In 営業力強化

売れる営業の持っているコツというのは、実は千差万別です。

そのコツを自分自身の営業の型として整理して常に意識している人と、なんとなく経験で使っている人とでは、再現性に差がでます。ここで言う再現性というのは、同じように出来る事、つまり上手くできた時にやった事を、繰り返しできるようになるという事です。これが出来ていないと、スランプに陥った時に抜け出すのに時間がかかって大変なのです。

 

私も、何度もスランプに陥りました。特に研修を売るようなそしてスランプに陥っても、それを愚直にやり続ければ成果が出る事を13個リストアップして、意識するようにしました。

今日は、実際に営業活動をされている方、または営業を育成する立場の方の為に、

そのうちのひとつをご紹介します。

 

Preparation :事前にお客様の事を徹底的に調べる

営業活動の中で、初回の訪問の場合は、徹底的、本当に私は徹底的に訪問先企業を調べます。そして出来るだけ暗記してお客様のところに向かいます。時間にすると集中力を発揮すれば通常は30分程度で、B5判のレポート用紙にびっしり1枚がお約束です。暗記する為に、情報は見るだけでなく手で書いて覚えるのが私流です。

 

全く調べないで、お客様のところに訪問される方はいらっしゃらないと思いますが、みなさんどのくらい時間をかけているのでしょうか?そして、調べておくべき事は、決まっているのでしょうか?

ご商談をさせて頂くのに、「教えてちゃん」になって、「そうですか、すごいですね」の相槌を多用しているようでしたら、プロとしてどうなのでしょうか?

 

私は、事前に調べておいて、さっと相手の方の言葉に反応して、すぐに商談の核心に入っていった方が良いと考えています。貴重なお時間を頂くわけですから、できるだけ時間は、節約したいのです。と言うような偉そうな事を書くと、私のお客様から、「柏さん、商談時間の90%は無駄話じゃないの?」と集中砲火を浴びてfacebookが炎上しそうですが・・・・今、新規ご商談の話ですから。(きっぱり!)

 

事前に調べるポイントは、前職で研修を法人向けに販売させて頂いていた私の場合は、

以下の様になります。

 

  • 企業の商品またはサービス(どの商品サービスがメインなのか?)
  • 従業員人数
  • 拠点数/工業数
  • 業績/計画(上場されている場合、売上と経常利益5年分・中期経営計画なども)
  • 創業時に係わる事/どのような歴史の会社なのか?
  • 社長様名/創業者様名
  • 経営理念(私の場合です)
  • 競合企業と業界ランキング等
  • お客様の顧客情報
  • WEB上で確認できる限りの情報

 

また、業種によって調べ方もある程度決めていました。たとえば製薬会社さんですと、製剤の領域「オンコロジー」「呼吸器系」「ワクチン」といような事業領域を頭に入れていないと、部門毎に教育方針が異なったり、別の教育責任者様がいらっしゃったりしたからです。

 

上市前(承認前)のパイプライン(開発中のもの)にどのくらいの開発製剤があるか等も調べていました。勿論事業領域毎に売上比率や利益率も調べます。ちなみに製薬会社さんですと、主力製品名も調べておきます。こうやって改めて書いていて感じましたが、調べる過程で、訪問先の企業の業界用語等を押さえていますね。

 

業種や何をご提案するかによって、また訪問させて頂く会社の規模によっても事前調査内容と方法は変わると思いますが、企業規模と上場企業の場合は業績推移、提供する商品・サービスのカテゴリーとその売上比率、社長様のお名前、業界の競合情報などは、どの業界でも最低限必要ではないでしょうか?

 

特に先方の代表者様やご創業者様のお名前は、ご商談の中でお客様が「うちの○○が・・・・・」とおっしゃった時、「〇〇社長は」と返すのか、または「御社はご創業者の〇〇様が・・・・」とすっと続けないと、かなり失礼ですよね。ちなみに、ここを強調させて頂くのは、私も、ついうっかりで、何度か失礼にも聞き返させて頂いた事があるからです。「○○様と申しますと・・・・・」と、どれほど丁寧に聞き返させて頂いたとしても、担当させて頂く営業としては、恥ずかしいです。

 

調べる場所は、ホームページが中心で、ホームページをしっかり確認してから、大きな企業の場合は、さらにネット上で最新のニュースがないか検索して、さらに社長様のお名前で、検索して講演や業界紙などに掲載されていないか、できるだけトップの方のお考え方を把握してから訪問させて頂いておりました。

 

もうひとつ、注意点があります。徹底的に調べて、お客様の所に行くと、商談中に自分の知っている事を「得意気」に話したくなりますが、これは、あまりお勧めできません。私も以前先輩に注意されたことがあります。色々調べた事は、いったん自分のお腹に落として、お客様がお話になった事について、事前調査の内容から選び出して相槌を打つような感じで、お話すれば良いのです。

 

または、お客様にとってお聞きになって嬉しい事については、質問する形で使います。

3期連続増収増益であるとか、量販店の場合は新店オープンの話題とか、製造業の場合は、新しい工場への投資などです。

 

特に商談のスタート時点でこの「嬉しい事」を共に喜ぶ姿勢は、重要です。紹介商談を始める際は、相手の方もまだ警戒されているので、ぎこちない雰囲気になりがちです。その最初の固い雰囲気を壊す事を氷を壊すという事で、アイスブレークと言います。アイスブレークで、応接間の花瓶を褒めるのと、新店オープンの話をされるのと、どちらが商談を美しく展開できるのかは、自明ではないでしょうか?

 

このような事を大切にするマインドが私の中に育ったのは、提案型の営業を始めてからです。

物売りだった頃は、義理とか人情が大切で人が2回訪問する所を5回訪問して「じゃあ30ケースだけ付き合ってあげるよ」という展開も期待できましたが、提案型営業は、そのような展開は期待できません。

 

ちなみに前々職の冷凍水産物の営業時代、冷凍タラバガニ20KG版を30ケース買っていただくと、3,300/KG円として約200万円の売上になります。それは、それで、すごい世界ですね。(笑)

 

そして、通常は、物売り営業よりも提案型営業は、ご商談に時間がかかります。

だから常に見込みのお客様を常に多めに持っている必要があります。長いご検討プロセスの末、決まらない場合も当然多いからです。その代わり、一度ご提案できれば、それは生み出された価値ですので、他社が早々真似できない状態を作れます。

 

お客様に価値あるご提案をする為に、お客様の事を事前に良く知ること、

従来の営業スタイルよりも、見込みのお客様の一回のご商談を大切にすること、これは提案型営業で成功する為のかなり大きな秘訣ではないでしょうか?

 

どんどん訪問して、じゃんじゃん商品説明をしていれば、自然と注文が来たのは昭和の話です。ちなみに、事前準備は、自分が何をその会社に提案するかをシュミレーションすべきというような営業研修もあるようですが、それこそ、一方的な物売りスタイルだと考えます。私はお客さから事前に課題を頂いていない場合、勝手に仮説を立てても無駄だと考えています。

 

携帯を使ってお客様の会社の前で5分ぐらいネット検索ではなく、ぜひ30分でも集中してお客様の事だけを考える時間を作ってから訪問されて見て下さい。きっと成果に繋がる事と思います。