In 導入事例

住友商事労働組合様で働き方改革セミナー「サッと伝えて、サッと帰る」~テレワーク時代の対話術という、90分のセミナーを晴海トリトンスクエア同社会議室にて、実施させてきました。テレワーク時代に持つべきビジネススキルと心構えについてのセミナーです。従業員数7万名超、純利益3000億円超という日本を代表する商社「住商」。そんな大企業のエリートの皆様に、どんなお話をさせて頂いたら喜んで頂けるのか?また、タイトルをご覧頂いてお判りかと思いますが、労働組合様の主催という事で、会社主催の研修とは異なり、「個人のメリット」にフォーカスした作りにと、いつもとは、切り口を全く変えての90分となりました。

住友商事のテレワーク推進

今回のタイトルにもあるテレワークとは、TEL(離れた所)でWORK(働く)という造語で、在宅勤務、モバイルワーク、サテライトオフィスなどで働く事の総称です。ICT(情報通信技術)の活用で、時間や場所にこだわらずに柔軟に働く事を指します。働き方改革の目玉として、推進する企業が増えています。

住友商事様は今秋、東京本社からでテレワーク制度を全面導入する事を発表しています。育児や介護中の社員のみでなく、全社員の約4000人が対象です。このセミナーの当日は、まさに大阪での導入も発表された当日でした。商社は時差のある海外との商談も多く、多様な場所で働ける環境づくりのメリットは大きいのです。

“住友商事は9月に東京都中央区から千代田区に本社を移転する計画で、その後に制度を始める。2日間の勤務時間(14時間30分)の相当分を毎週テレワークに充てられる。前日までに上司に勤務時間と内容、場所を報告する仕組み。 勤務場所には、自宅のほか今後契約する関東を中心とした100カ所以上のサテライトオフィスを主な対象とする。”(2018年6月18日付 日本経済新聞)

ダイバーシティ経営を推進される住友商事にとって2018年は、まさにテレワーク導入が目玉。制度が作られ、環境が整備されと推進が進む中、組合員(従業員)サイドから見た時に、この制度を自分の為に活かすというマインドがあれば、組織と個人がWinWinの状態を創り出せます。

テレワーク導入の戸惑い

ところが、テレワークが推進されて行くと、イメージだけの時は、「早く帰れる制度」程度に思っていたのが、始まってみれば、成果をより明確に求められる為に「厳しい」「今まで通りが良い」と感じる従業員の方も出てきます。しかし、もし失礼ながら「座っていれば給料が貰える」という考え方を持っている方がいらっしゃるとすれば、人生100年時代で働く期間が長くなり、雇用流動性も高まる中で個人のキャリアとして非常に危険です。会社が推進しているからという消極的な理由ではなく、この時代の流れで生まれたテレワークという働き方を、個人としても大いに活用すべきなのです。

では、テレワークのメリットに目を向けみるとどうでしょうか?

  1. 通勤時間がないので、会社往復の時間と出勤準備時間(化粧時間等)が丸々浮く
  2. プライベートの時間との調整が容易(家事・育児・介護・自己投資の勉強など)
  3. 自分の最も生産性の高い時間帯に集中して仕事をこなせる(商社では商談時の時差にも有効)

最も大きなメリットは、勤務時間を自分でコントロールできる(または、できる範囲が拡大する)事です。そして、工夫次第で自分の時間を自ら創り出す事ができるのです。

今回のアプローチ

仕事のやり方を少し変える事で「自由に使える時間」を創り出し、自分自身への投資の時間を増やして行きましょうというアプローチを取りました。住友商事では、「働く時は働く、休む時は休む」という事を良く言われるそうです。今回の受講者の皆様へのサブテーマは、「ワーク・スマート」。ワークハードではなく、スマート(賢く)に働く為に、着けるべきスキルとして、新しい働き方の時代に対応する対話術を取り上げました。

毎回最初は、会社主催ではない組合員の方向けのセミナーですからと、やさしくフレンドリーにスタートするのですが・・・・・・

すぐにいつものパワフル研修スタイルに変身してしまって、皆さんを驚かせてしまいます。ただ、今回は商社ウーマン16年、いきなり30憶のディールで、そのままトップ独走16年、ついたあだ名が「タラバガニの女王」というような、無駄にパワフルな私の経歴が、世界の住商さんとはレベルが違うにも係わらず、冒頭からおおいに共感して頂けたので、ご参加の皆様のセミナーへの入り込みも、速かったと感じました。

セミナー概要

セミナーの内容については、以下のようなアジェンダです。90分間で説得力を生み出す為の相手の本音をを「聴く」のコツと、明確な対話の為の「伝える」のコツをぎゅっと詰めてみました。そして、最後に自分自身の成長の為、自分自身の生活を豊かにするための時間の使い方についてお話させて頂きました。この「サッと伝えて、サッと帰る」というタイトルは、事前打合せのディスカッションの中で副組合長様のアイデアから生まれたのですが、実に的確で皆様の心を捉える事ができたようです。

セミナーの様子~速いレスポンスとテンポでの進行

自ら手を上げてお集り頂いた皆様の学びに対する姿勢は、とにかく素晴らしく、演習もどんどん入れて行きましたが、お隣同士、2人から3人組となり、どんどん意見の交換がなされました。

特に短い対面時間で如何に相手と効果的な意思の疎通を行い、相手からYesを貰うか?という部分では、対話の入り口の所での相手への「共感」への重要性とその生み出し方を、対話中の相槌力で相手との対話を弾ませる工夫の演習では、やってみると意外に上手くできない事で、みなさん驚かれたり、考え込まれたり。伝え方では、プレゼンテーション研修などでもお伝えする間の取り方や、インタラクティブな対話の作り方をお伝えし、テレワークでは必須の電話やWEB会議でのコツもご紹介させて頂きました。

そして流石、住友商事の優秀な皆さん、かつてないレスポンスとテンポでセミナーは進みました。会社主催の研修ではないので、「どうですか?」と投げかけると、できない場合は、できないと実に正直なレスポンスを頂けて、それが会場の外の参加者の共感を呼んで、また会場はさらに熱を帯びて行くと言う好循環でした。

私のセミナーは、このようにご参加の皆様に質問を投げかけて、それにお応え頂くという形式で進行しますが、その質問に対するレスポンスが兎に角速く、無駄がなかったからでしょうか?ふと気が付くと30分を残してパワーポイントは、5枚を残すのみに。私は90分セミナーで通常70枚のパワーポイントを使用するので、残り30分で5枚というのは、どう考えても足りませんので、結構ここで焦りましたが、折角ですので、逆にこのレスポンスの速さを活かし皆様からの疑問点にお応えする形で残り30分のうち20分を進める事にして、お隣同士振り返りをして頂きながら、皆様の疑問点を拾わせて頂きました。

 

ある方の課題は、「言いたい事が沢山あっても、焦ってしまって、なかなか伝わらない」という課題でした。

サッと伝えて、サッと帰るどころではありません。誰にでも上手くできる文章の構成のコツと、伝える際の

ポイントは、最初の「投げかけ」と最後の「未来を見せる」が重要で、焦らず組み立てて、そこを強調するようにとお伝えさせて頂きました。まさか住友商事さんでジャパネットタカタのモノマネをするとは思いませんでしたが、請われればなんでもやる派ですので、この日は、梅雨時のジメジメ対策、布団乾燥機を実演販売してみました。レベルの高い方々ばかりですので、これまで真面目な研修、難しい理論などは沢山学ばれて来た事と思いますが、誰にでもできる平易な形でという研修は、みなさんの「私もできるかも知れない」という気持ちに着火させて頂く事ができたように感じました。会場は皆さんのやる気にあふれ、その熱気で、もの凄い空気感になってきました。

 

また、ある方の別の方は、「何か言おうと思っても、上司から畳み込まれてしまう、私が言いたい事を言う事ができない」という課題を頂きました。これに対しては「効果的な受け身」と「ソフトな切り返し」の例をご紹介させて頂きました。これが、その前に演習をして皆さんに学んで頂いた「オウムとカエルの傾聴」のとても良い復習となりました。頭で理解して頂くよりも、具体的に「こうしてみたら?」「こう言ってみたら?」という提案をさせて頂いた方が、何をするか「具体的」に判るので職場ですぐ使う事ができ有効と私は考えます。

ボイストレーニングで説得力を高める

 

伝え方のコツという事で、「間」「対話」「声の質」から今回は効果的な「間」の取り方とその実践、また、「双方向な対話のコツ」をお伝えしましたが、声の質についても、「え?今回はなしですか?」そこが上手く行かないというお声を頂きましたので、こちらもアドリブで「みなさん、それではお立ち下さい」という事で、その場にお立ち頂きました。もう皆様、いったい何がはじまるのだろうか?と興味津々、今までにないセミナー形式に驚愕という感じです。

ここから、ボイストレーニングの秘訣をお伝えして、実際に実践して頂きました。パワーポイントもテキストも何もない中で、滑舌、早口言葉などのトレーニング法を私の方で実演して行きます。このパート完全アドリブでしたが、とても喜んで頂けました。どなたでも、努力で自分の説得力を変える事ができるのであれば、その方法は手に入れたいですよね。最後にボイストレーニング「カラオケ編」という事で、滑舌の良い中島みゆきと滑舌の良いスピッツ(歌手の名前です)まで歌わせて頂いて、みなさん呆然そして爆笑。

本当に皆さん、「使ってやるぞ」という意欲満々でいらっしゃって、このボイストレーニングを毎日どれくらい続けると効果が出ますか?等のご質問も頂きました。残念ながら私は中学で放送委員会、高校で放送部、大学でアナウンス研究会とすでに40年以上続けてしまっていて、この質問には即答しかねましたが、実際にトレーニングの仕方をやってみて頂いたご参加の皆様には、「続ける事で確実に変わる」という実感をお持ち頂けたようで、最後にご用意させて頂いたハンドアウトにチャレンジしたい目標を2つ書いて頂く所があるのですが、そちらにボイストレーニングについてお書き頂く方が多かったです。

 賢く働いて余った時間で何をしますか?

最後のパートは、まさに、「働く時は働く、休む時は休む」です。

私は、独立をして仕事の仕方を自由に選択できるようになってから、いかに少ない時間で高い成果を出せるのか?集中力は、どのように高められるのか?生産性は、どのようにしたら、最大化できるのか?という事にまさにハマっています。この日のセミナーでは、生産性を高める為にお勧めの書籍の紹介と遊んでばかりのようでお恥ずかしいのですが、担当の方から、是非との事でしたので私自身の事例のご紹介も。

築地市場へ魚の買付に行く話、女性限定のホームパーティでのネットワーク、50歳でのTOEIC挑戦、55歳でのMBA挑戦、そして昨年11月末から6か月で東京近郊の低山、高尾山へ20回登り、リフレッシュ効果のみならず体重マイナス8キロ減と嬉しい結果を得た話等、仕事をすることも大切ですが、積極的に仕事以外の世界を創ったり、それを楽しんだりするお話をさせて頂きました。

最後に数人の方にご感想を伺いましたが、みなさんから「楽しかった」と言って頂きました。このように楽しみながら学ぶセミナーを通じて、ご参加の皆様、それぞれが、働き方改革で手に入れる時間を、ご自身の成長の為、そして生活を豊かにするために有効に使う決意を新たにして頂ければ嬉しいです。