In 導入事例

日本ATM株式会社様及びグループ企業様で、一般職から管理職へとステップ・アップを目指す方向けのステップ・アップ研修1日コースを実施させて頂きました。1日研修を2週連続で2度実施、約80名の方にご参加いただきました。管理職を目指したいのか?目指したくないのか?本日は、研修風景だけでなく、組織人として上を目指す、目指して頂きたい方々の「意識醸成」に焦点をあてて、事例をご紹介させて頂きます。

日本ATM株式会社様は、社名にもある通り、銀行のATMに係わる監視・保守・サポートなどを一手に引受ける、日本におけるATM業界最大のアウトソーサーです。2017年には、ATM監視台数が100,000台を突破しており、アジアNO1のATMアウトソーサーとしての道を着実に進んでおられます。また、昨今は、ATM監視業務のみならず、金融・行政サービスのインフラ提供会社として、様々なサービスを提供する為にATMJグループとしての結束を高められておられます。今回は、そのような盤石なビジネスモデルを持つ、ATMJグループの4等級職、管理職候補の方向けのカスタマイズ研修を実施させて頂きました。

次世代リーダーの意識醸成

管理職に特になりたいと思わないという方が増えています。特に世紀末前後生まれのM世代(ミレニアル世代)と言われる現36歳以下の方々は、組織より自分の生活を大切に思う傾向が強く、なかなか自ら組織人として成長したい、だから管理職になりたいと思って頂くのが難しいと言われていますが、みなさんの会社では、如何ですか?

この話は、人事の方とお話すると必ず出る定番のお話ですね。仕事の仕方も多様化が急速に進み、管理職になるばかりが重要とも言えない業界も増えつつありますが、管理職になると「残業がつかなくなる」というような理由で、考える前から自分自身の組織における成長の機会ややりがいにつながる仕事を放棄してしまっては、非常に勿体ないと感じます。そこで必要になってくるのが、次世代リーダーの意識の醸成です。

今回は、管理職の一歩手前、一般職の最上位層に対して、ビジネス・パーソンとしてのステップ・アップを目指しましょうという事で、1日研修を実施させて頂きました。ステップ・アップ研修構成は以下の通りです。サブテーマは、「説得力」の強化で、現場リーダーとしての意識の醸成にビジネス・パーソンとして影響力を拡大する為の「聴く」「伝える」のスキルをプラスしています。

  • キャリア戦略としての管理職
  • 説得力のある人になる
  • 相手のYesを引き出す「聴く力」
  • 人を巻き込む「伝える力」
  • 仕事におけるビジョンの作り方

キャリア戦略としての管理職

キャリア戦略としての管理職のパートでは、まず、管理職になりたい派となりたくない派に分かれてディベートをして頂きました。ここで言うディベートとは、賛成派・反対派に割り当てられた自分の役割で議論をすることです。あまり馴染みのない手法で、最初は相手を論破するというより、お互いの意見交換のようになっていましたが、講師に煽られて徐々にヒートアップして行きました。グループの中を半分に分けて意見を戦わせて頂き、最終的にグループで「なりたい派」と「なりたくない派」の意見をまとめて頂きました。

「なりたい派」になって頂いたグループの意見です。

・肩書き・退職金・責任・自由度・やりたい事ができる・給与が増える・やりがい!

・経営思想と実務スキルを合わせた楽しみ・キャリア・発言力UP・責任ある仕事ができる

・会社に対してより強い意見が言える・成長できる・情報が増える

・視野が広がり、新しい物が見える・仕事規模が大きくなる

・様々な業務ができる⇒自分のためになる・退職金が多く出る

・自分の判断で仕事ができる・経験がつめる⇒成長

・業務の全体が見れる・指示ができる(方向性が明確)

・部下が育つ喜び・現場に出なくていい

「なりたくない派」になって頂いたグループの意見です

・責任を負いたくない・新しい事を覚えたくない・作業が増える・自由がなくなる

・プレッシャーが増える・残業代が付かない・部下とのコミュニケーションが難しくなる

・社内調整が大変・やれる気がしない・ストレスがたまりそう

・板ばさみで自分を見失う・会議が多く他の仕事が出来ない・愚痴が言えない

・孤独…・自分に自信がない・今に満足している・出世を望まない・マネジメント・スキルがない

・人を評価したくない・人に謝るのが嫌!・下の人と飲みに行って上司の悪口を言いたい!

・自分の時間が取りたい・飲み会で多く払わなければならない・やれる気がしない

・社内調整が大変・責任がのしかかる・家に早く帰りたい・上司のように冷静になれる?

・管理職は悩むことが多くなる・現場から離れる・収入が見合わない

・飲み会で多く払わなければならない

なりたい派の方は、グループを超えても同じような意見がでていましたが、なりたくない派は、自信がない系から責任を負いたくない派まで多様な意見がでていた印象です。

なりたくない派は現実に即して、自分の上司と照らし合せて考えれば、バラエティに富んだなりたくない理由が出てきている様子でしたが、なりたい派の担当の方々は、「給与」「責任」「やりがい」「発言力」など一般論に終始しているグループが多く、「部下育成の楽しみ」が唯一1グループから出たのみで、実際になった時のイメージが抽象的な事が見て取れました。人を成長させる意義のある仕事という意識は、ぜひお持ち頂きたいところです。

演習のやり取りを通じて気づいたのですが、上司になりたいか、なりたくないかを考える時に現在の上司に投影して考えてしまうと、酷な言い方をすれば上司の当たり外れで考え方に影響が及んでしまいます。一般論で考えると今度は思考が浅くなりますので、このような機会で他の同世代、同職位メンバーと議論するのは、思考を深める良い機会になると私は考えています。今回は、議論をし、共有をし、講師から傾向をコメントさせて頂き、良い点も今一つである点も理解した上で、では管理職になる為には、どのようなビジネス・スキルが必要になってくるのかをお考え頂くことにしました。

リーダーとしての影響力拡大の為の説得力とは?

その後、説得力のパートに入って行きます。兎に角、説得力がありすぎて困る講師、このあたりから、講師のパワフル度がさらにアップして行きます。今回は、お客様からもご要望の多い、弊社の「聴く力」「伝える力」をリーダーの方向けにアレンジしました。多くの方に、ビジネスでYesを頂き、成果を掴む為の説得力を身に着けて頂きたいと切に願います。

おなじみのインタラクティブ、アドリブ満載で研修は進みます。毎回ですが、もうやってみないと、どういう展開になるのかは私にも判りませんが、受講される方の現場にマッチした事例やご感想が頂けた時、研修が輝きます。

ご紹介させて頂いた以外にも、1日コースにぎっしり、リーダーとしての説得力の高め方、リーダーとしてのビジョンの持ち方等を詰め込ませて頂きましたが、そのご感想については、以下にご紹介するアンケートコメントでご覧ください。今回は、お客様のフォームで通常の弊社アンケートとは異なる5段階評価でした。初回が4.4平均、2回目が4.3平均の評価を頂戴しました。

アンケートのコメント/良かったこと

  • 管理職に必要なスキルは「コンセプチャルスキル(ものごとの本質をサッと見抜く力)」とのこと。また「心地よいトークの間合い」も勉強になりました。今日からの日々でこれを意識して過ごしていきます。
  • 本研修は最終的に「自分自身の仕事におけるビジョン」をもつことがゴールでしたが、日ごろから自分のなかで「ビジョン」を考えて準備していないと、そのビジョンを相手に伝えることなどできず、まだまだ会社のこと、仕事のことを、深く理解を深めなければならないと思いました。
  • 本研修にて、自分自身の仕事におけるビジョンを持ち、組織の中で自分を活かし成長に繋げていきたいと強く感じました。
  • どうしても、アドバイスや「一緒に頑張ろう」となってしまうことが多いので、そこで終わらせずに相手の立場に立って会話ができるようにしていこうと思います。
  • 相手に説得力を持って伝えるということが苦手なので、今回の研修は全体的にわかりやすくチャレンジできる内容だった。
  • 現在の自身の心境に大変マッチしていたこと。これはタイミングもありますが、業務上で他者と衝突があり、人との接し方や自分自身の気持ちのコントロールで悩んでいた時期でしたので、非常にモチベーションアップにつながる研修でした。
  • 各スキルを理解していると実践できるには大きい違いがあることを再認識しました。
  • 相手への伝え方、説得力のある話し方の具体的な手法がよく理解できた。信頼関係、聞く力の大切さがよくわかった。
  • 対外的にはできていると思っていたコミュニケーションも、社内のメンバーに対しては、あまりできていないことが良く理解でき、有意義だったと感じました
  • リーダーとして足りない点、および、そもそも5等級、管理職を目指すのかといった点について、改めて考えるきっかけになったから。
  • 抽象的な概念ではなく、具体的スキルとしてのコミュニケーション術が学べたこと。今後継続して練習・実践することで効果があると感じられたこと。
  • 過去、受けたことのある内容もあり、根拠もなく出来ていると過信している自分に気付きました。

アンケートコメント/研修スタイル

  • 研修とワークのバランスがよく、研修で学び何となく出来るつもりになっていても実際対応すると出来ていない事に気付かされた。
  • 過去受講した研修の中でも1,2位を争う分かりやすさと面白さでした。今後もこのような研修を受講できる機会が増えるとありがたいです。
  • 専門的でなく、とっつきやすい内容の研修で、ところどころグループディスカッションもあり飽きない研修でした。 説得力のあるリーダーを目指しているので、とても参考になった。
  • ただ聞いているだけではなく、2~3人でグループを作って実際に練習する時間や4~5人グループでの話合いがあって眠くなることなく楽しい充実した時間が過ごせました。
  • 説明5:実践5くらいの割合で、頭では理解しても、実践となると中々出来ないと実感させられた点
  • プログラム全体としては、丸1日の時間であったが、進むペースが適度で配布資料も見やすく、スライドもわかりやすかったのでよかった。研修内容については盛りだくさんで、実用的であると感じた。
  • これまで行ったことのないような研修で新鮮でした。
  • プログラムの内容がよく考えられていて理解しやすかったのと、講師の方が対話しながら進めていくので、一方的な研修ではなく楽しめたから。
  • 時間に対して、内容に余裕があり事前に講師からも内容によっては合う合わないがあるので、自身で自分に合う物をチョイスして的なコメントが個人的にはリラックスして研修に挑めた。

アンケートのコメント/講師褒められました

  • はじめから、講師の実力がとても高いと感じたので、集中して話を聞くことができた。
  • まずは講師がよかった。講師の話を聞くことと、グループディスカッション(ワーク)のバランスが良かったと思う。
  • 講師が良かった。その場の雰囲気を明るくして下さる方で、内容がより分り易く話し易い環境を作り出してくださることで、より充実した研修となった。
  • 講師の方の進め方のテンポがよく声が聴く易かった。入社以降、外部講師による研修を初めて受講しました。
  • 研修内容が講師の経験に裏付けられたものであるため、大変関感心させられると共に、事例も分かり易い内容であったので理解を深めることが出来ました。
  • 柏講師の研修の進め方がリズミカル且つ理解しやすく、受講者と常にコミュニケーションを図りながら進めていた点が非常に素晴らしかったです。
  • 実際に営業で活躍されていた方のバイタリティ溢れるお話を聞けてとても刺激になりました。
  • 外部講師の選定が最適だったと思います。営業のご経験・マネジメントのキャリアに裏付けられた説得力のあるお話。人材開発に関する専門的な知見/技術、そして滲み出るお人柄・バイタリティ・ポジティブマインド。恵まれた研修であったと感じました。
  • 先生の説明がすごくわかりやすい。
  • 全体的にリズムの良い進め方で、思考が停止することなく最後まで参加することができました。また、講師の柏さんの話には自然と引き込まれる魅力がありました。
  • 柏先生の講座はおもしろかったので、また別の研修があれば是非受講したいです。

アンケート/ネガティブなご意見も

一方で、少々ネガティブなコメントも頂きました。講師の事例が営業の事例が多いので、これは営業の人が受講された方が良い研修ではないかという疑問をアンケートに書かれた方もいらっしゃいました。これは、そもそも営業職をやりながら確立した実践的ビジネス・スキルですので、私にとっては改善の難易度が高い部分でもありますが、せめてパワーポイントに出す事例を営業以外のもとする等の検討も必要でしょう。しかし、事例は生事例の方が、受講者の方に伝わりやすい為、悩むところではあります。

また、一流の企業様には良くあることですが、優秀な方々ほど「恥をかきたくないという意識」があり、アンケートにも「発生練習には戸惑った。プレゼンのお題でATMJ会社を売り込めという題材は、普段経験がない為、難しかった。」と書いて下さった方がいらっしゃいました。

普段やったことがない事をして頂いたり、いきなり1分間で会社のサービスのプレゼンをして頂いたりしたのですが、意図としてはリーダーとしてのプレゼンスを上げて頂きたい事、そしていきなり実践して頂くのは、現在ご自身ができない部分に気づいて頂く為の演習構成なのですが、今後は企業の風土によっては、配慮が必要と感じました。

次世代リーダー育成に必要な要素「意識の醸成」

次世代リーダー育成に必要な要素とは、何でしょうか?リーダーとしての人格形成からマネジメント・スキルまでそれは、多岐にわたり、とてもこの1日コースで網羅できたとは言い難いと思います。しかし、ある日突然昇格して戸惑うよりも、このような研修での学びをきっかけに、小さなチームで自身が管理職になった時の為の練習をして頂く事は、とても意義のある事と考えます。なかでも「上を目指してみよう」「仕事におけるビジョンを持とう」いう意識の醸成は、重要です。

演習や事例など丁寧に進めたつもりでしたが、「特に研修を受けたことで管理者を目指そうという意識にはならなかったため。」と平均2.6点をつけられた方も1名いらっしゃいました。正直でよいと思います。こういう方が実はハイパフォーマーなのではないかと推察します。

人の気持ちに係わる事ですので、何かをやったから全員綺麗にレベルアップとはいかないのが、難しい所だと思います。

それでも「意識を変えて頂く為のチャレンジ」は、やり続けるべきと強く思います。弊社のミッション(使命)は、「想いをエネルギーに生きる人を育てる」ですが、私は、想いをエネルギーに活き活きと仕事をされる方を増やして行きたいと心から思っています。

(2018年2月実施)

会社名日本ATM株式会社
所在地東京都港区浜松町1-30-5 浜松町スクエア8階
従業員数1,984名(単体)
資本金
資本金:4憶8000万円
URLhttp://www.atmj-g.com/index.html
事業内容金融機関向けATMシステム構築・監視・運用等の提供/行政機関向けアウトソーシング/調査・コンサルティングサービス/教育・研修サービス