In 理念浸透

ピグマリオンの設立記念イベント「経営理念で組織を変える、チームを変える ~あなたの会社の理念はなぜ浸透しないのか?」を開催させて頂きました。お話させて頂いた項目から本日は「経営理念とは何か?」をご紹介させて頂きます。

経営理念とは何か?

経営理念とは、社是・社訓・企業理念・クレド・ウェイ、信条、ミッション・ビジョン・バリューなど色々な言い方があります。学術的には、つまり論文などの研究領域ですと、経営理念と言った時には、図のように行動基準まで含めて経営理念と言っています。

企業によって、この図で示したような3階層型、経営理念のみの一階層型経営理念、経営理念と経営方針、または経営理念と行動指針の2階層型、コンプライアンス規定を加えた4階層型など使われ方は、バラエティに富んでいます。

ここでは、経営理念を3階層型で定義した場合、ここの役割について見て行きます。

経営理念は、ミッション、使命、仕事の意義です。

経営方針は、ビジョン、つまり未来に何を見ているか?方向性とゴールです。

行動指針は、共に働く為の判断基準や行動基準です。バリューと言う言葉を使う場合もあります。

経営理念の話をする時に、このよく使う事の定義が人それぞれ異なると大混乱になる場合があります。ビジョンという言葉を一般用語として使えば、経営理念そのものもビジョンと言う事ができます。またバリューが一番色々な使われ方をしています。私は、バリューを行動指針、ひとりひとりが大切にする行動という意味で使わせて頂いていますが、英語で言うCore Valuesという事ですと、私たちの大切にしたいこと価値観となり、むしろ経営理念の意味になります。

この言い方が正しい、いやいやこちらの言い方の方がGoogle検索で上位に出てくる等と、議論をする必要はありません。経営理念に関しては、その会社の社風に合った言い方を使う事が、この後の浸透にも係わってきますので、もし経営理念に関して議論をする場合は、最初にピラミッドをお互いどの言葉で表現するかを確認する事が重要です。

私も経営理念の話をする際には、通常大きな意味で学術的で経営理念と言う言葉を使っています。この図は、経営理念を単純化して表したものです。なんの為に(存在意義)を中心に、コンパス(羅針盤)でどこへ(経営方針・ビジョン)、ものさしで、どのように(行動指針・バリュー)、つまり組織の存在意義、方向性と判断基準を明確化したものが大きな意味での経営理念です。

方向性の明確化、判断基準の明確化、組織の一体感の醸成 、仕事の意義の明確化、社会的信用強化などの目的で各企業は、企業理念を策定し、浸透に腐心します。

2013年にHR総合調査研究所が、117社の人事担当者に対して「経営理念浸透に関するアンート調査」を実施しました。

その結果は、図に示す通り、「経営理念浸透は必要だ」と答えた人事担当者は85%、「ややそう思う」を合わせると98%の方が浸透は必要だと考えています。しかし、経営理念は「浸透している」と答えた方は、わずかに6%です。これが経営理念を取り巻く理想と現実なのです。

理念浸透は重要だと言うものの、では「御社の理念浸透の目的は?」とお尋ねすると

明確でなかったり、実業レベルで重視される結果(業績)との連動を確信していらっしゃらなかったり、そもそも理念が浸透したという事をどのような尺度で測るのかが不明瞭で、浸透している、していないが感覚的なものに過ぎなかったりと、この数字がこのような結果になる原因は様々考えられます。

そして、実務の中で、人事の方に、「なぜ浸透しないとお考えですか」?とお聞きした際に、もっとも多い答えが「うちの経営理念は、判りにくくて・・・・・」。

ある意味、私共人事部は様々腐心しておりますが、そもそもが・・・・・という事で他責な訳ですが(笑)、拝見させて頂くと「確かに」と頷いてしまう場合もしばしばです。そして、人事部が経営理念を勝手に変更する訳にも行かず、アンタッチャブル領域としてそのままという事が実に多く見受けられます。私は、そこにモノ申すべきと考えます。次回は、浸透しない理由のひとつ、経営理念の文言についてお話させて頂きます。