In 理念浸透

研修中に炎上して袋叩きにあったら・・・・・・・・

研修講師なら、のちのち夢にでてきてしまうほど、これは恐怖だと思います。だから細心の注意を払って研修やファシリテーターをしているワークショップを進めるわけです。

でも、注意していても、うっかり構成上炎上させてしまって、フォローに死にそうになることも時にはあります。私も実は失敗したことがあります。それは、経営理念を作るワークショップでのことでした。社員でビジョンを作る時に、何も判断基準のないなかで勝手に作る訳に行かないので、社長から3つのビジョンを貰ったら、「そんなの聞いていない」と炎上しました。

私は必死のフォローでなんとか午後は盛り返しましたが、全社員参加の10回近いワークショップでこの第2回というのは、1回目が上手く行ったのに2回目でまさかこけるとは、、、という強烈な印象を残しました。そんな訳で、この会社の理念策定ワークショップは、私の中で第2回が最高に辛かった、大変だったというのが思い出だったのですが・・・・

最近別の研修でその時の参加者のひとりにお会いしました。何回目のご参加だったんですか?と伺うと「2回目です」とおっしゃるので、「あぁ、あのプチ炎上の回だ」と思いました。その方は続けて「最終的に決まったもの(経営理念)に僕たちのグループのタグライン(ミッションのこと)と4つのバリューのうちひとつ、なんと僕らの考えが2つも採用されて、あのディスカッションはすごかった」等と本当に嬉しそうに誇らしげにおっしゃいました。

「え?そうだっけ」と写真を撮ってあった携帯の画像を確認すると、確かに役員の方が「このタグライン考えた人、表彰したい」と役員会でおっしゃったタグラインとエッジが立っていて素晴らしいと皆さんに気に入って貰っている4つのバリューのうちのひとつを作りだしたグループでした。

その方は、続けて「僕たちのグループ、途中でやり直しになって最後の最後まで作れなくて、みんなに助けて貰って・・・・・」。

そうだ、思い出しました。ヒラメキのような感じてさっと作り上げたバリューがすごくあたりまえの言葉が並んでいて、「終わりました!」とか言われて、え、そんな浅い思考で作って終わっちゃうの?タグラインでこんな凄いものが作れるチームなのに、もっと出来るでしょう、とかなんとか私がめちゃくちゃなダメ出しをして、やり直しになったグループです。
一番に終わったと思ったらやり直しになってしまって、グループの中には、面白くない感情を持たれた方もいらっしゃったと思います。その後、このグループは言葉をひねり出すのに、大苦戦をします。先に終わったグループは、他のグループにコンサルタントとして助けに行くルールなのですが、最後の最後まで完成しなかった、このグループは最後には、他の全部のグループに囲まれて、わいわい外野の声援だかアドバイスだか判らない言葉をシャワーのように浴びながら必死で作り上げたのでした。

実は先の役員会で、「これを考えた人表彰したい」と言った役員の方に私は「誰がではなく、この日のみんなのディスカッションから生まれた言葉ですので」と偉そうに言いましたが、(全部そのような方針で全体でのディスカッションで作っているので)思い出してみたら、まさに、確かに、想定以上に第2回参加の全員で作ったものでした。そして、それがプロジェクトチームの長く熱い議論の末に最終的に選ばれた。それに気づいて、ちょっと鳥肌がたちました。

炎上したら大変だ、炎上したらカッコ悪い、講師としては色々思う所もありますが、炎上しようが、何しようが、それをきっかけに受講者の方が心を全開に開いてくれたら、とんでもなく大きな成果が得られる、まさに相乗効果、そんな体験でした。アドリブ満載、ライブ感溢れるワークショップでは、時としてプチ炎上もあるかと思いますが、これからは「炎上上等」で行こうと思いました。