In 導入事例, 経営理念(ビジョン)

パーパス・バリューをどのように浸透させて行けば良いのか?効果的な浸透方法は?拙著「パーパス浸透の教科書」(マジメント社)では、アンバサダーという社内旗振り役での浸透方法について、解説していますが、今回の事例はそのアンバサダーの養成コースについてです。

お客様は、世界中で事業を展開され従業員がグループ全体で4万人近く、特殊技術で業界を牽引されてきた歴史の長い製造業です。昨年からパーパス・バリュー策定のお手伝いをさせて頂いています。昨年は世界のリーダートップ500人に2時間のパーパス・バリュー浸透ワークショップを開催しています。

今回の試みはそのトップ500人のひとつ下の階層。パーパスを社員目線で浸透していくために、全国の各事業場の課長職クラス900名にアンバサダーになって頂くために、1日コースで、アンバサダーとしての考え方とスキルをお伝えしています。東京、湘南、静岡・牛久・福島・熊本・鳥取など日本各地の工場施設(事業場)で100名づつをベースにすべて対面研修で実施開催しました。2023年12月の熊本からはじめて、計算上9回で終わるはずでしたが、非常に評判が良く、2024年9月現在は12回目まで開催が決定しています。全部終わってから事例をまとめて上げようと考えていましたが、ご人数の多い会社なので、つぎつぎ昇格者・中途採用などもあり、なかなか終わらないので一旦ここまでを共有します。

ワークショップの進行

ワークショップは以下のように進行します。

  • パーパス・バリューとは何か?
  • パーパス・バリューを理解する/つまどう会議
  • 社内活用実践編/トラブル発生時のケーススタディ
  • 社内活用実践編/メンバーとの対話

アンバサダーの役割は、パーパス・バリューを社内に広め・伝えていくことですが、まず最初に心構えとして「上がこう言ってるぞ」的なアプローチは厳禁、社員のメリットにフォーカスして「働きやすい職場」「働きがいのある職場」「成長できる職場」作りのために社員目線で浸透に取り組むということをお伝えしています。

「つまどう会議」というのは、書籍「パーパス浸透の教科書」で詳しく解説していますが、「つまりどういうこと会議」の省略形、つまり「このパーパスってどういうこと?」、つまり「このバリューってどういうこと?」というのを、6人グループで議論して模造紙に可視化していきます。

15-16グループの時が多いので、すべてのグループから発表できませんが、3つの演習で5グループづつ発表するので、毎回すべてのグループが結果的に発表を行うことになります。一つの演習は15~20分と長いものではありませんが、ここで一気に共感が広がります。さらに、せっかく全国を回っているので、全国の事業場で可視化された模造紙の中でよく考えられていて秀逸なものを、画面でも共有しています。これが、毎回蓄積されていくのでとても良いものがあるのです。最初は斜に構えたり、難しいそうと思っていた参加者にも「いろいろな考え方があっていいんだ」という気持ちに演習を重ねる毎になっていきます。

はじめは、このようにおとなしい感じで座られていますが・・・・

グループワークや、2分、3分の短い時間での隣同士の意見交換、さらにグループ、つまりテーブルを超えての意見交換などを繰り返していくうちに、徐々に場が温まって、盛り上がっていきます。

社内活用実践とは何か?

午後からは、社内活用の実践編となります。実践編では現場に合わせたトラブル発生のケース(シナリオ)が用意されていて、それをパーパスの達成をベースに、バリューを活用して解決していきます。はじめこのアイデアがお客様から出た時、正直外部講師の私が、それぞれにコメントできるのだろうか?と非常に不安になりましたが、結果的にはこの問題解決のケーススタディは、さまざまなアイデアが飛び交う素晴らしい場に毎回なっています。

課長と部下のトラブル発生のケースなのですが、まず問題点を書き出して、それを解決するためにどのバリューを使うべきか割り当てるグループもいれば、課長と部下、課題と解決策を4象限のマトリックスにして、それぞれ分析するグループもでてきます。ここでの気付きは、決して部下だけが悪いわけではなく、課長にもバリューに照らして反省すべき点が多いにあるというところ、またバリューが4つあるのですが、順番に使うのではなく、それぞれが相互に関連しあっているのだという気付きです。

実践編は、バリューを使った社内での考課面談も控えているため、そこから上司と部下のバリューを共有する対話の仕方とそのロープレに進んでいきます。このあたりまで来ると、午前中いったんパーパス・バリューが判った気になった参加者も、実践で運用するまでには、まだ一山も二山もあること、さらに自分自身が深くパーパス・バリューを理解し、コミットする必要があることに気づきます。

最後のまとめのセクションでは、パーパス・バリューに一線化されたリーダーとしての仕事のビジョンを考え、それに基づく各バリューで実践したい行動を明らかにしていきます。実際にグループの方を自分のチームのメンバーだと仮定して、想いを口に出して見るところまでやります。頭で考えていたことを、紙に書き出してみる、それを今度は口に出してみる、単にパーパス・バリューを理解するワークショップではなく、それぞれの方が自分に置き換えて考え、さらに実践にむけてトレーニングを積んで自信をつけていきます。

アンケートコメントから

全てが、新鮮でした。特に多様性を認め合うは凄く大事だと感じました。

部下の心に火をつけ、聴くスキルを磨きながら、仕事のビジョンをしっかり持って業務したい

この講習のように、(自分のチームでも)いろんな意見を取り交わし、やってみて、尊重しあい、ゴールに向かっていく

これまでは自分自身理解がなかなかできていませんでしたが、今回の参加者とのワークショップ等で実感した、自身が「共感」すると理解が深まるという内容がとても印象に残りました。

メンバー(課員)に対し、「一緒にやろう」というところを、今まで以上に進めていきたいと思います(姿勢を見せる)。

メンバーにとって働きやすい、働きがいのある職場にするために、コミュニケーションをとって、対応していきたい。

まずはやってみる。今までやっていない、できていないことを行動に移したいと思った。それをコツコツと職場に広げて、やる気に火をつけられる様にしたい。

パーパス、バリューを自分を主語にして言い換えて、メンバーとも会話してみようと思います。つまどう会議も。

パーパス・バリューを波紋のように広げるための、まず最初の一滴が自分であると強く認識できました。とてもよい講習でした。

一度に広めるのは無理だけど・・・・・

実際のパーパス・バリューに絡めたコメントが実は素晴らしくご紹介できないのが残念なのですが、どのコメントからも、このワークショップで一気に腹落ちして、自分の部門に戻ってパーパス・バリューを使ってメンバーと会話したい、メンバーのモチベーションも上げたいという意欲が伝わってきました。

また、ある事業場で研修の最後に課長さんのひとりが言ってくれた言葉は、とても印象的でした。「たぶん、このパーパス・バリューを使った会話を一番はじめに自分が部門で始めたら、あいつなんだ、おかしくなったのか?変な研修受けたのか?みたいに言われる可能性があると思う。でも、今回思ったのは、それでも自分からやらなきゃ駄目だということ・・・・」こんな熱い言葉を語って下さいました。一度に一気に広めるのは無理かも知れませんが、組織というのは結局、ひとりひとりの集合体。その一人が変わることで、じわじわ組織全体が変わることを願っています。

このワークショップの詳しい演習については、拙著「パーパス浸透の教科書~社長の講話じゃ伝わらない」に詳しく書いていますので、ご興味があればぜひお手に取ってみて下さい。

 

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