In 営業力強化

売れる営業の持つコツ

売れる営業の持っているコツというのは、実は千差万別です。

そのコツを自分自身の営業の型として整理して常に意識している人と、なんとなく経験で使っている人とでは、再現性に差がでます。ここで言う再現性というのは、同じように出来る事、つまり上手くできた時にやった事を、繰り返しできるようになるという事です。これが出来ていないと、スランプに陥った時に抜け出すのに時間がかかって大変なのです。

私も、何度もスランプに陥りました。前職で研修を販売する営業をしている際に、リーマンショックで心肺停止になりそうなスランプに陥りました。そして、その後、それを愚直にやり続ければ成果が出る事を13個リストアップして、週に1個づつ意識するようにしました。

仕事と言うのは、残念ながら努力=成果ではありません。学生時代のクラブ活動のように、がんばれば頑張った分だけ褒められたらどれほど楽か判りませんが、実際は、結果が伴わないものは、(育成中と認定されている新人の方は例外ですが)認めて貰えません。

派手なスランプに陥ってしまった時、誰も褒めてくれないかも知れませんが、自分の決めた「これをやり続ければ成果が出る」という事を一心不乱にやり続ける事ができるのは、かなり効果的で、かつ精神的に楽になれるものだと、実践してみて実感しています。

今日は、実際に営業活動をされている方、または営業を育成する立場の方の為に、そのうちのひとつをご紹介します。なんで徳目などと言う言い方をするのか、気になる方は、「セールスで成果を上げる13の徳目~はじめに」からお読みください。

 

Emphatic Listening: 傾聴 相手80 自分20

売れない時の営業は、とにかくしゃべり過ぎです。失礼ながら、売れていない営業の方もとにかくしゃべり過ぎてしまっている事が多いです。もの凄く商品知識があるし、トークも軽快、交渉力にも少々自信ありで、人当たりも悪くないのに、なんで私は売れないなんだろう・・・という疑問で頭がいっぱいの営業の方は、お客様にひとつ質問を頂こうものなら、100倍返しで「お客様の為に」とことんご説明してしまっていないか、胸に手を当てて考えて見て下さい。

元セブン&アイの鈴木敏文さんなら、「お客様の為に」などと言うのは、自分の都合だ、「お客様の立場でなければいけない」と絶対におっしゃるでしょう。

大きな商談を成立させる条件

簡単に言えば、最初にお客様が口火を切って下さった事に飛びついてしまうと、お客様の本音はぜったいに聴き出す事などできません。ついでに他のモノやサービスをご購入(またはご成約)頂くクロスセリングも成立しません。まして今や、「お客様と新しい価値を共に生み出だす」という事が叫ばれ実際に多くの企業でそれが提唱されているのです。問い合わせが来たものに誠実に丁寧に応えるのは、一見良さそうですが昭和の手法だと思って頂いて結構です。いまやお客様は、WEBで詳細を調べる事も、口コミもチェックされる事もできるからです。

直接的な最初のお問合せに飛びつくと、大きな商談を成立させるのが難しいという事を、具体的な例でご紹介します。たとえば、インターネットと携帯電話と、電気と、ケーブルテレビを売る営業の方がお客様に「インターネットに興味があります」とお声をかけて頂いて「3メガでよろしいですか?320メガがよろしいですか?」とパンフレットを出してしまうと、もう最高に上手く行ってもインターネット回線しか売れません。

お客様がなぜインターネットにご興味をお持ちか伺ってみたら「孫が同居するんでね」という本当のニーズが聴き出せるかも知れません。そうすれば、ご家族みなさんで携帯電話、電気代も節約したい、小さいお孫さんであれば、ディズニーチャンネルをご一緒に見れるケーブルテレビのご契約も頂けるかも知れません。

つまり、なぜインターネットが欲しいとおっしゃっているのか、本来のニーズを聴き出さなければ、いけないのです。その為には、まずは徹底的に相手の話を「聴く」に徹しなければなりません。これは、実は営業の場面だけでなく、上司や部下、同僚などの社内における対話であっても、同じです。成果を出さなければいけないビジネスの局面では常に意識しておいた方が得なのが相手の本当の意図や本音を「まずは、聴く」という事です。

相手80 自分20のバランス

私が何故相手80、自分20を「セールスで成果を上げる13の徳目(秘訣)」に入れたのかと言えば、昔何かの本で読んだのです、コンサルタントは相手80、自分20だと。そもそも私の前職は、ビジネス書としては空前のベストセラー「7つの習慣」の会社です。著者であるコヴィー博士の言う第5の習慣は“Seek First to Understand, Then to Be Understood”「理解してから理解される」(今、日本語の習慣名変わっていると思います)です。

本来ならコヴィー博士の言うように「相手が完全に理解してもらったと感じるまで」兎に角聴くに徹するべきでしょう。でも、そこまでしてしまうと、人間関係は改善されるかも知れませんが、それでは、商談に時間がかかり過ぎるので、具体的な数字を入れました。(コヴィー博士が生きておられたら、「人間関係は早いは遅い、遅いは早い」とか、怒られそうですが)

営業のスキルが余り高くない方々に研修で、徹底的に「聴く」と言うと、素直な方は、最初の課題に飛びつかないで、丁寧な商談をするんだなと理解して下さり、何をするかと言えば、単に丁寧に相槌を打って行きます。これをやってしまうと、そのまま相手の真意を洞察する質問を飛ばすわけでもなく、自社製品、サービスを紹介するでもなく時間切れになり、次回の商談機会を頂けず終了という事もありうると思っています。

特に法人営業の場合、初回商談は居合い抜きのようなもので、一回目の商談でバサッとお互い判りあえないと、次はありません。そんなに暇な担当者はこの忙しい世の中に存在しないからです。ですから、研修ではこのようなパワーポイントを使っています。「※注意 商談の間中ずっと傾聴していると・・・・・・売れません。」(笑) 皆様もご注意下さいませ。

と、偉そうに書かせて頂きましたが、私のお客様から「柏さんは、無駄話80の仕事の話20じゃないの?」とか、総攻撃にあいそうで、今物凄く心配です。