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ピグマリオンの記念すべき第1回の研修は、メディア企業様向けカスタマイズの営業研修でした。タイトルは「クロージング率向上の為の伝える力・売る力」。全員部下のいるリーダー以上の20名様でした。単なる商品を売る営業から、なぜ提案型に転換しなければいけないのか?提案型営業になるためには、どんなマインドチェンジが必要かを「顧客経験価値の提供」というモデルを使ってご一緒に考えながら、「聴く力」「伝える力」のスキルの強化へと進むカスタマイズコースです。個人顧客向けの営業の方と法人向けの営業の方の比率は、3:7ぐらいでした。

 

アンケートでのご評価は、10点満点で、満足度  9.2、理解度  9.1、実行意欲 9.05、研修推薦度9、講師評価 9.75でした。これがこの後の講師人生の最高得点にならないように頑張らないといけません。(笑)

 

さて、この研修では、通常の営業研修のコンテンツに加えて、今回は、部下のいらっしゃる方という事で、部下のやる気マネジメントのコンテンツを追加、その中でピグマリオン効果の話をさせて頂きました。ピグマリオン効果とは、一言でいえば「期待が人を育てる」という事です。

 

ピグマリオンとは、もともとギリシャ神話に出てくる彫刻が得意だった王様の名前です。その王様は、自分が彫った美しい女性の彫像に恋をしてしまい、この彫像が人間になれば良いのに、妻にできれば良いのにと強く想い願うようになります。その強い想いを美の女神アルロディーテが聞き入れ、彫像に命を吹き込むというお話です。

 

そしてその王様の名前から名付けられたピグマリオン効果というのは、1964年にアメリカの教育心理学者ローゼンタールが、発表した実験結果です。彼はサンフランシスコの小学校で、知能テストを行ない、その検査の結果とは全く関係なく選ばれた児童の名簿を担任の教師に見せ、この児童たちが、成績が伸びる子供達だと伝えたのです。

 

結果として教師は、その名簿の児童たちに期待を込めて接するようになり、その子たちの成績は上がったという事です。実験方法については、諸説ありその後様々な議論を呼んだと聞いていますが、私自身、ピグマリオン効果を非常に効果のある方法だと考えています。人の可能性を信じ、そして自分の可能性を信じる事は、人を成長させる上で、そして自分自身が何かを成し遂げる際に非常に大切な事だと考えています。

 

昨年実は、私自身が「駄目だ、駄目だ」と言われて続けてすっかり自信を失ってしまうという大事件がありました。これは、私にとってまさかの大事件で、精神的にもきつかったですが、それはそのまま身体の変調にもつながりました。冷凍タラバガニの下敷きで寝たきりになりキャリアを棒に振った時に続き、人生2度目の挫折経験は、人の痛みを知るという意味でとても良い経験だったと今では思います。
研修では、その私の生事例でお話しさせて頂きましたが、営業研修であったにも係わらずピグマリオンが良かったですというアンケートコメントを書かれた方が複数名いらっしゃいました。生の事例というのは、響くのだと改めて私自身気づきがありました。

 

研修を受講された方々は、研修内のディスカッションで、忙しいと部下に対して、「ついつい問題点だけを指摘していた」、また営業部門ですから、ついつい数字で詰めてしまう事もある「全然褒めていなかった」「期待を伝えていなかった」と、様々な意見を交わされていました。自分自身が辛い経験をしたので、「人は褒めて育てよ」と思いますが、特にビジネスにおいては、ただ褒め続けるだけでは、強い部下は育ちません。時には厳しくする事もあるかと思いますが、期待が人を育てます。部下に対して単に声をかけるだけでなく、単に褒めるだけでなく、あなたの期待を伝えて、期待を込めた接し方をして頂ければと思います。