In 導入事例

DTSグループは、連結売上高約790憶円、グループ全体の従業員数4500名超、東証1部上場の独立系ITベンダーです。高い技術力と盤石な顧客基盤で、設立以来45期連続で右肩上がりの営業利益を更新されています。創立45周年を機にグループ企業の力をひとつにする為に、グループ全体の経営理念としてDTSグループWAYを掲げられました。本年度は、昨年に引き続き、WAY(経営理念)を活用した研修をグループ新入社員140名に実施させて頂きました。

研修名:組織の中で自分を活かす 「DTSグループWAY」で考える私たちの未来」

研修時間:3時間30分

対象:2018年度 新卒140名

 

経営理念活用によるモチベーションの向上

昨年の同研修で設定したゴールは以下の3点です。

  1. 自分のWILL(想い)と組織の持つWAYのすり合わせ・共感による帰属意識醸成の土台作り
  2. WAYの理解を通じ、仕事の方向性と判断基準を理解する
  3. 仕事の意義を喚起し、早期の退職を予防する

今期の研修は、経営理念と仕事のビジョン研修です。研修ゴールは、前年を踏まえておりますが、一言でいえば「やる気を喚起する事」、人事用語で言うモチベーションの向上です。その為の手段として、自分自身の仕事のビジョンを持つことをゴールにしました。そして組織の中で自分自身が成功する確率、成長する確率を大きく上げる為には、組織のルールを理解することが重要であり、グループWAY(経営理念)を自分の中に取り込む事のメリットをお伝えし、グループWAYを理解することで、組織の存在意義と方向性を知り、DTSグループWAYを職場で活用できるようにします。

受講者の方へのゴールは、自分の為になるという事を強調させて頂いております。これからの時間をご自身の為に有意義に過ごして頂く為です。この研修スタンスがこの研修の成果を最大化する為に非常に重要なのです。

論文でも書かせて頂いており、常々お伝えしておりますが、新入社員研修に限らず、経営理念の浸透で鍵になるのは、個々人の共感です。理念浸透を定量的に可視化する指標として「認知的理解」と心で理解する「情緒的共感」、行動で示す「行動的関与」の3つの指標がありますが、このうち「情緒的共感」が最も浸透に効果を発揮します。理念唱和を毎朝するなどは、効果ゼロとは言いませんが、実は浸透にはインパクトは薄く、まして行動の強制は、浸透には効果がないのです。(2017年弊社調査)

DTSグループでは、昨年のグループWAY刷新にあたり、WAYを冊子にしたものを全社員に配布、新入社員の方ももちろん最初に頂いています。会社の理念もこのように目に見える形で、常に触れられる形で周知することには意味があります。しかし、組織の大切な事がその経営理念の冊子に書かれていても、殆どの方が読まずに終わり、企業サイドは理念冊子を配った事で安心・終了では、せっかくの経営理念が全く生きません。

経営理念をしっかり理解して、それをどう自分が活用すると「自分がこの組織で成功し、成長するスピードが上がるのか?」140名の受講者の方に向けて、3時間半という時間を目いっぱい使って、お伝えしました。

研修構成

研修構成は、以下の通りです。

  • 経営理念を理解する(一言で言えるようになるまで、かみ砕く)
  • 自分の強みを探す/相手の強みを引き出す
  • 仕事のビジョンを持つメリットを理解する
  • 仕事のビジョンと行動指針を明確化する(ここでは導入企業に合わせて信条)

昨年の2時間から、3時間半に時間が延長をして頂きましたので、深いディスカッションができるように、またしっかり行動につなげられるようにという点に留意して、新しいコンテンツを沢山入れさせて頂きました。

経営理念を理解するパート

冒頭は、私の方から経営理念とは何か?なぜ存在するのか?をご紹介させて頂きました。講義の時間は、楽しくありませんが、最低限の知識は必要と考える為です。

その後、DTSグループWAYの理解のパートでは、模造紙演習を行いました。一言で、自分の言葉で表現できるようになるまでかみ砕く為に、企画責任者の方からは、思考が浅くならないようにして欲しいというご依頼を頂いておりましたので、演習を2つ重ねて理解とディスカッションの質を高ける工夫をしました。

皆様の会社の経営理念の文言は、社員の方に響くものですか?高い理想を掲げるとどうしても、同じような言葉に見えがちです。当たり前の言葉で、通り一遍のような気がするかも知れません。しかしながら、そのフレーズの背後から目指す所やもしも幸運であれば仕事の意義(これはこの後の自分事ステップ踏まないと中々難しいのですが)を見つけ出し、自分の言葉で言い換えたとき、その言葉に魂が入り自分の中に腹落ちするのです。

各グループで創り出されたDTSグループWAYのまとめを幾つかご紹介させて頂きます。

  • 私たちDTSグループは、人々の生活を豊かにするために、常識を塗り替え、新しいものを生み出す
  • 明日の社会づくりのために、技術と人を大事にして、新たな価値を作り出す
  • 私たちDTSグループは、技術をもって1つ先の未来を創り出す企業集団になる
  • 私たちは新たな価値を創造します。主体性を持って技術を向上し、お客様の信頼を得る
  • 私たちDTSグループは、幸せのために、周囲に対して相手意識を持って行動する
  • 私たちは、笑顔があふれる社会を目指します。そのために相手の立場に立って、自ら考え、行動する

ビジョン設定の視座を上げる

今回の研修は、今回グループ合同研修だったこと、ご参加される人数が多い事から、冒頭グループ内での自己紹介を行いました。自己紹介のサブテーマは、「あなたはビジョンを持っていますか?(こうなりたいなぁという姿を持っていますか?)」です。全体でビジョンを持っているかどうかを伺ってみますと、全体の約5%程度、7-8名の方の手が上がりました。ただし、そのビジョンを何人かの伺ってみると「会社に入って早く仕事を覚える事」的な解答で、たしかに先の姿という意味においてはビジョンですが、少し視座が低いように感じました。この時のご発言が貴重でしたので、それを活かしてグループWAYの演習の後で組織のビジョンはもっと視座が高いという事を、このご発言に戻ってお話させて頂く事ができました。

ビジョンを持つメリット

自分自身の仕事におけるビジョンを持つメリットは、ひとつだけではありません。昨年までは、ビジョンをもつひとつのメリットとして、ゴルフ(ゲーム)におけるフェアウェーを例に、芝の短い所に玉を打つと早くゴールできる、このフェアウェーが組織における経営理念(DTSグループWAY)というお話をさせて頂きましたが、今年からはモチベーションを高く保つ方法や、成長に必要な要素を確実に手に入れる為に「カラーバス効果」を発揮する等、複数のメリットを提示させて頂き、ご自身の頭で考え、メリットありと結論を見つけ出して頂けるような構成としました。

ビジョンと行動指針(信条)の明確化

もっともハードルが高い演習が最後の行動に繋げる部分の行動指針(DTSグループにおける信条)を書く部分です。3つの演習で構成されていますが、ここがしっかり出来ないと上滑りしてしまうと感じていました。結果は受講者の方の胸の中ですが、各受講者の方のテキストが、このページは、まさにビッシリと書き込まれていた事からも、それぞれの方が、深く自分自身に向き合えたのではないかと思います。

ビジョンを書いて頂いている時間の途中で、受講者の方から個別の質問がありました。実は自分は、すでに入社前から色々考えていて、手帳に常に書き留めている、でも幾ら書いても肝心の実行の仕方が判らなくて実現できない。どうしたらビジョンは実現できるのですか?という質問でした。

拝見させて頂いた所、小さなメモ帳には、彼の志がびっしりと書かれていました。「独学力」などと言う単語も大きく囲みで書かれています。思わず、座り込んでお話を伺ってしまいました。

ビジョン(この場合判り易く目標と言う言い方をさせて頂きました)を実現するには、どうしたら良いか?もちろん古くから目標達成の世界で言われているような各単語の意味には諸説ありますがSMARTの法則(具体的、計測可能、達成可能、現実的、期限あり)を引っ張りだして、お話しても良かったのでしょうが、とっさに出たのは、自分自身の目標達成ポリシーでした。

  1. 目標はどんなに多くても3つまでにする(私自身は、大目標はビジネスとプライベートでひとつずつです)
  2. 「私は~する」という様に行動を伴う形で明確な言葉にする。
  3. 目標をかみ砕く(蛇がリンゴを丸のみするような事はしない、無理なく出来る単位まで小さくして実行する)

良い質問でしたので、最後のパートが終わった後に、受講者からの質問という事で「私の目標達成のコツ」として、全体共有をさせて頂きました。プライベートでは、目標を立てて達成するのが趣味と公言しているくらいですので、これだけで何時間も話せそうな気持ちがしましたが、流石に3時間半の研修では難しいので、簡単に。

信条(行動指針)の発表

最終的に書き上げられた仕事のビジョンと信条(行動指針)を、グループ内共有して頂きました。どの方も素晴らしい発表をされていましたが、グループ内で特に素晴らしいと思われる発表をされた方をMVP(最優秀選手)として選んで頂き、そのMVPの方数名に全体でも発表して頂きました。

この発表が本当に素晴らしく、よくある新入社員研修のまとめの「決意」とは比べ物にならないもので感動致しました。発表者の方も話だすと止まらないというような熱を帯びた発表が続出致しました。研修ご担当者様からも、予想以上に受講者が自分ごととして考えている様子が見受けられたのがとても良かったとのコメントを頂戴しましたが、私も想像以上の皆様の頑張りに感動致しました。

究極のゆとり世代という先入観が崩された

学習時間削減、絶対評価など、考える力を育てようという「ゆとり教育」というのは、2002年にはじまり学力低下が叫ばれ2010年に終わりました。2018年度入社の多くの方は、小中全期間がゆとり教育という、「究極のゆとり世代」「超ゆとり世代」「ゆとりの大ボス」等と言われています。私自身、ゆとりの大ボスの登場に身構える部分もありましたし、雇用が回復して採用が厳しくなっている昨今、今年の新卒の方々は・・・・と戦々恐々でしたが、

今回の皆様は、本当に素晴らしかったと思います。

最後にその素晴らしい皆様にご自身を信じて、書き上げた仕事のビジョンと信条を胸に行動して頂きたく、期待が人を育てる、ピグマリオン効果のお話をさせて頂き、ピグマリオン効果を信じて「ぜひご自身に期待して下さい」というメッセージを贈らせて頂きました。

ピグマリオン効果を信じて下さいの「ちょっと厳しめ」な表情から、終った瞬間の受講者の皆様の充実した笑顔を拝見して、私の顔も「ホッ」という感じ変化しました。(同じパワーポイントを背景にしてこのギャップが凄いですね。)人は、期待をかければ幾らでも成長できる事、そして、弊社のミッションでもある「想いをエネルギーに生きる人」をこれからも増やすお手伝いをして行きたいと強く願った瞬間でした。

会社名株式会社DTS
所在地東京都中央区八丁堀二丁目23 番1号 エンパイヤビル8F
従業員数連結:4378人、単体:2643人 (2018年3月末) 
資本金
売上
資本金:6,113百万円(2018年3月末)
連結: 79,858百万円、単独:56,199百万円 (2018年3月期実績)
URLhttp://www.dts.co.jp
株式東京証券取引所 第一部 上場
事業内容システムインテグレーションサービス / ITコンサルティングサービス
ITソリューションサービス / システムマネジメントサービス
ネットワークマネジメントサービス / プロダクトサービス