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「オンライン商談」で、成果はつかめていますか?

今日は営業職の方向けのお話です。コロナ禍で営業職の訪問商談が難しくなり、業種による差はあるもののオンライン商談が急速に普及して、はやくも1年半。(2021年の6月現在)この間、世の中の営業職は、まさに手探りで商談のオンライン化を進めてきました。さて、皆さんは、オンライン商談で成果をつかめていますか?

私の見たところ、この段階ですでにかなりの脱落者も出ている模様です。生き残ったのは、「試行錯誤しながらも、オンライン化を進めた人、または会社」で、脱落してしまったのは、「様子を見ようとした人、または会社」です。

私の仕事のフィールドである研修業界でも「私の研修は、リアル(対面)でないと伝わらないので」とオンライン化をしなかった人が少なからずいました。また、リアルの集合研修をそのままオンラインにしてしまって、オンライン研修であるのに1日コースや、連続2日コースとかで展開されている方がいました。いま、その方たちはどうなっているのか、判りません。

ダーウィンが言ったとされる「生き残るのは、もっとも強いものでもなく、もっとも賢いものでもなく、変化したものだけ」という言葉が有名ですが、まさにこの1年半は、それぞれの人がそれぞれの場面における、変化できるかできないかの闘いだったように思います。

ちなみに、ダーウィンは、種の起源で実はそんなことは言っておらず、これをダーウィンの説にしたのは当時、IBMの会長兼CEOだったガースナーさん。彼が企業存続の危機を語った時に誤用したという説があるそうです。

「出来ているつもり」は結構怖い

オンライン商談に関しては、様々な業界でこの最初の1年ぐらいは、もとに戻るかも知れない期待も含めて、その場しのぎ的「付け焼刃的対応で乗り越えてきた事と思います。私も研修を通じてサポートをさせて頂いてきました。しかし、最近この手の研修を実施してみて気づいた事があります。この付け焼刃的ながら素早い対応をしている人たちも、実は体系的に効果を最大化する手法を身に着けたわけではなく、「とりあえず、できています」の場合もあるのだという事です。この「出来ているつもり」は結構怖いです。

私のオンライン研修は、1回の時間は90~120分ですが、先日実施した研修は、その会社の緊急性の高い課題に合わせて2つの研修を3時間で1度に行うものでした。内容は、「リモート面談」と「アポ取り」の2本立。研修の冒頭にみなさんに、アジェンダを見て頂きながら「どちらの内容に興味がありますか?」と質問をさせて頂いたところ、なんと!15名全員が、「アポ取り」で挙手。

これは、2つの側面があります。ひとつは製薬会社さんだったので、今までアポ=アポイントを取って面談(製薬業界は商談ではなく面談と言います)をする習慣がなく、この他業種の営業ならば当たり前に行っている、新規開拓における電話でのアポ取りに関して、これまで全く知識がなかったということもあります。その為、とても困っていて直ぐ学びたいという意欲が強かったという事です。

もうひとつの側面は、オンラインの面談に関しては、充分できていると感じていることです。実際に何人かの方に伺ってみたところ、「オンライン面談はこの1年で結構慣れた」というご意見でした。

面白かったのは、全部終わった時の感想です。結論を一言でまとめると、「オンライン面談に関して、あまりにも準備不足のまま臨んでいた」という事です。つまり、全員オンライン面談に関しては、「できているつもり」なだけだったという結末でした。

オンライン商談成功の3つの秘訣

オンライン商談で大切な事は、以下の3点です。

1. オンラインとリアル(対面)商談の違いを理解する
2. オンライン商談をパワーアップするスキルを身に着ける
3. オンラインに適した環境を構築する

1. オンラインとリアル(対面)商談の違いを理解する

ひとつ目のオンラインとリアル商談の違いで、一番大きなものは、商談スピードが圧倒的にオンラインの方が速くなった事です。リアルの時は、「初回はお顔合わせ」というような構えで行ってもなんとかなった商談も、オンラインでは2度目につながらず上手くいかない事も多いのです。ここでは、一度でクロージングまで行く心意気」が重要になります。

ただし、心意気だけでは、現場で心もとないので、そのために、どのような準備をして、どのような時間配分でクロージングをするかを研修ではお伝えしています。業種によって、やるべきことは異なる事と思いますが、営業職の皆さんは、今まで以上に1つの商談に一球入魂の精神で臨む必要があるのです。

2. オンライン商談をパワーアップするスキルを身に着ける

お客様に「画面をオフにされてしまって、相手の反応が読めないのです」、多くの営業から聞く悩みです。もっと言えば、画面がたとえオンでも、ミュート機能を活用して交互に話すというオンライン会議の決まりのようなものに縛られて、リアル面談より相手の気持ちの動きを追う事が難しくなっています。私は、オンライン商談では、まずお客様に差し支えなければミュートを解除したままでとお願いをして、率直なご意見をその都度伺うようにしています。

ちなみに相手が画面オフだから、自分もオフにする、または、アジェンダ(進行表)を画面に出して、自分の顔を出さないのも営業として失格です。相手にして欲しい事は自分からしましょう。他にもオンライン商談のスキルはたくさんありますが、自分の見せ方や声の使い方、インタラクティブな対話の生みだし方などを意識するとわかり易く成果につながります。

3. オンラインに適した環境を構築する

これは、この1年でだいぶ皆さん進化されたのではないでしょうか?具体的には、オンライン商談に必要な回線速度を担保することと、オンライン商談に関する機材を整える事です。Zoomなどの会議システムは、30Mbps前後あれば安定すると言われています。(私は研修をするために、400Mbps程度を確保)ぜひ御自身の回線速度を確認して、速度測定のサイトで速度は測れます。もし遅いようなら光回線を導入して下さい。

光回線を優先でPCにつなぐのが、最も安定します。これからは、ネット回線はビジネスで成功する大きなカギになります。会社が費用負担してくれないなどと言っている場合ではありません。

機材に関しては、特に音が大切です。聞こえてくる方はPCからの出力でよいのですが、こだわるのは、自分の声の方です。カメラとマイクと照明は、私はいろいろ買ってみたのですが、最終的にこちらに落ち着きました。

カメラ:ロジクール ウェブカメラ フル ストリーミング ウェブカム
マイク:Blue Microphones Yeti Nano USB コンデンサー マイク
照明:Godox SL60W

成功するまで試してみよう

それなりに、1年ほどやってきたので、できているはず。そう思いたい気持ちも判りますが、リモートで仕事をスキルは、これから一生役に立ちます。ぜひ、ここで自分自身のスキルを見直してみてください。一番わかり易いのは、コロナ禍のせいにすることなく、成果がコロナ禍前に比べて、上がっているのか、上がっていないのか、冷静に分析する事です。そして、もし足りていない、もっと成果を出したいと考えるならば、恐れずやり方を変えてみてください。

昔所属した会社にブルドーザーのように仕事をする先輩がいました。彼の座右の銘は「俺は、失敗はしない、なぜなら成功するまで続けるから」。多様性が大切と言われる今の時代に、こんな事を人に押し付けたら、大変な事になりますが、やり方はともかく、迷ったら試してみる事はいつの時代にも大切ではないかと思います。

特に、今のような先が見えない不確実な時代には、この試してみる事は重要だと思います。

私のオンライン面談に関する研修は、営業職のオンライン商談から、営業以外の方のオンライン会議のコツまで、「リモート営業力強化研修」「~リモートワーク時代をリードする~オンラインで伝える力」、また昨今は営業研修の中に必ず「オンラインで伝える力」を組み込むなど、名前を変え、形を変え続けていますが、受講される方にいつもお伝えするのは、とにかくやってみようと思うことを決めて、実践してみてくださいという事です。

ものすごく当たり前のようですが、学んだ事を使って、目の前の高そうに見えるハードルをまず飛び越える。新しい事をぜひ、試して見てください、そこから別の世界が広がっていく事と思います。