In 導入事例

株式会社NTTデータフロンティア様で価値共創研修を実施させて頂きました。

NTTデータフロンティア様は、従業員数11万人超、グループ総売上2兆円超という日本最大のシステム・インテグレータであるNTTデータグループの一翼を担われ、優れた技術力・開発力を武器に、特に金融業界向けシステムの開発・保守運用に強みを持たれる企業です。今回は、このNTTデータフロンティア様の、特定部門の約200名様を対象とした、管理職向け・一般職向け・やる気のある方だけ参加できるアドバンスコース等複数の研修を組合せた課題解決型、プロジェクト型の研修です。

そのメインとなる研修は4時間の「価値共創」研修です。お客様と新しいビジネスの種を見つけ、新しい価値を生みだす手法を学んで頂きました。NTTデータフロンティア様での研修ははじめてではありませんが、前回と一番大きな違いは、階層別ではなく、部門向け研修だった事です。部門特定、ニーズ特定、独自の浸透の工夫などを、複数回の打合せで詳細に設計して行きました。価値共創研修をメインに、管理職向けや更に学びを深めたい方へのアドバンスコースなどが用意されています。

この研修の打合せは、通常の研修事前打合せというよりは、組織を活性化し、お客様サービスを向上させる為のブレーンストーミングのようなものとなりました。組織変革のコンサルテーションとも言えますが、打合せをさせて頂いたのは、500名規模の部門を司る本部長の方とご人材育成を司られるの役員の方です。私以外のお二人のレベルが洞察のレベルが兎に角高いので、私も胸を借りるつもりで臨みました。この研修をきっかけとして組織をどのように活性化するか?そもそも会社を牽引する花形部門であり優秀な方が集まる部門なのですが、どのように新たな価値を生みだす組織にレベルアップさせるか?が主眼となりました。様々な課題について議論をして、その解決策を模索して行きました。この組織で働く皆様が、仕事にやりがいを持って「よし、やってみよう」とすぐに動けるような、マインドとスキルをご提供できればそれがゴールです。

左脳派の右脳の使い方を

研修コンテンツの一部をご紹介しましょう。議論の中で気が付いたのは、日本を代表するSIer、システム・インテグレータであり、優秀なメンバーを集結させている部門という事で、恐ろしくロジカルな方が多いという事です。脳の司る領域というような研究が進み、左脳は論理・数字、右脳は映像・感情等と言われていますが、もう完全に左脳派の皆様です。因みに私は全く右脳派です。

左脳派、右脳派、どちらの派閥も良い所がありますが、様々な局面がありますが時として「ロジックだけでは人は動かない」という事です。この左脳派軍団にエモーショナルな要素を少しプラスするだけで、コミュニケーションに深みがでるのでは?技術力にエモーショナルな要素を少し掛け算するだけで、大きなインパクトがでるのでは?と考えました。
ただし、研修構成は、ロジカルな方々を意識して、論理的裏付け(学術的裏付け)と実践的工夫のセットでご紹介する事を心掛けました。研修を説明して下さる人材育成の責任者の方が「右脳を使えるようにする研修です」とご紹介して下さっていて、いやいやそんな大げさなものじゃないですし、と恐縮しましたが、終わってみると、皆様の一番の気づきはその部分でした。

コミュニケーションにおいて左脳派が注意すべき点は?

研修コンテンツは、価値共創の考え方と手法ですので多岐に渡りますが、ではたとえばコミュニケーションにおいて優秀な左脳派の方が気を付けるポイントは何でしょうか?SIerさんに限らず、理系の方が多い組織にも見られる傾向です。

それは、結論を急ぎ過ぎる傾向がある事です。優秀で左脳派だと、更にこの勢いは加速します。これが管理職だと、更にその傾向は強くなり、部下に何か問われたら、「カチッ」と音を立てて「解を出す」スイッチが入り、最速で答えを出そうとしてしまいます。今回の研修では、相手との共感や相手の気持ちの動きの追い方などを学んで頂きましたが、研修内でのやり取りを拝見していても、多くの方は解を出す方に集中してしまいます。

アンケートのコメントにも、素早くキャッチアップして動くなどという事が書いてあります。因みに仕事の仕方としては、明確でビジネスライク、スピードもありますので全く悪くないのですが、新たな価値を共に生み出す為の相手とのコミュニケーションというような場合、いつもこのパターンにしない方が、より大きな成果を掴む事ができるという事です。感情的要素を侮るなかれです。

勿論この傾向は一例ではありますが、今回は、このような傾向の解決を狙いとして仕込んだ結果、アンケートコメントでは、これらの事に関して以下のような気づきのコメントが見られました。

・グループワークを通して、普段の自分の業務のスタイルは結論を急ぎ過ぎていると感じました。お客さんの要望の背景を理解することの大切さを学びました。

・どうしても答えを効率的に求めたくなってしまう、まずは相手の価値、理想を共有することを意識して打合せ等を実施する。

・研修内で指摘された通り、分析や問題解決の方向に思考が行く傾向にあるということを再認識した

・日本には「1を聞いて10を知る」といった諺や、行間・空気を読み忖度する風習があることや、素早くキャッチアップして動こうとした場合、起点を疑わず考え始めてしまう癖がついている事に気付いた。 実際に2人組の演習でも、なぜの問を発することで、大本の目標を達成するための別の解が見いだされ、新たな価値が見いだせる事を体験した。

「あたりまえ」を浸透させる秘密は、管理職研修にあり

カスタマイズの研修内容は多岐に渡り、かつ演習も新しい演習も含め多岐に渡っているとは言え、この「解を急ぎ過ぎず、相手の話を良く聴きましょう」という文字にすると、優秀な人にとって腹がたつほどあたり前な事がなぜ受け入れられるのでしょうか?それには、秘密があります。

判っている事を行動に繋げるスキルをご紹介して行く事は勿論ですが、最初に私の方で根拠(エビデンス)を事前に示している点が大きいと思います。この場合のエビデンスは、この200名研修の前に行われた「管理職研修」でのやり取りの一部をご参加の皆さんと共有して、「みなさんの組織の傾向」について「ここだけのお話」を沢山させて頂いた事だと思います。

実際、この管理職研修を本研修の前に実施した事は、実に有益でした。事前打合せだけでは、決して出なかった説得力が生まれたのは、この事前の管理職研修のおかげです。

管理職研修の打ち出しは、部下が学ぶ「価値共創の手法」についてのエッセンスを事前に学ぶというものでしたが、私は最初からこの研修での現状の生ヒアリングにかけていましたので、時間も1時間プラスして5時間確保をお願いしました。組織変革の鍵となる皆様とトコトン向き合い、必要と思われる要素をできるだけ学んで頂き、同時に私もこの組織について学ばせて頂く為です。またもうひとつの狙いとして、せっかく部下が学んだ事を現場に戻ったら上司のやり方に戻された等の実践における障害となるものを取り除くだけでなく、むしろ学んだ事を実践する事を現場で上司に支援して貰うという期待もありました。しかし、同時にこちらの管理職の方は、研修講師的に言うと「かなり手ごわい」かも知れないという事前情報もあり、かなり緊張して臨んだ事も事実です。結果はすべて杞憂に終わりました。

しかし、管理職研修で事前ヒアリングを兼ねるという事が手法としては有効ですが、同業者の講師の方には、まさか前月の管理職研修の結果から、次の研修を作るのか?と驚かれる方もいらっしゃるかもしれません。全くその通り、応用は効きますが使いまわしはできません。恐らく同社の別部門でさえ、実施の場合は、最初から打合せはやり直しになると思います。それでも、生の声を反映して研修設計をする事は、とても大切であると、今回プロジェクト的に研修を設計・実施してみて強く思いました。

管理職研修のアンケート(最も印象に残った事)も一部ご紹介させて頂きます。こちらの研修では、「価値共創」「リーダーとしての説得力」「モチベーション管理の手法」などを学んで頂きました。

・すぐに実践できる考え方や行動等、今後の現場で役に立ちそう事例をもとにした研修だったので、非常に集中して参加することができた。

・SEだからといって営業スキルが不要というわけではないということ。営業スキル、コミュニケーションスキルを向上させ、お客様との価値共創につなげたい。

・今後の現場に取り入れることができそうな事例が多々あり、有意義な研修であったため、今後も現場に反映できるような研修を開催してほしい。

管理職研修では、コミュニケーションの相手は、よりリアルに感じて頂く為に、対話の相手をお客様ではなく「部下」として設計し、一般職研修では入れていない高度な対話レベルを要求される現場事例で新たに作ったロープレも入れ込みました。そのような演習を通じ、こちらの研修でも多くの受講者の方が「すぐに解を求めたくなる」「結論を急ぎすぎる問題」についてアンケートで言及されています。

・普段の部下との会話では、どうしても解決策を提示することに終始してしまいがち。起きている事柄のみでなくその背景にある部下の考え方、価値観にもっと興味をもち接していきたい。

・共感、価値観共有といったマネジメント理論については、尤もであり頭では理解したつもりだが、相手がいる実践での難しさを、身をもって体感したこと。

・自分が部下との対話等で結論を急ぎすぎる傾向にあると改めて認識できたこと。

・普段の仕事上では「金銭面」「デリバリー早期化」など直接的な部分に目線がいきがちだが、それでは先が無い、価値観を共有した共創が必要 と気づけたこと。腹落ちした。

・すぐに指示やソリューション提示に逃げないように、相手が何を求めているか、を理解するステップを重視します。それは、部下もお客様も同様だと判断しましたので、必ず一歩踏みとどまり且つスピーディに実践したいと考えています。

尚、業界の傾向的にも、そもそもあまり「わいわいガヤガヤ」的な方が多いとは言えず、スタートは、毎回静かにはじまりましたが、結果的に価値共創研修なのに「久々に声を出して笑いました」的なコメントを頂いたり、「先生は本当にサザエさんのようでした」というアンケートも頂いたりしてしまうという・・・・なんでそうなる?(笑)というような不思議も体験しつつ、この後もこのNTTデータフロンティア様のプロジェクトは続きます。