In Blog, 理念浸透

やっと来ました、7年前から弊社がやり続けていたことの明確な説明論文が。2023年4月号のHBR(ハーバード・ビジネス・レビューダイヤモンド社/)の特集は、『人と組織が動き出す「価値観の力」』です。

誤解を恐れずかいつまんで言いますと、弊社ピグマリオンでは、つまりこのようなことを言い続けてきました。経営理念というのは、バリュー(行動指針)がなければ意味がないですよ、なぜならその行動の判断基準こそが「イノベーション」「グローバル化」「キャリア採用の増加」「リモートワーク」という環境の中で、それぞれの社員の行動の判断基準となり、行動が変わることで組織の文化が変わり、職場はより働きやすいものとなり、結果的に社員の方がいきいきと、やりがいと成長実感を持って仕事をすることができるようになります。その為には、組織の価値観・ゴールと個人の価値観・ゴール位のアライメント(一線化)が重要です。だから、使える経営理念改定となるように、できるだけ多くの人を巻き込んで経営理念を策定し共感を生み出し、現場で行動につながるような展開が必要になるのです。今回のHBRにその解説が掲載されています。

What dose your Company Really Stand for?離職率の低下や生産性の向上につながる組織と従業員の「価値観」を一致させ、持続的な成長を実現する。コロンビア・ビジネススクール教授のポール・イングラムとロンドン・ビジネススクール除去樹のユンジン・チェの共著論文です。

パンデミックに伴う技術的、社会的、経済的な変化によって、組織の価値観(バリュー)の重要性がかつてないほど高まっている。価値観とは、物事の善悪を決めたり、重要性を判断したりするためのぶれない軸である。その為、組織と従業員個人の価値観が一致すると、離職率の低下や生産性の向上などあらゆる面で大きな恩恵が受けられる。変化の絶えない時代を乗り越え、持続的成長を実現するためには、組織と個人の価値観を整合させる「バリュー・アラインメント」が欠かせない。(What dose your Company Really Stand for?序文)

価値観の実装の手法については、弊社のやり方とは若干異なるものの、できるだけ沢山のメンバーに参加してもらうのが望ましいなど、重要なポイントで一致。現在経営理念の改定に取り組まれておられる方、また自社の経営理念をパーパスなど、時代にあったものに変えたいとお考えの方は、今月号のHBRをご購入頂くか、この論文を単品で購入されることをおすすめします。かっこいいパーパスがあっても、それにアラインされたバリュー(行動指針)なければ、組織文化は変わりません。そしてアライン(一線化)の方向はミッション・ビジョン・バリューの縦串と、組織と個人の横串の両方です。

せっかくですので、HBRのこの論文で示しているバリュー・アライメントと筆者が言う所の手法を解説しておきます。

  1. 組織に所属するメンバー全員の価値観を洗い出す(できるだけ多くのメンバーの参加)
  2. 戦略から優先事項を特定する(トップダウン方式を推奨)
  3. 戦略の実行に役立ち従業員の心に響く価値観の候補を探す(上級幹部・各階層の代表)
  4. 組織の価値観候補を評価する(発言の場を設け評価する)
  5. ランキングの上位から最終案を策定する(リーダーを含む少人数)

※カッコ内はこちらで補足しました。1-5までのプロセスは上記論文HBRのWhat dose your Company Really Stand for?に記載されています。

大きな所は同じなのですが、結局はこれだとうセオリーはなく、それぞれの企業の社風に合わせる必要があります。たとえば、トップダウンが強力な企業で上記プロセスを実施すると、おそろしく忖度が発生してしまいます。最初に社長の好きな言葉3つが提示されていて、それに説明文をつけたようなものが、出来上がってしまうケースもあります。最初に幹部が入ってしまうと結局上が気に入りそうなものを選ぶことになるので、どうしてもそのようにしたい場合、また職種によっては、現場の社員の方にそこまで視座を上げて頂くのは難しい場合は、思い切って最初から上のメンバーだけで創るのも選択のひとつです。

私は、可能な限り全社員、または各部門からの選抜メンバーでの策定を推奨しています。ただ、500名規模の組織なら全社員ということも50人づつ10回のワークショップで可能ですが、それ以上の規模になるとかなり大変なことになりますので、各部門から選抜、または次世代リーダー層選抜に任せるという企業が多くなります。その場合30~50人ほどで価値観を洗い出し、さらに意見が空中分解しない10-12名ほど選抜メンバーが役員会と相談しながら、策定をするプロセスをおすすめしています。

通常、パーパス・ビジョン・バリュー、ミッション・ビジョン・バリューの三階層型、またはパーパス・バリューなどの2階層型で作成するので、ひとつ全体で考えて候補を上げる、選抜メンバーが精査し言葉を紡ぐ、役員会の許可を貰うというのを2回、もしくは3回繰り返して完成させます。最低このプロセスで3ヶ月はかかります。

また、完成後の浸透活動も重要です。アンバサダーという浸透の旗振り役を任命して、浸透活動を推進していきます。良いバリューとは、社員のみなさんが使いやすいものでなければなりません。新しい時代に多様な意見を取り入れ、これまでとは異なる文化の創出で、社員の定着率の高い、やりがいのある職場を目指すのであれば、この手間のかかる作業が必須となってくるのです。

2023年3月10 日

経営理念浸透ワークショップ~個人の成長と個人のビジョン

パーパスをリモートワーカーのエンジンに!~社員モチベーションは競争力の源泉だ~

パーパスの浸透~アンバサダー活動で浸透が自走~