In 事例 ソリューション MR研修 掲載, 営業(MR職), 導入事例

MR研修を日々実施しながら、研修内でのやり取りや頂く質問の中で感じるのは、先生に対しての忖度や遠慮です。「先生に嫌われたら怖い」「先生に怒られたら怖い」「ルートセールスなので、出禁は困る」という先生に対する遠慮、配慮、忖度が凄さです。

特にこの手の質問が殺到するのは、最後のセリフが「〇〇をお願いします」的なSOV(Share of Voice)ではなく、先生にYes/Noをしっかり頂いてくる「クロージング研修」や、なかなか会えない施設・先生への「電話でのアポの取り方研修」などで、これまでとやり方を変えて先生に嫌われたらどうしようという心配でいっぱいになる受講者が一定数存在します。

そもそも先生方の方が圧倒的に偉く、先生が上、MRが下というマインドセットが強く、共に患者さんのことを考えるという「価値共創型」になっていないという根本的な問題もありますが、それにしても、さまざまな他業種が駆使する営業のスキルを学んだとしても、最後に「先生への遠慮・配慮・忖度」で一歩を踏み出せない方が、一定数いらっしゃるのは、もったいないと感じます。一般の営業職では「断られてからが営業」などと言いますが、MRのみなさんに取っては、まるで断られたら人生が終ってしまうかのようです。

「先生に断られたら怖い」を克服するテストクロージング

クロージング力を強化するためには、「断られたら怖い」を克服する必要があります。この克服に関しては、たとえば自分自身の仕事の使命を再考する、など、マインドセット面からのアプローチも有効なのですが、営業スキルでも解決できることがいくつかあります。

これだけでブログを5-6本書けそうですが、そのうちのひとつは「テストクロージング」のスキルです。
テストクロージングとは、興味があるかないか確認する質問をすることです。セミクロージングという場合もあります。いきなりお客様にイエス・ノーのクロージングをかけると断られた時のダメージが大きいために、通常商談中にボクシングで言うジャブのように軽くかけてみてリスクヘッジをする為の「お試し」の小さなクロージングです。

先日、日系製薬会社様で3回研修を実施しました。そのMR研修で驚いたのは、研修導入責任者の方のコメントでした。「テストクロージングというスキルが多くのMRにとても響きました。実は、テストクロージングという言葉を聞いたことがなかったという方が、ほとんどだったと思います」というものです。もちろん、この研修設計にあたっては、かなり踏み込んで即効性を持って課題解決をする為の、率直なディスカッションを重ねていましたので、より上を目指す為のコメントではあります。

しかしながら、そもそも担当している製剤が第一選択薬だと特にSOV強めのMR活動となり、使って頂けるのか頂けないのかのクロージングにすら意識が向いていないことが多いです。そのような状態でクロージングのスキルを学ぶ研修をしたところで、これまでやったこともない、つまり「はじめて」過ぎて、実践しようとすると足がすくむ方が多くなります。そのような場合は、テストクロージングの手法や例文を学ぶことで、「怖さ」を軽減することが可能です。

今回の研修を通じて他業種の営業研修では、クロージングトークの方に時間をかけたり、スクリプトを一緒に作ったりということの方が多いのですが、MR研修では、テストクロージングのスキルに時間を使った方が、結果が良くなる可能性が高いということを実感しました。もう少し強めに言わせて頂くと、このスキルを駆使できないと、新しいやり方は身につかないとも言えます。

この研修は2時間×3回コースでしたので、day3を実践的なスキルを学ぶ為に使いましたが、そもそもレベルの高い(そしてお給料も高い)MRの皆さんが、頭で理解してから、行動に移すまでのプロセスを今後もっと探求していくことで、より結果を掴めるのではないかと今回実感しました。

研修構成とアンケートコメント

テストクロージングの考え方からはじめて、他業種のテストクロージング・トークの例文、そして製剤領域に合致したテストクロージングのフレーズの例文を示してから、自分なりのテストクロージング・フレーズをチャット欄に書いて頂き、講師がコメントしていきました。

チャットコメントで恥をかくことのないように丁寧に説明して例文も示したつもりでしたが、即座に「テストクロージング」のスキルを理解・自分の仕事につなげることが出来なかかったようで、30%近い方から「懸念点や不明点の確認」をするフレーズが書き込まれました。伝え方が悪いという反省を私もすべきですが、それほど耳慣れない言葉、普段使わないスキルということだと思います。

「頭で理解する」と「実際に行動する」の間には、実はとてつもなく大きな河が流れている。そして、その河の大きさと激流っぷりは、他業種営業の比ではないようです。

アンケートコメントでは、以下のような気づきがありました。

クロージングの弱さに気付いた事。

テストクロージングが課題だと思っています。 自分の引き出しを増やすためにも積極的に活用していこうと思います。

テストクロージング NG集に記載されているワードを封印

テストクロージングで懸念点を聞きすぎている傾向がある。というのは課題感を感じた。

テストクロージング。これまでは一発のクロージングに頼りすぎていたので、新たな発見でした。

クロージングの重要さ。面談前に話のストーリーは考え、準備しているがクロージングはその場の雰囲気や面談の流れに任せているところがあった。

もちろん先生のみならず、忙しい医療従事者への情報提供に関しては遠慮・配慮・忖度、つまり「礼儀正しく接する」「節度を持って接する」ことは大切なことです。ただ、伝えるべきことがあるのに、患者さんにとっても必要な情報であるのに過剰な「遠慮・配慮・忖度」を、相手に言われる前から「先回りして」するのは、少し違うのかなと、もう一歩だけ踏み込んだ先の世界をみて欲しいと思いました。ちなみに、この先回りっぷりは、ロールプレイングで仮想面談を受講者とすると顕著に判ります。多くの場合でトークの頭に忖度フレーズの連打があります。これについては、また別の機会に書いてみたいと思います。

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