In Blog, 営業力強化

売れる営業の持っているコツというのは、実は千差万別です。

そのコツを自分自身の営業の型として整理して常に意識している人と、なんとなく経験で使っている人とでは、再現性に差がでます。ここで言う再現性というのは、同じように出来る事、つまり上手くできた時にやった事を、繰り返しできるようになるという事です。これが出来ていないと、スランプに陥った時に抜け出すのに時間がかかって大変なのです。

私も、何度もスランプに陥りました。でも何度も痛い目にあった事で、流石に対策を練るようになり、
スランプに陥っても、それを愚直にやり続ければ成果が出る事を13個リストアップして、意識するようになりました。今日は、実際に営業活動をされている方、または営業を育成する立場の方の為に、そのうちのひとつをご紹介します。(その1から読まれたい方は、こちらから。)

Recording :商談内容を記録に残す

セールス・パーソンの皆さま、お客様とのご商談では、どのようにメモを取られていますか?
話に集中したいので、メモは取りませんという方もいらっしゃるかと思いますが、私は、メモは取られた方が成果に繋がると考えています。

ドイツの心理学者、ヘルマン・エビングハウスという人が調べた忘却曲線の事を聞いた事はありませんか?黒船来航の頃、つまり江戸時代の終わりに生まれ、明治時代に活躍された方です。そのエビングハウスの有名な実験の結果は以下の通りです。

20分で42%を忘却
1時間で56%を忘却
9時間で64%を忘却
1日で74%を忘却
1週間で77%を忘却

どうでしょうか?最初の1時間でかなり忘れてしまうのです。

エビングハウスは意味のないアルファベットの羅列を記憶させるという手法で実験をしていますので、
意味のある事や、関連付けておけば、数字は変わるでしょうが、それにしても、長期記憶で維持される事は極めて少ないと言えます。

人の記憶力程あてにならないものは、ないと思っています。特に私は、記憶力はゼロに近いです。会社から自宅へ帰るルートすら覚えられませんし、前職のオフィスのあった半蔵門で真反対の出口「国立劇場口」へ出てしまった事も1度や2度ではありません。

ちなみに、もうこうなると自慢レベルですが(笑)、来年成人式というのに、まだ子供の生年月日を覚える事すらできません。何故記憶力の無い私が、息子が来年成人式というのを覚えているかと言うと、実は今年と間違えて、しかも過ぎてしまってからドキドキして、2月に意を決して謝ったら「来年だよ」と言われて衝撃を受けたからです。

この記憶力のなさは、恐らく自分の脳の記憶容量の殆どをお客様と研修を受講された方のお名前とお顔を覚えるという事に費やしているかだとポジティブに考えています。それが私取って最優先事項だからです。

一番多いところだと、入社間もない頃に毎年大変沢山の研修をご導入頂いた500名ほどの企業の社員の方のお顔とお名前を250名ぐらい覚えていて、入社年度やご年齢のバランスと積極的に研修に参加して下さる方を各グループに1名づつ入れて、自分で研修のグループ分けができました。特殊な記憶力の使い方です。話がそれました、申し訳ありません。

という訳で、人間の記憶力というのは、全くあてになりませんし、成績の良い営業で、メモを取らないという方にお会いした事がありませんので、もしも今メモを取られていないのでしたら、きちんと、メモを取る事をお勧め致します。

きちんとと言うのは、なんとなく、聴いているふりをするために手帳を開いて、キーワードだけ書くふりをするのではなく、「お客様の事をすべて教えて下さい!」という熱意をもって記憶に留める為のメモです。

さて、そうなると商談では、どのようなツールを使ってメモを取るか?どのような点をメモに取るか?という事が気になりますね。

メモを取るツールは何が良いか?

どのようなツールを使いメモを取るか?お勧めは手書きメモです。最近はipadのようなタブレットでメモを取ったり、PCでそのまま打ち込まれる方もいらっしゃいますが、本気で売上を伸ばされたい営業の方はPCは絶対NGだと私は考えます。(その方法が一般的と認められているIT企業様は例外です)

最近の進化したタブレットに手書きソフトを使って書くのは、パチパチ音がしないので、お勧めは致しませんが、ギリギリセーフです。

何故かというのを、一言で言えば、お客様のお顔や動きを見ずして、お客様の本当の気持ちを洞察できる訳がないと考える為です。営業という仕事の楽しさは、お客様の真の価値観(大切にされている事や
優先度、判断基準)を発見する事だからです。

PCやタブレットに打ち込むのに集中すると、どうしても手元に集中してしまいます。下を向いてしまうと、お客様を見れないだけでなく、ご自身のハツラツとした笑顔も動きもお客様に、ご覧頂く事はできません。

私は、B5サイズの5mm方眼レポート用紙でメモを取っています。ついついためてしまうのですが、それをスキャンしてエバーノートというソフトに取り込み、PCからも携帯からも見れるようにしています。エバーノートは、WEBストレージのようなもの、そこにアップするとPCや携帯、タブレットなどすべてのデバイスから見る事が出来るアプリです。無料でも使えますが、有料のものがお勧めです。エバーノートに取り込む際に、あとから検索しやすい様に会社名とお名前を入れています。このようにしておくと、お名前と会社名を入力すれば、過去のご商談記録がすべて一覧で出てきます。

どのような点をメモに取るか?

どのような点をメモに取るかと言うと、まずは、セールスで成果を上げる13の徳目その1でご紹介させて頂いた「事前にお客様の事を徹底的に調べる」でも書かせて頂きましたが、1枚目は、お客様の情報がびっしり書かれたページですので、まずは、基本情報の確認場面では、色の違うペンでそのページの余白にメモをして行きます。さらにもう一色、大抵は赤を使用して、重要なポイントや戻ってからやるべきことをメモして行きます。

お客様の属人的情報などもメモします。しかし残念なことに、この情報はなぜか私の長期記憶には留まらず、あっけないほど忘れられてしまい、私のお客様は、どのあたりにお住まいなんですか?とかお子様おいくつなんですか?と何度も聞かれている事でしょう。(笑)忘れてしまうのに、伺いたいのです。本当に困った性格です。

お客様の価値観やニーズのヒントになる事をメモさせて頂きますが、実はお話を伺う順番というものが決まっています。門外不出ですが、流れとそのポイントでのメインとなる掘下げ質問があるのです。「え~柏さん、うそでしょ、無駄話9割じゃないの!」というお客様の驚愕の声がここまで聞こえて来そうですが、本当にびっしり書かれた秘密ルーティンを持っています。

別にそれが公開されないからと言って、がっかりされる事はありません。それは、私のルーティンであり、あなたの業界のあなたの商品・サービスのルーティンではないからです。大切な事は、ヒアリングにも再現性が高まる型を作る事です。

でも、それだけでは、あんまりですので、ひとつ大きなポイントをご紹介します。それは、できるだけ、お客様がおっしゃった言葉をそのまま書かせて頂くことです。その理由は、ご商談中は、お客様が使われる言葉を一緒に使わせて頂きたいのと、ご提案書を作成する際にも、お客様がいつも使われる
言葉を使わせて頂きたいからです。

当たり前の事のようですが、「きちんと」やってみて下さい。きっと成果に繋がる事と思います。

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