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先週は、経営理念刷新ワークショップの第1回目でした。受講者アンケートの項目に「今日最も印象に残ったのはなんですか?」という質問がありますが、そちらに「経営理念オタクた居た事。経営理念を作成する上での知識、経験を得られてとても満足しています」と回答して下さった方がいて、ひとり大笑いしました。これ最高の誉め言葉ですよね。確かに、自称も「経営理念オタク」でございます。

今回のワークショップは、IT企業様での経営理念刷新プロジェクトの一環です。経営理念(ミッション)はすでに決まっておりましたので、ビジョン(方向性)とバリュー(行動指針・判断基準)をボトムダウンで決めようという、ワークショップ2回と3か月のコンサルティング契約です。

400名弱の企業様ですが、そのうち約50名の方に参加して頂き、ビジョンとバリューの草案を作って頂き、選抜チームが複数回ミィーティングを開催してそれをまとめて経営陣に諮る予定です。新しい研修を実施する楽しさと苦しさを同時に味合わせて頂きました。

ワークショップの狙い

今回の狙いとしては、以下のようなものを持っていました。

  1. 「ボトムアップで刷新する事で社員の方に共感生む理念を創る」
  2. 「理念策定を通じて参加者の方のモチベーションを向上させる」
  3. 「イノベーションを起こすビジネスの種を見つける」

狙い1については、これはその後の浸透を考えれば、「共感」がキーになりますので、できるだけ多くの方に係わって頂きたいと思いました。

狙い2については、せっかくのカスタマイズですので、プラスアルファをと思い事前打ち合わせで先方社長様に、ただ理念を創り変えるだけでなくプラスの効果も感じて頂きたいのですが「みんなで創る、相乗効果を感じる」と「ご参加頂いた皆様のモチベーションがアップする」とどちらが良いでしょうか?とお尋ねしました。

是非「モチベーション」というお答えでした。。社員の方の才能を信じて、活き活きと働いて貰いたいという社長様の想いが伝わってきました。そして、組織だけでなくお一人お一人の方の想いの方も大切な「オタク」な私としてはウエルカムなまさにご依頼でした。

3については、この組織において結果を出すという意味で私の方で勝手に追加して心がけました。

ワークショップの構成

全体の構成としては、モチベーション向上という課題が背後にありますので、ただ選ばれてしまったから、会社を代表としてビジョンを策定するだけではなく、自分自身のメリットの為(組織の中で自分を活かす為、成長する為)と社員を代表して「働きやすい会社を創ろう」というスタンスで行きました。

「自分たちのメリットの為」、これは私自身が強い信念を持っておりますので、私の理念系研修では鉄板ですが、ちょうど写真が、「あなたたちこの会社で自分が何キロで走りたいの?先行き判らなくてノロノロ運転したいの?アクセル踏み込みたくないの?」と言う趣旨の事を、いちおう丁寧な言葉を使って(笑)、力説中のところでございます。

そして5年後をイメージしたビジョン草案策定の過程で、「業界にイノベーションを起こせるような新しいビジネスの種を見つける」為の演習を豊富にかつ時間をかけて行いました。

アンケート結果

  •  ワークショップの満足度 平均9.00
  •  自分自身がこの会社でやりたい事は、明確になったか? 平均8.58
  •  ファシリテーター推薦度 平均9.16

この他に ワークショップ前の会社への期待とワークショップ後の「会社への期待」を伺いました。

満足度が高すぎて全部10点をつけて下さった方を、このデーターに関しては、残念ながら(笑)統計的な欠損値として除外して前と後の差を見ると点数平均で2ポイントも上昇しました。え~1日でそんなにモチベーション上がるんですか!と私自身驚くほどの結果です。

それだけ今回の皆さんが1日集中して取り組み、良い場を創り上げて下さったという事だと思います。

最も印象に残った事という項目からコメントを抜粋します。まず会社のビジョンを自分たちが創るという事で経営参加意識を持てて楽しかったというコメント。

「自分たちで会社を作っているような意識を持てたことは、大きな収穫でした。」「今回のようなワークショップ自体は初めての経験だったが、自分たちで会社の未来を創り上げて行くという感覚が楽しかった。」「5年後の会社の姿を各グループが発表したこと、いろいろなイメージを感じることができました」

とにかくディスカッションを増やしたり、隣のグループに応援に行ってもらったりと「語り」尽くせる場をどんどん作りましたので、その部門超越のコミュニケーションが刺激になったというコメント。

「グループ内も、グループ外も様々な意見が出ている中、みんなよく話をまとめられていたと思う。すごい刺激になった」「沢山の部署に沢山の面白い人材がいることを知った」「普段話す事がない人とディスカッションができ、とても刺激になりました」

いざビジョンを短い文に纏めるとなると、かなり苦戦をされたわけですが、結果に各グループが満足の行くものを生み出す事ができました。生みの苦しみに関するコメント。演習はキーワードをすでに出していたので、40分の予定でしたが、白熱しましたので90分に延長しました。

「最後のビジョンを決めるグループワークは、たかだか3行を決めるだけだったが、文のつながりなど、考え始めると、とても難しかった」「Visionについてのディスカッション。キーワードや意見が多くまとめる事に時間がかかりましたが、グループ全員で楽しめたと思います」「他社の経営理念や指針を知り、その中にある想いを知る事で、ワークショップ自体の参加のモチベーション向上につながり、想いを込めた草案を創る事ができました」「草案作成で考えを簡潔な文章にまとめる難しさを感じましたが、ぼんやり思うだけでは無く、しっかりと意識をしたら、すんなり文に出来たことに気持ちの大切さを知りました」

受講者属性

選抜約50名は、社歴16年から社歴数年の方まで、比較的若い方が中心でした。指名された方と立候補(手上げ)の方の混成で、立候補の方は20%いらっしゃいました。みなさん、とにかく優秀でした。もうお昼休みの質問のレベルの高かさに驚きで、昼あけに追加の製造業など異なる業種における経営理念刷新事例(私が気を使ってIT系の事例に絞り過ぎた点をご指摘頂いた)や統計的資料を論文から幾つか引用して補足した程です。

重回帰分析とかP値って言って大きく頷かれちゃうのってすごいですよね。次回は最初からエビデンス(証拠の数字)いれます。

今回の反省点としては、時間配分にもっと工夫が出来た点があった事です。キーワードは、とても良いものが出ていて、私は各グループのキーワードで幾つもビジョンを想い描けましたが(オタクなので)、これを皆さんにやって頂く為にはそれなりの時間が必要という事でした。

ただし、時間内に適当にやるのではなく、「2泊3日の研修にして欲しかった~」などど冗談まじりに叫びながらも、最後まで、ものすごい勢いで集中して頂けたのは午前中の「良い理念の作り方」でしっかり「こういうものを作らなきゃダメなんだ」と腹落ちされていたからだと思います。

これから更に選抜メンバー8名とこの結果をまとめ、経営陣に諮り、次回までに新しいビジョンが決まります。次回はその新ビジョンを実現する為のバリュー(行動指針)作りという事で、次回も楽しみになってきました。

研修バリエーション

このワークショップのバリエーションで、「チームビジョン研修」をご提案可能です。部門やチームのビジョンを創り上げる過程で、自分たちのビジネスを共に考え、かつモチベーションも上げて行きましょうという1日研修です。チームのバリュー(行動指針)まで作る場合は2日となります。採用活動が激化する中、従業員定着化に日々お悩みの人事部の皆さまぜひお問い合わせください。

*今回は、最終的に事例の公開のご許可を頂いておりますので、また追記させて頂きます。どのような理念が出来上がるのか楽しみですね。