、それらの情報は使われずに終わりますが、その一瞬のやりとりで、深く相手を調べているのが伝わると、「熱意」が伝わることが多いです。

アイスブレークのパーソナル・タッチは、できるだけ短くを意識しています。「早くはじめろ」と思われたくないからです。対話後は、一言投げて戻ってくれば時間を気にせずやり取りしますが、デメリットになった記憶はないです。つまりパーソナルなことに少し触れてみて相手との距離を縮めるパーソナル・タッチは対話のはじめより、対話後の方がみなさんの場合より効果的だと思います。

もちろん閉口一番「先生!今日も輝いていますね!」というような超絶短いパーソナルなるなことに触れるのは良いと思いますが、ここで言うパーソナル・タッチは、もう少し展開したい場合です。「先生、今日もロジカルなお話ありがとうございました、私も先生のようなお話の仕方学びたいです、どのような学びが先生のようなお話の仕方に近づくのですか?」とか「おすすめの書籍などありますか?」など普通の話から「今日の先生の〇〇病のお話とても深くで感動しました、先生は学生時代からこの疾患にご興味を持たれていたのですか?」的な話など、ちょっと深掘りするパーソナル・タッチの話です。

はい、私は必ずメールにも、最後にパーソナルタッチを入れて感情を表現するようにしています。相手の個人的なことに「今日の〇〇のお話、ものすごく楽しかったです」というようなものから、「〇〇様のロジカルなお話ってぷり、今日も素晴らしく、キレキレのトークのやり取りを楽しませて頂きました」みたいな、ちょっと踏み込んだものまで、さまざまです。

あまりに仕事と関係ないときは、「追伸」として書くこともあります。ただ、追伸という言い方は本来目上の方には失礼な言い方だそうですが。このちょっとした楽しいやりとりの為に、メール何往復もしてしまうことは良くあります。私は年に数回ですがメールマガジンを配信していますが、そのメールマガジンは30%ぐらいが事例の更新などの仕事の話で、その他は追伸と称した、個人的なネタバレ話ばかりです。いつの間にか「いつも長い柏の追伸」とか、「仕事と全く関係ない柏の追伸」などというタイトルで追伸を書き始めますが、どうやら追伸だけを読まれているお客様も多いようです。

それでも、お問い合わせやご注文を頂く際は、みなさんメールマガジンに返信する形で下さるので、このくだらないメールマガジンが私にも、お客様にも役立っているようです。

楽勝で第一選択薬決定!といかない場合、同種同効で同じ製品がいくつもある場合、差別化には工夫が必要ですよね。この質問をして下さる時点で、ご質問者の方はかなり有望です。

先生のタイプもいろいろあるので、熱意で上回れば良いかといえば、ケースバイケースです。でも、熱意だけあっても、暑苦しくないですか?熱意だけあっても、専門性がなかったら、話をするだけ無駄と先生が思われませんか?

証券会社や保険会社の営業のように、結局みんな売っているモノ同じじゃん、という状態ですと「お客様にいかに心地よくお過ごし頂くか」とか「自分を売り込め」が強くなります。だから、不動産や保険の営業はプレゼンを始める前に、自己紹介のパワポだしたりします。いきなり自分を売り込まれたら暑苦しさも倍増、私など、早く説明しろよ!ってそのような展開では、いつもイラッとくるタイプです。だから、自分も嫌なことはお客様にもしたくないので、商談中に自分の能力を「はさみ込む」という手法を取っています。

私のおすすめは、自分や会社の能力と自分の人間性をバランス良くおりまぜながら、自分の想い(熱意)をお伝えしていくという手法です。相手の動きをよく見ながら、どれをどこで見せるかは、よく考えてください。みなさんは、製品を売るのではなく、インテリジェンスを売るお仕事に近いのですから、持っているエビデンスの見せ方もこれと同じです。最初から、今日お持ちした新しい症例、エビデンスは・・・・といきなり話はじめてしまうより、先生との対話の中で、「先生、それなら・・・・」とタイミングよく出した方が効果的ではないですか?

 

 

同種同効の製品が他にも沢山ある場合、差別化の為に自分のインテリジェンスを最大限活用して先生に他社より有益な担当疾患に対する情報提供をしつつ、人間性の部分でも「あいつなら」と言って頂けうように差別化が必要になります。先生のタイプも色々なのでケースバイケースですが、証券会社や保険会社の営業のように、売っているモノが同じ状態ですと「お客様にいかに心地よくお過ごし頂くか」とか「自分を売り込め」が強くなります。いきなり自分を売り込まれたら暑苦しさも倍増ですね。

不動産や保険の営業はプレゼンを始める前に、自己紹介のパワポだしたりしますが、私は「それより早く説明を!」ってイラッとくるタイプです。だから、自分も嫌なことはお客様にもしたくないので、商談中に自分の能力を「はさみ込む」という手法を取っています。

頭から自分はこういう人間だということを並べ立てずに商談中に戦略的に「チラ見せ」しています。
みなさんのような医薬品だと、バランスが大事だと思いますが、「会えない時代の営業」なら「先生に選ばれる」または「一発で仕留める」の2択しかないので、選ばれる為の自分ブランディングは急務だと感じています。先生に安心感と信頼感を感じて頂くためには、自分はどのような人間であるべきなのか?どのような想い(熱意)を持っているのか?ここを戦略的に定義することが重要です。

大丈夫です。そんなことを気にしていたら私のように業界部外者は、失礼だからと研修はできないという事になります。まず事前勉強が大事です。また、マッキンゼー、ボストンコンサルティンググループのような世界三大コンサルのようなところは、ひとつのコンサル案件で億のお金が動くそうですが、20代でも言うべき事はビシッとプレゼンする方は沢山いらっいしゃいます。この自信は背後にどれだけエビデンスを持っているかというもの大きいと思います。

たとえば先生の専門である疾患の論文を今月は何本読みましたか?一般人が論文検索のできるGoogleスカラーで検索すると論文がでてきます。それでもしたった2本だった場合、まだまだ情報が少ないという事です。だから先生とお話しさせて頂く価値があるし、それは若いとか関係ありません。また、単なるご提案ではなく、先生と一緒にひとりでも多くの患者さんにこの製品をお届けしたいのですという攻めの姿勢が有効だと思います。

面談機会創出/アポ取り

迷惑かもしれません。ただ、研修を実施した製薬会社さんの電話のアポ取り率はすべて大幅にアップしています。
たしかに、売り込みの迷惑電話と思われる可能性は高いものの、私達は先生と患者さんに必要な情報を届ける為に、お電話をさせて頂いているので、この言い方が正しいかは別として必要悪ではないかと考えています。ひとつの製剤ですべての患者さんが治ることはありません。その大切な情報をお届けする、先生の治療の選択肢を広げて頂く、どのような想いを届けたいのかはっきりさせて電話をかけましょう。

アポ率1%を10%にされた外資系製薬会社さんがあります。ほかにも、ある日系製薬会社さんでは、215名中115名(53.4%)の方が1週間以内にこれまで行けていなかった施設のアポを電話で取ることができたという結果のご報告を頂いています。どちらもオンコロジーですが、皮膚科学領域のお客様も、半年かけてチームでスクリプトを練り上げながらアポ率向上の数値を取っていましたが、数字は非公開ですが右肩上がりになったそうです。2023年の最新の情報ですが、500名で受講されて485件のアポが取れています。これまで、まったく訪問できていない先です。内HPが200件です。古くから販売している製品で、適応拡大があったわけでもなく、私も勇気を貰える驚きの結果でした。

「資料を送って」というのは、一般的には、「お断わり」の文句で、確実に読まれないとうすうす感づいておられるのでは?「〇〇の話はもういいよ」は、よりストレートに言っていただいていますね。この先生に対しては処方合意に向けての工夫が必要になります。

まずはなぜ、ご自身が断られるMRになっているのか考えてみてはいかがでしょうか?「製品の力不足」せいにしたくなるところですが、同種同効で7剤も8剤もあるMRさんでも、面談ができています。そして、一剤ですべての患者さんは完治しません。つまり患者さんの為にも行くべしなのです。

私も6年もスランプだったので、人に大きなことは言えませんが、まずはプロセスを見直すことです。共感や先生との話を弾ませる対話が不十分なままであったり、「〇〇の話はもういいよ」という答えの場合は、先生も何気なくお決まりのセリフを毎回話しているからだと、私ならポジティブに受け取って、そこから切り返していきます。もしアドリブでの切り返しに不安があるならば、アポ取りスクリプトだけでなく「拒否された場合の切り返しスクリプト」が必要です。また、答えになっていないかも知れませんが、該当疾病や競合の状況について、ご自身でも勉強していく必要があると思います。

メールでのアポイントのコツは、研修内でお伝えした「電話でのアポイントのコツ」のテンプレートと基本的には同じと考えて結構です。全体の構成は「相手のメリット」を中心とした依頼にして下さい。(電話でのアポイントのコツを詳しく知りたい場合は、書籍「突破せよ!」に詳しく書いていますのでぜひご一読下さい。)メールで注意することは、サブジェクトが目立つように工夫をすることです。

私もお客様に年に数回メールマガジンをお送りしていますが、特にサブジェクトの目立つ工夫をしています。メルマガの開封率は悲惨な状況と言われる中、特に開封率が低いと感じたことはありませんし、お客様は研修をご検討される時にはメールマガジンに返信される形で気軽にご連絡を頂いています。

他には、商談後すぐに送る「サマリーメール(要約)」。皆さんの場合は、製品に関することはルール上、明記できないかもしれませんが、サマリーメールというと、「日報風」に書かかれてしまうMRの方が多い印象です。

※ダメメール例 本当にこんな風に箇条書きになっていたのでびっくり。こんなサマリーメールなら、出さないほうがマシです。

  1. ご挨拶
  2. 弊社のご案内
  3. 弊社の〇〇薬のご案内
  4. お話させて頂いた内容以外でのご質問・ご指摘ございましたら、ご連絡頂ければ幸いです。

ルールの範囲内という事を前提にではありますが、もっと、相手を想像して、Touch the Heart心の琴線にふれるような事を書かれた方が良いと思います。テンプレ禁止。書籍「突破せよ!」の90ページ、サマリーメールで印象アップにさらに詳しく書いています。

日本語の「心の琴線」という言葉の方がわかりやすいかと思って例に出しましたが、かえってわかりにくくてすみません。Touch the Heartは、まさに相手の心にそっと触れるような個人的なタッチです。もともとの意味には、心を動かす、(人を)感動させるというような意味が含まれています。

「先生のお考えの深さに感銘を受けました」
「先生の患者さんを治そうとされる強い想いが素晴らしいです」

Touch the Heartの双子の兄弟的位置づけの言葉に、personal touchがあります。パーソナルタッチは、個人的な事にちょっと触れてみる。「今日はロジカルなお話しありがとうございました、私も先生のようにお話できるようになりたいです」「日焼けされましたね、ゴルフですか?(王道)」などです。こちらは、共感を戦略的に生み出す際に仕様します。

大切なポイントは色々ありますが、一番重要と考えているのは、「自分の声とスクリプト(台本)」です。「突破せよ!新時代を生き抜くMRの掟」(医薬経済社)で詳しく解説しています。

アポ取り怖いのですね、自分でこういう時は引こうという言い訳を作らない方が良いとおもいます。私なら2人までは同時にお願いします。3人は流石にちょっと押しが強いと思いますので。そして、改めて電話する場合も日は改めません、時間を置いてまた電話します。大きな病院などでは、受付はどんどん変わります。

また、お客様に直接一度断られても私なら、こちらは日を改めてまた電話します。なぜなら断ったことも忙しいお客様の場合、いつまでも覚えていなからです。再挑戦して、「この前かけるなって言ったよね」と言われても「てへっ、すみません」的に私はごまかします。テレアポは、断られるのが仕事なのです。しかし、幸せなことに『量質転換』、沢山やればやるほど自分の仕事の質が上がる分野でもあります。

また、他業種では大企業の代表電話の次の番号にかけて受付をすり抜けることもあります。たとえば、末尾5555なら5556にかけてみると、同じ会社のある部門にダイレクトにつながることがあります。「あっ、すみません、間違えてしまいました。人事部にかけたかったのですが」と言うと、たまに「人事なら5558ですよ」と教えてもらえます。面倒がらず、どうしても、アポを取りたい時に使う手です。

アポ取りの息抜きみたいなものですね。みなさんには、使えない技ですが、アポをどうしても取りたい時は、そのくらいやるよという例ということです。アポ取りの確率を上げるには、「恥ずかしいなぁ」「断られるって嫌だなぁ」「怖いなぁ」という気持ちを、伝えるべき製品が情報がある、それを待っている患者さんやご家族の方がいるという強い自分の想いが必要ですが、そう考えると2人同時ぐらいできそうではないですか?

研修の中での電話でのアポ取りの基本の中で、私が基本は「会わないと損をしそう」ですと言ったことに対する質問ですね。私の例を上げると、医薬経済社から「突破せよ!新時代を生き抜くMRの掟」を出版していますが、その自分の書籍の企画を売込む為に医薬経済社に飛び込みアポ電をした際に、「ご興味がなければ東洋経済さんかミクスさんにお願いするつもりですので結構ですが」とさらっと言いました。電話に出た人も気の毒です。

みなさんの例で言えば、たとえば受付や秘書さんに「この製剤に関しては新規の情報ですので、このままですと患者さんの不利益になるのではないかと心配です」とか「先生の治療の選択肢を広げて頂ける情報ですので」とかが例となります。ただ、医療現場におけるスクリプトはレギュレーションの遵守が重要ですので、ここは皆さんで作って、社内ルールを御確認の上、ご活用頂ければと思います。

そのような場合に、先生の価値観を知っているか、いないかが勝負の分かれ目となります。価値観とは先生の理想・判断基準・最優先事項などです。もし1度目の面談でなければ、前回の情報から繋げていくストーリーのスクリプト(台本)を事前に用意したほうが良いと思います。メモ程度で大丈夫ですから、これとこれを話すというような感じで。他にやるべきことは、まずアポを取る最初の一言が「先生の立場にたっていたか?」という事を振り返って見て下さい。「用件は何?」のあとにあなたが言ったことです。「〇〇製剤のご説明に上がりたいのです」というトークだと、前述のように「オンラインでもう見たから判ってる」「知ってるから大丈夫」となる確率が高まります。「先生がこだわっておられた〇〇の件に関する〇〇製剤のお話です。」「沢山の〇〇病の患者さんを見てられる〇〇先生にこそ、ご感想を頂きたい〇〇製剤の件です」というように、少し工夫するだけで、ヒット率が変わります。これを私の場合、じゃんじゃんアポ電をするので、どのトークのヒット率が高かったかメモをしておいて、どんどんトークをブラッシュアップしていました。できることからやってみて下さい。

モチベーション

過去最低の数字で超低空飛行中、なんとかスランプを脱出したく、目の前の事に集中して辛さを紛らわす目的もあって考えました。
最初は9個でしたが、フランク ベドガーという米国のセールスパーソンが同じことをやっているのに気づき、彼にならって13個に整え直しました。
あとから考えても、この目の前の一つに集中して、結果的に沢山のことを成し遂げるという方法は、よかったと思います。

講師について

研修でお話した通り私の場合、自分をどのように見せるかというのを、戦略的に定義しています。明るく・パワフル・庶民的のときに最後の親しみやすさ、庶民的なという部分は、外資系出身の多くのコンサル(だいたい超高飛車で)が駄目な部分だという分析から、逆をついています。私の場合は、日系企業に20年、外資系に12年、その後独立ですので、日系・外資の両方判るというのもひとつの売りだと認識している為です。

もともとのきっかけは、昔の取引先IMSという会社のスローガン「医薬の進歩を英知でささえる」にビビッと来て、「なにか医薬の進歩をささえるお手伝いがしたい、なんてカッコいいんだろう」と思ったのがきっかけでした。もともと私の会社の事業は、経営理念と営業研修です。MRさん向けの研修は、2020年の6月に始めました。偶然3社連続で、製薬会社さんのパーパスを創るお手伝いをしたことがきっかけです。ミッションやパーパスを創るには、社員の方と協同で半年以上ディスカッションを重ねますが、その際に、だんだん製薬会社で働く皆さんの課題を理解していったのだと思います。

また、私には研修業界という競合の多い所で、食べて行くためのポリシーがあります。「青い海でしか泳がない」というポリシーです。競合の多い環境をレッドオーシャンなどと言いますが、要するに人と競争しない所で仕事はするというポリシーです。要は、抜きんでるためには「人と違うことをする」ということですが、これは、かなり昔、商社時代からの私の営業の基本姿勢です。MRさんのトレーニングは、俺たちの業界は特殊だからという事で、社内で実施するか、MR出身の方ばかりが研修をされていましたので、これは、もしかしたら、業界外の講師が飛び込んだら、青い海でのびのび泳げるのでは?と気がついたのです。MRさんの研修をはじめてからは、業界外の部外者という事で、研修担当の方と、一緒に考えて創るという事を徹底しましたら、お客様の課題によって、次々にさまざまなコンテンツが生まれました。

つまり、まとめると以下の3つです。

  • 相手を徹底的に知ることから始めるといういつものスタイルだった
  • 「人と違うことをする、私は、青い海でしか泳がない」という仕事のポリシーに合致した
  • お客様と価値共創をしていたら、コンテンツが増殖した

みなさんも、長い人生ですので、素晴らしいMRとして長く先生に感謝される人になる為に、自分にしかできない価値を見つけて磨いて下さいね。

タラバガニの30億の売上は、プロダクトアウト型で価値共創(お客様と共に未来を創り出す、価値を生み出す)ですし、始めた時がバブルの勢いが残っていて、女性営業など水産業界にいなかったという希少性もプラスに働いていましたので、あまり参考にならないと思いますが、ひとつ上げるなら「人と違うことをした」です。

  • 普通の商社マン 9:00出社 私:6時出社でまず全国の市場に電話をする
  • 普通の商社マン 魚は見ないで売るもの 私:全部自分で検品して売る
  • 普通の商社マン 魚はコンテナ単位で売るもの 私:サイズ毎に欲しい人に売る

当時の商社マンはとにかくひどかったですね。魚ころがしとか言うのですが、魚を全くみないで相場状況を見ながら転売して利ざやを稼ぐのです。もちろん、私もいらないサイズは転売していましたが、まず、すべての魚を検品してから売る為に15:00以降は毎日冷蔵庫めぐりで、冷凍銀鱈であれば、ブランドは皮が黒いし魚体が大きめ、5/7サイズ(5LBSから7LBSサイズ)であれば、110gの切り身がきれいに取れる感じに大きさが揃っている、などと詳しく調べてくるのです。それを翌日朝6時から、大型は築地に売って、小さいサイズは福島の一番に売ろうと、全国の市場に電話をかけまくります。そんなことをする大馬鹿ものはいなかったので、特に東京に来て魚を見ることができずに買っていた地方の方に喜ばれ沢山買っていただきました。

タラバガニの女王とその後言われるようになりましたが、こちらも話すと長くなるのでやめておきますが「美味しく。美しく。」をコンセプトに量販店向け製品を作っていました。自分で加工にずっと張り付いて、女工さんができないと言っても、まず自分が作って見せるというような馬鹿なことをしていた結果、沢山買っていただきました。

というわけで、今も研修はそれぞれのお客様の課題を伺いながら、すべてカスタマイズで作りますが(価値共創型です)、工夫重要ということではないでしょうか?

タラバガニが売れた理由をどうしてと言えば「人と違うことをした」からだと思います。(1つ前の質問で答えています)モチベーションは、これはギャンブルと一緒で、そのくらい売るとアドレナリンが沢山でて、常に興奮状態でしたね。やばいやつです。営業という仕事は「売れたら楽しい」のです。あとは、自分の確信を売るというのでしょうか?凍結した魚やカニを検品(良い商品かどうか見極める)していくうちに、量質転換が起きて自分でもすごいなと思えるほど、匠の技的に商品を見極められるようになったのです。その能力が神格化されて「女王様が言っているから、大丈夫」というように売れたら、これは楽しいのではないでしょうか?

みなさんの仕事で言うと、「〇〇疾患なら〇〇製薬の〇〇に聞いてみろ」と超巨大、超重要施設で話題になっていったら、ものすごく楽しくないですか?まして、みなさんの仕事は患者さんの命を助けたり、QOL向上のサポートなど崇高なお仕事です。そのような状況になったら、おそらく使命感に燃えてアドレナリン出まくると思います。

 

独学ですね。

「独学とはどういうことか」と言うとプレゼンテーションのコツとか、プレゼンの基本というような本をたぶん20-30冊は軽く読んでいて、そこから自分にあったものを選んで試してみて良かったものは続けています。沢山のプレゼンの本を読んだり、多くの司会の方をイベントなどで拝見したりしたり色々と研究した結果、私と多くのプレゼンの本と違う点は恐らくマインドです。

私の場合司会進行も「営業マインド」で行っているのです。営業職としてお客様と向き合った時に気をつけていること「お客様が心地よくお過ごし頂けるか頂けないか」が基本です。お客様をほったらかしにして一方的に話すなど持っての他、お客様の目線、動き、声の感じ、そしてお客様の気持ちの変化を伺いながらプレゼンをしています。テクニックに関しては、書籍にも詳しく書いています。ぜひ「突破せよ!新時代を生き抜くMRの掟」をご一読下さい。

20代は、水産業界に女性営業がいないので、若い・女性というアドバンテージもあったと思いますが(美人キャラでは残念ながらなかったのですが)、30代は、腕一本で働くようになり、40代でコンサル営業に転換してからは、戦略ということを考えるようになりました。

独立してからは、予算から開放されたのでニーズが感じられない時は引いてしまうようになり、押し付け販売がなくなりましたね。それでも、クロージング力があるので、1回と言われていたのに、最終的には3回コースでクロージングなどになっています。

その他

あまり普通の組織と変わらないという印象でした。特にすごいと思ったのは、院内での先生の神格化で事務方がものすごく気を使うところでしょうか?また医療従事者向け勉強会の前座講演などでは、チーム医療を円滑におこなうためのコミュニケーション、説得力を持って戦略を判りやすく伝える等をテーマにお話しています。

難しい質問です。大きく言えば成功している方は、その素晴らしい能力だけでなく、人格的にも素晴らしい方が多いと思います。

では、営業職で成功している方はどのような方でしょうか?自分のビジョンをしっかり持って、決めたことを続けることが出来ること、そして何より完全にお客様の為にレベルではなく、お客様の立場に立っている方。だから、本当の成功者は自分が成功しようではなく、お客様に成功して頂こうと考えていると思います。私達も成功しようと思ったら、もっとお客様の立場で、先生の立場で考えて見る必要があると思います。(先生の立場で考えたら電話でアポ取りなんてできない?いえいえ、適切に情報提供できなければ先生の不利益になります)

他には、距離感の詰め方が絶妙な人。これは、思い当たることが沢山あります。日本を代表する生命保険会社のトップセールスの女性は(伝説の〇〇◯まりこと呼ばれていました)、商談が終わってエレベーターの前にいる私を追いかけて来て、ちょうどバランタインだったのですが、「柏さん、大好きです」とチョコレートを下さいました。その距離の詰め方に心掴まれました。同じようなことは、日本を代表する損害保険会社のトップセールスの女性でもありました。わぁ、いつの間にという感じです。もう距離の詰め方が絶妙過ぎなのです。

他にもあると思います。MRとして成功する要因は何か?沢山ありそうです。ぜひリストアップしてみて下さい。

そんなこと言ったら私なんか今年63ですから、全員年下です。(笑)毎回構えられて研修になりません。

人の若さは年齢ではないのかなと思っています。この場合ですと、中身を極めて年齢なりのアウトプットが出せるように研鑽することと、見た目を改善することですね。中身について言えば、沢山の失敗も含めてここまで積み上げた私の中身ですから、いまから30歳に戻してやると神様に言われてもお断りですね。また、私は、50歳になったときに、これから毎年1歳づつ若返って見えるようにしようと決意しました。年齢が気になるなら、そこに自己投資してみては?オンライン面談の研修で言うのですが、男性でもZoomなどの顔面補正機能を15%程度使うと、見違えますよ。ちなみに、私は今、週に2回パーソナルトレーナーについて筋トレをして身体を絞っています。すでに1年半続いていますが、健康とかっこいい身体の両方が手に入ります。

自分に自信がないと「教えて下さい」というアプローチがどうしても多くなります。書籍の中や研修の中でもお伝えしたとおり、このアプローチのクロージング率は高いのですが、あまり多用すると面倒がられます。なんでもかんでも教えて下さいの「教えてちゃん」は、社内でも面倒ですよね。

同じように先生もそればかりで攻め込まれては、面倒になります。先生に嫌われるのは、怖いですよね。多くのMRさんからも、怖い、怒られないか、出禁にならないかと沢山質問を頂きます。もし癖になって多用してしまうようなら、その「教えてください」ではないパータンを身につける必要があると思います。面談の中で必ず一回「自分の意見を言う」という目標を立てるのはどうですか?これは、みなさんの場合自分の意見は言ったらGL違反ですから、「自社の見解を必ずひとつ述べる」という事になりますね。

 

そのような場合は、遠慮します。

でも、物凄いKOLの先生にやっと会えたというような場合は、熱意で押します。その場合、熱意を示すクッション言葉を頭にどーんと乗せます。押してしまえという時には、割り切って押して下さい。電話などでもそうです。この時間は先生忙しいかな、外来めちゃくちゃかな、いろいろ想像するとかける時間がありませんが、朝からかける時は「朝から、すみません!」昼時にかける時は「お昼休みにすみません!」と、先に誤ってしまいます。この場合「お疲れの所すみません!」です。

ITがめちゃめちゃ弱く解答不能です、すみません。ただ、某超大手日本企業の製薬会社のDX担当と話した時の違和感は、DX事業部のメインの仕事が先生のあらゆる質問に答える想定問題を至急創ることだったことです。それって、御用聞きをIT化しているだけで、DXじゃないなぁと思いました。

効果的でないと考えるITツールの使い方は、サードパーティのMyXXのようなアプリを最初から下に見て(どうせポイントの欲しい人も回答しているだろうとか)きちんと対応せず、テンプレで返すようなことをすることです。「スタンプの押下ありがとうございます、先生からのスタンプが励みになっています」「返信ありがとうございます、引き続きコンテンツを配信しますので御覧ください」のような返信をするなら、そういうツールを使う資格はないなぁと思います。もちろん、真正面から対応する必要のない場合もあるのですが、そのテンプレ返しが癖になって、対応すべき先生にもテンプレ返しになっていませんか?ということです。