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外資系製薬会社さんで「突破せよ! 新時代を生き抜くMRの掟」の講演(研修)を実施しました。特定領域の約160名の方が参加されました。

コロナで会えない時代のMRのあり方を中心に「突破せよ!」90分講演の構成は以下の通りです。

  • ザイアンス効果(単純接触効果)は、もう効かない
  • 横軸商談から縦軸商談へ
  • 営業の進化の過程の最高ランク「価値共創型営業」
  • クロージングプロセスからの考察~価値共創を生み出す為に必要なスキルとは?~

これ、実はこのプログラム、前回事例でご紹介した日系製薬会社さんで実施したプログラムと、表面上は一緒なのです。しかし、毎回不思議に思いますが、結果的には全く別のプログラムとなり、ご参加の皆さんには、ここでしか体験できない、「うちの研修」、今しか感じられないライブ感を感じて頂けたのではないかと思います。わずか90分の研修が、コンサート会場のような盛上がりに。

支社の流行語大賞が「カニの女王」に

アンケートは、88名の方にご回答を頂き、非常に満足の57.9%、「非常に満足」と「満足」の39.8%をあわせて、97.7%の方にご満足頂きました。アンケートのN数が参加総数に対して少ないのは、メイン製剤の部門と今回は自由参加の部門、さらに本社部門が参加されているためで、この数字で今回の主力参加者はほぼカバーできていると思います。

研修の監修をご一緒にお手伝い頂いた部門のトップの方からは、「丁寧なお仕事のスタイルに改めて感動しております。エリア・マネージャー、MRの間で「共感」、「価値共創」、「一発で仕留める(これは私の業界ではという例製薬業界でという意味ではありません)」という言葉が飛び交っています。確実に行動変化がおこっています。柏さんのパワフルなご講演のおかげです。」とお褒めの言葉を頂きました。アンケートのコメントにも、営業魂に火がついた系のものを沢山頂きました。

もちろん、いくら研修で盛り上がっても継続できないと意味がありません。これは、オンラインに研修が移行してからというもの、私にとっても大きなテーマですが、今回、あるブロックでは、さっそく振返りの会を開催して頂いたようです。

あるエリアのリーダーの方からは、振返り会では「全員、“今日から行動をどう変えるか” を真剣に考え、実践することを具体的に決めていました」との嬉しいご報告も。また、会議の中でも、何度も、「それは、カニの女王の話から考えると~じゃない?」という会話が頻出しているそうで、今年のそのエリア(支社)の流行語大賞は、カニの女王で決定だそうです。

世界同一プログラムと相乗効果を

今回のカスタマイズのポイントは、グローバルのセールス・プログラムとリンクさせたことです。外資系では良くあるグローバル、世界同一プログラムですが、日本に限った事ではありませんが、製剤特性や同種同効製剤などの状況によって、そのせっかくのプログラムの学びの入り口まで辿り着けない場合があります。今回はその隙間で生じているであろう、現場の課題を解消すべく設計しました。

現在、ご検討中の皆さまも別に自社プログラムまるごと見せて頂かなくても、主力モデル図でご説明頂ければ、私の方でアレンジさせて頂きます。古いプログラムで改定が必要と結論づけられているなら、どんどん新しい考え方を注入させて頂きますが、すでに大切にされているトレーニング・プログラムがあるのであれば、既存のものを否定せず、無駄にせず、これはこれ、それはそれ的な解決ではなく、相乗効果を出せるのであれば出して行くことです。少なくとも相乗効果が出せるかどうか、研修設計の場でお互い探しに行く必要があります。その融合ができれば、現場は混乱しません。

エリア・マネージャーは画面ON

今回は大人数でしたが、オンライン研修のアプリケーションがマイクロソフトのTeamsだった為にZoomよりインタラクティブさが高められないと判断、エリア・マネージャーの方には画面オンでご参加頂きました。さらに最初に現場に即したプログラムにしたいので、途中で、皆さんのご意見を頂くこと、また私が間違ったことを言ったら即カットインして下さいとお願いをしてスタート。結果的に、それは判るけど、ここは納得できないなどいう反論もきちんと頂き、疑問点をクリアにして行くことができました。このような仕掛けや参加者の皆さんのご協力が、研修スタート時点での皆さんの「できるかな」という想いを最後は、「これはできる!」に変える事ができたのだと考えます。

先生への遠慮からコミュニケーションが画一化

今回は、クロージングプロセス・カスタマイズでしたので、先生とのやり取りなども学んで頂いたのですが、アンケートにも書いて頂きましたが、MRの方の中には、感情の読み取りなどが上手く出来ず、私の伝えする所の、「カエル返し」、相手の気持ちを言い換えて伝えてみることを躊躇する方がみられました。10分、長くても15分頂くのが精一杯の短い面談時間に、相手の気持ちにすっと入りこむために必要なコミュニケーションスキルの一つなのですが、これが上手くできないのです。理由は先生に対する遠慮です。

相手を良く見て、相手の気持ちを口に出して返して見ましょうと講師が言っても、滑ったらどうする?怒られたらどうする?と出来ない理由を探しに行くようです。そうなると先生とのやりとりは、画一化して行き、結果として先生の印象にも残らず、2度目のアポも取れません。

しかし、この状況も業界でのこれまでの慣習や考え方が土台になっている為、このようなMRの皆さんの気持ちの背景を無視して、研修を進めても、破綻します。このような副反応が質問や発言を通して研修中に出た場合は、通常の営業研修とは状況が違うことを認識して、丁寧に気持ちを伺うようにしています。今回は、質問という形でのそのような疑問や講師とのロープレで上手くいかなかった方が自己開示をして下さいましたが、その一つの質問が多くの参加者の方に響き、このくらいできないと、とても先生と対等に価値共創などできないと気づきを深めて頂けた方も多かった印象です。実に素晴らしい質問でした。

「伝える準備」と「会う準備」

連載をしている医薬経済の12月1日号のコラムで、「味噌作りとMR面談は仕込みが大切」という記事を書かせて頂いていますが、この研修のアンケートにも、このようなコメントが。コロナ以前よりも、『1回の面会が貴重であることを理解していたつもりだったが、それ故にこちらから顧客へ「伝えること」の準備をし過ぎていることに気づかされる機会となったため。』こちらは、本当にその通りです。沢山のMRの方とやり取りをしていて、気づいたのですが、準備の仕方が言い方悪いかも知れませんが、おかしいのです。先生が製剤やその疾患に興味があること前提の準備の仕方です。質の高いディテーリングの為に、どの製薬会社さんでも、先生に示すデータ、関連論文などの準備を丁寧に行うように指導しています。でも、現実は、そのひとつ手前で「会えないから」困っているのです。

今回グローバルのプログラムのスタートが、「伝える準備」からだった為、どちらも大切ですが、会うための準備と会ってからの準備は、違いますと、はっきりお伝えしてみました。少々厳しい言い方をしましたが、結果として、アンケートを拝見すると、そこも腹落ちして下さった印象です。面談件数が減って、出来た時間を「会えるかも知れない先生」の為の準備に使うのは、時間が勿体ない、それより、他業種営業がしのぎを削って日夜工夫している「どうしたら会えるか?」に知恵を絞ったほうが今の状況では結果につながると思います。当たり前に毎日会えるという日常は変わってしまったのです。

浸透の為に効果的なこと

この事例の最後に、浸透に関する重要なことをお伝えします。それは、研修に参加するMRにどのように上の方が関与されるかです。今回の研修では、部門のトップの方が冒頭に、さらにその上の組織のトップの方が最後のご挨拶をされました。驚いたのは、最後のご挨拶をされた方のスピーチ。外国人の方でしたが、通訳をつけられてしっかりと内容を咀嚼されていて、聞いていなければ判らない細部に対してもコメントと参加者への実践を促す励ましの言葉を頂きました。このようなしっかりとした取り組みは浸透効果に大きく影響します。

良く最後に部門トップの挨拶と言ってもお忙しいから部門長は、ラスト5分前に入ってくるということはありませんか?研修挨拶あるあるですよね。でも、しっかり講師が仕込んだ状態に部門責任者の方が、最後に漬物石を乗せるような話をして下さったら、結果が変わります。日系の企業でヒエラルキーがしっかりしている所では、特にこの傾向が見られます。スキル研修はフルにご見学の必要はありませんが、マインド・チェンジがゴールの研修では、ぜひお願いしたい仕掛けです。

弊社では、4回コース、5回コースでのMR育成では、最後に営業所長やマネージャー向けにご報告会という1回分のセッションをつける場合もあります。ここで、研修の概要やアンケートの分析で傾向を報告しながら、「ここがまずいよ、おたくのMR」ということをお伝えするのです。これは一例ですが、研修を実践につなげていくために、現場でMRを積極的に支援して頂けるような「上を巻き込む」仕掛けを是非されてみて下さい。

 

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製薬会社 MR(医薬情報担当者)研修