In 営業力強化

信頼構築の為にできる事をする

売れる営業の持っているコツというのは、実は千差万別です。そのコツを自分自身の営業の型として整理して常に意識している人と、なんとなく経験で使っている人とでは、再現性に差がでます。ここで言う再現性というのは、同じように出来る事、つまり上手くできた時にやった事を、繰り返しできるようになるという事です。これが出来ていないと、スランプに陥った時に抜け出すのに時間がかかって大変なのです。

私も、何度もスランプに陥りました。でも何度も痛い目にあった事で、流石に対策を練るようになり、スランプに陥っても、それを愚直にやり続ければ成果が出る事を13個リストアップして、週に2つを選び、意識するようになりました。

今日は、実際に主に法人向けの営業活動をされている方、お客様と接する方、または営業を育成する立場の方の為に、そのうちのひとつをご紹介します。テーマは、信頼関係構築。みなさん、お客様との信頼構築の為にどのような事をされていますか?(その1から読まれたい方は、こちらから。)

信頼の両輪を磨く

セールスで成果を上げる13の徳目 -その3は、「信頼構築の為にできる事をする」
という事です。お客様との間に信頼構築ができると、ご商談もスムースに進みますし、ご紹介を頂ける事もあります。また、特に金額の大きなご商談では、ご信頼関係がない場合、まずご商談が先へ進まないと思ってよいでしょう。

人から信頼して貰う為には、2つの側面を磨く必要があります。自分自身の専門家としての能力や技術力を高めて「高いスキル」をご信頼頂く側面と、人としての誠実さなどの人間性の部分。特に私が重要だと感じるのは、英語で言うところのインテグリティ(言っている事とやっている事が一貫している事)というような側面です。「7つの習慣🄬」という書籍の中でスティーブン・コヴィーは、これを人格と能力という言い方をしています。

営業職として成果を出す為には、まず基本的にこの両輪を自分自身が磨く必要があります。ものすごく専門性が高くても約束した事を忘れたり、商談時間に遅れて来たり、逆にもの凄く熱心で誠実だけど、話が薄っぺらで専門性のカケラもないような状態では、ご信頼を頂く事はできません。ちなみにスティーブン・R・コヴィーは、信頼は、人格的部分が重要で「7つの習慣©」は、その人格的要素を強化するプロセスだと言っています。

動体視力的行動を目指す

上記の原則的な事は、ベースとしてお持ち頂いた上で、さぁ、ここからです。要は成果を上げる為に、上げ続ける為にどのような行動を取ると効果的かが知りたいですよね。

これは、実は基本動作の徹底に加え、更に上を目指す為に動体視力的な動きが必要になってきます。動体視力とは、目の前の動くものを追う能力です。商談の場面では色々な事が次々起りますが、その流れの中で基本動作を繰り返すうちに、もっとも効果的な信頼構築の方法を掴めるようになると、本物だと思います。

「あっ、ここで、こんな事をしたらご信頼頂ける」がその卓越した動体視力によって瞬時にほぼ無意識でレベルで発動されるのです。仕事柄多くのセールスの方と接する中で、素晴らしい成果を出されている方とお話すると、本当にこの動体視力が発達しているなぁと感心することが多いです。

商談プロセスでこの動体視力が上手く発動する事は、多くの方の経験にあるのではないでしょうか?あっ、ここでこれを言ったら決まるな?的な感覚で行動する事です。商談プロセスでのこの体験を感じるのは、ある程度流れが決まっているので、展開を読みやすい為です。しかし、更に上を目指すには、「信頼構築」でも動体視力的行動ができる事を目指して下さい。

別の言い方をすると、信頼は自然と構築されるのではなく、意識的無意識的にせよ「取りに行く」のが大切という事になります。意識的に行うとちょっと嫌らしいと言いますが、何か狙いを感じてしまいますので、瞬時・無意識というのは、大切です。

信頼関係構築の為の基本行動

そして、その信頼構築の動体視力を養う為には、基本の徹底が大切です。
業種によって異なりますし、リストアップなどしてみますと、とても偉そうで恐縮ですが、私が考えるお客様にご信頼を頂く為の基本動作とは以下のような事です。

1. お客様との距離を近づける行動をする

知ろうとする事・好きになる事・共感する事などがあげられます。仲良くなることですか?少し違います。仲良くなることがゴールではなく、円滑にお話を進められる関係性がゴールです。知ろうとする事が特に重要で、以前に「事前にお客様の事を徹底的に調べる」というお話をしましたが、この更にバージョンアップ版のようなイメージです。法人営業の例となりますが、経営されているお店に行く、商品を購入して使ってみるなどの、ひと手間行動です。

当たり前だと思われますか?でも、以外と盲点になっています。私は営業部門に自分も入って売上向上の為のアドバイスをする営業コンサルタントとしての仕事もさせて頂いています。
短期間で成果を出して頂く為に、少々きつい事もズバズバ言わなければいけない仕事です。

先日ある営業の方が非常に大きな商談のチャンスを掴まれました。どのようなプロセスでお客様に接して行けば成果が上がるかというチームとの話合いの中で、お客様が美容院チェーンをお持ちでしたので、私はごく当たり前に「ではまず、お店に行って髪を切って来ては?2-3店舗見ておきたいので、2店目はシャンプーでもいいですが、できれば奥様にもお願いして・・・」と担当の営業の方に矢継ぎ早に言いました。営業の方の答えは「嫌ですよ、決まった所もあるし」でした。

ええええええ、そうなの、年間平均売上の3倍から5倍ぐらいの、ものすごい金額の商談なのに、そうなの?????とクエッションマークが、ずらっと並びました。

でも、よく考えて見ますと、プライベートと仕事にきっちり線を引かれたいという価値観をお持ちの方には、当たり前なのかも知れません。もしくは、そのノリで10年やって来られた方でしたら、その方針変更はキツイのかも知れません。直属上司だったら、この件、もっと意見を戦わせたと思いますが、私は外部からのアドバイザーでしたので、それ以上は強要致しませんでしたが、とてもポテンシャルの高い方でしたので、もう少し踏み込むといいのになぁと少し残念に思いました。

私とて、すべてのお客様にそうしている訳ではないので、偉そうに言えないのですが、私は飲料メーカーのお仕事では、新商品を全部飲んでみますし、毎年恒例2-3月のコンビニエンス・ストアさんの提案書作成時は、毎日3-4回お客様のお店で買い物をしていました。(1か月で4キロ太った事もありますが)証券会社さんのお仕事ならその企業の店舗を回って窓口対応を拝見しますし、現在は、量販店さんのお仕事にかかっていて、同規模スーパーの主にパートさんの動きを追っています。

勿論、研修の中でもいつも申し上げているのですが、最終的には、自分で編み出した法則でないと効果的に作動しません。セールスで成果を上げる13の徳目(秘訣)はご自身で作り上げて頂く必要があります。私のやり方は、あくまで参考ですので、ご自身職場で、ご商談で、信頼関係構築の為にできる事を徹底的に考えて見て下さい。

好きになる、共感するも、実は取りに行くのが大切です。私の研修内でも共感の方法、共感を探しに行くタイミングなどをお伝えしています。信頼関係構築の為に、効果的なコミュニケーションの為に、ぜひご自身の商談場面で考えて見て下さい。

2. お客様の役にたつことをする事(仕事とプライベートを問わず)

どのような事を解決して差し上げたらお客様に喜んで頂けるでしょうか?お客様が興味を持たれている事はなんでしょうか?

前職の研修会社勤務の時は、カスタマイズで高い料金を頂くのがお客様に申し訳なく、会社への対抗意識から「どうしたら無料でプラスαのサービスが加えられるか?」という事を常に考えていました。もっと小さな事も良いと思います。

私の自宅は勝どきで築地市場の場内という業務向けの仲卸が軒を連ねている所に買い物に行くのですが、とても感じの良いお気に入りの仲卸さんがあります。そこでは、「あなただけ感」満載の常にプラスαのサービスがあります。自分が選ぼうとしていた烏賊を「ちょっと待って、こっちの箱の方が新しいから」とか、こっちの方が肉厚だからとかで変えてくれるというような、小さな「あなただけ」感を醸し出してくれるお店です。業種によって、お客様の喜んで下さる事、お客様の役にたつことは、異なることと思いますが、いかにお客様の立場で考えられるか?これがポイントだと思います。

セブン・イレブン・ジャパンの創始者で元セブン&アイホールディングスの名誉会長の鈴木敏文さんは、「お客様の為にではなく、お客様の立場で」という事を常に言われていたそうです。お客様の為にというのは、絶対に自分の都合が入るのだそうです。お客様の為に、この商品を売ろう!というその商品は、今月会社が販促をかけている商品ではありませんか?

3. 【Special】お客様個人とお付き合いするという姿勢を崩さない事

最後の3つ目は、私の仕事の仕方の信条のようなものですので、スペシャルとしました。これは、法人向けに人材育成のコンサルタントとして、実際にトレーニングを担当する講師として仕事をしている私の場合です。ご商談は経営層の方、人事部の方、経営戦略室の方などです。

以前、お客様に「これが嫌だよ、研修会社の営業」という事で伺ったお話ですが、同じ業種でも経験の浅い営業の方はマニュアル通りに動くそうです。そして、マニュアル通りに大きなご契約を頂く為に上の人をなんとか引っ張り出そう的な仕事の進め方をされている方がいらっしゃるそうです。お話を伺った方は、肩書が人事でないので、なんとか人事をひっぱりだそうとしているのがみえみえで嫌だった、また同じ営業の方に、あからさまに上司との面談を希望された等、こぼしておられました。

時として日本企業の大手法人とのご契約では、階段を一段ずつ登るように、上の方との面談をさせて頂く事もありますが、上の方とご面談する為のテクニックは、必要ないと私は考えます。それより、目の前の時間に集中すべき、目の前の方と向き合うべきです。

また、個人とお付き合いをするという事を私が心掛けている結果として、その方が、人事以外に異動されても、退職されても、お付き合いの仕方は変わりらないというのがあります。人事から別部門の場合は、逆に利害関係がなくなった方が、プライベートな集まりなどにもお誘いしやすい事もあります。人と人との結びつき、信頼関係というのは、部署や役職によって決まるものではないですよね。

本日は、「信頼関係構築の為に出来る事をする」という事を、お話させて頂きました。当たり前の言葉の中に実に沢山のやり方がひそんでいるのです。小さな工夫と心掛けで長期的に成果を出す1ステップになります。

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