In 導入事例

女性トッププレーヤー(管理職候補)向け「マネジメント研修」

日本生命保険相互会社 代理店業務部様で、「マネジメント研修」を90分で実施させて頂きました。対象者の方々は、基幹AP(エージェンシーパートナー)と呼ばれる、代理店様向けご商談をされる方々の中でも、成績優秀、まさにトッププレイヤーの方々約50名です。一部の方は、すでにチームリーダーになられていますが、殆どの方はこれまで個人としての成果を求められてきました。組織としては、この優秀な方々に後輩育成を任せ、そしてゆくゆくは、管理職を目指して頂き組織強化を図りたい所ですが、さて皆様方のお気持ちはどうでしょうか?

難しいのは、管理職になりたい、なりたくないという単純な問題でもなく、支店毎の人員配置構成などにより、すべての方が管理職となる訳でもありません。「管理職を目指して下さい!」というアプローチでは「強すぎる」のです。そこで、今回の研修では、管理職になるチャンスが来た時には、自信を持って手を上げて頂けるように「マネジメントの仕事」ってどういうものか、そしてそれは、普段の営業活動でお客様に行っている事を応用するといいですよという「ソフトアプローチ」を取ることにしました。

会場に入って来られた皆様を拝見して、これは相当手ごわいぞと思いました。それなりの成果を出して来られて来た皆様ですので、なんと申しますか良い意味で「面構え」が男前な方多数です。(全員女性ですが)。「薄っぺらな事など、この忙しいのに聞きたくもない」というように心を閉ざされた残念な結果にならないように、まずは皆様とのやり取りを多めにして、「なんでも言える」場を作ろう、講師と受講者ではなく、お互い成果を継続して出して来たトップ営業同士、部下育成について意見を戦わせてみようと思い、スタートから、かなり踏み込んで自己開示や参加者を巻き込むアイスブレークで一気に場の空気を作って行きました。(自分でもこの辺りのアドリブ力というのは、恐ろしいものがあります。)

共感が波のように広がる研修

結果的に、こちらの写真のような笑い声の溢れる中、時に真剣に、そして辛辣な事もズバズバお互いに言い合いながら、研修は進んで行きました。

たとえば、「メンバーとは決裂しています」とスパッとおっしゃった方がいらっしゃいましたが、その際に私自身の「決裂事例」もご紹介して、その際何が頭に来たかって「私を飛ばして直接部長とやり取りされてしまったこと」などを赤裸々に話すと、そうそうそうと周囲を気にせず頷いて下さる方がいらっしゃる訳です。このような場面は、特に大手企業の男性の管理職研修では絶対に見られない傾向です。ひどい場合は、となりのチームの答えを聞いて、わざわざ解答を変えたりして、しかもそれが間違っていたりという場面を何度もこれまで見て来たので、研修の場とは言え、このような事に周囲を気にせずに同意したりできるのは、女性ならではの感覚かも知れません。

だからこそ、この感性の違いを活かす為にも、もっと女性管理職が必要だと私も切実に思います。今回の研修では、そのような共感のウェーブが生まれる瞬間に何回か立ち会う事ができました。

研修の構成

研修の構成は以下の通りです。寒気がするほどコンテンツぎっしりです。時間通りに納品する為に、相当な練習が必要でした。あとひとつコンテンツを減らせば余裕でしたが、完成度、ご満足度を高める為にですので、仕方ありません。

・プレイヤーから管理職へ
・マネジメントを目指すメリット
・チームマネジメントの4つのフレーム
・チームメンバー育成の為の対話
・チームメンバーの価値観を見出す
・動機づけの方法
・チームビジョンの大切さ

チームマネジメントの4つのフレーム「方向性」「育成」「動機づけ」「チーム生産性向上」として、方向性を示して、部下を育成、動機づけをすることで、チーム生産性の向上につながるというお話をさせて頂きました。90分という短い研修でしたが、このフレームについては、現状分析をお隣の方として頂きました。生産性(成果)を求められる仕事の為、生産性に目が向きがちのようでしたが、他の方の話を共有することで、育成や動機づけの大切さに皆さんが気づかれて行くのが判りました。

お伝えした具体的な手法は、営業場面でお客様に使っている事を部下に応用して頂く事です。お客様に共感するのが提案力のある営業の聞き取りスキルとして重要だという認識があるならば、部下に対しても同じように、まずは相手に共感することが重要というお話をして行きます。

ご反応で面白いなと感じたのは、全編通してもっとも頷く方が多くてこちらが驚いてしてしまったのが、共感の現場事例の時のお話をさせて頂いた時です。「法人営業は一発勝負です、初回面談で共感の場が上手く作れないのに、大きな売上に繋がる事などありません」とお伝えしましたら、もう凄い勢いで皆さん頷いて下さいました。法人営業同士最も通じ合った瞬間でした。私はすぐに次の営業研修で、法人営業のトップクラスの方々から頂いた生事例として、「法人営業は、居あい抜きだ」というコンテンツを追加しました。

相手の価値観(考え方、判断基準、理想など)を聴きだす為の聴き方のスキルも具体的な演習をどんどん入れながら、進めて行きました。会場は上手く通路が走っておりましたので、私もみなさんにマイクを持ってお話を伺う事ができましたし、どんどん当てられてしまうので、どの設問も皆さんには真剣にお考え頂く事ができたようでした。ペア演習中の時間も無駄にせずに、それぞれのペアを回って行くと、どんどん率直な質問も飛び出します。

講師の課長時代、部下育成はまさに失敗の連続

私が自分自身の管理職時代に学んだ事は、部下の価値観を無視して「自分のやり方」を押し付ければ、確実に失敗するという事です。ところが、特に管理職である本人が驚異的な成績を出している場合、押し付けはダメと頭では理解していても、気が付けばまたしても「自分の成功したやり方」を押し付けてしまうのです。この辺りは、「とにかく何か買ってみろ」と無理やり冷凍サケを30-40トンも部下に買わせて相場暴落で大損させてしまった事例、しかもそれほど失敗したのに、次に下についた部下にも、またしても同じ事をさせて同じ失敗をした事など、赤裸々な講師事例を使ってお話をさせて頂きました。この育成失敗事例の2連発は、直前に担当者様にアドバイスを頂き殆どアドリブで入れましたが、とても皆様に響いていました。

チームモチベーション

チームモチベーションについては、まず自分自身がどのような場合に、モチベーションが上がるのかをディスカッションし、そこから理論的な説明に入って行きました。「私がやる気が出るときはねぇ」とマネジメント研修とは思えない、和やかさでディスカッションが進んで行きます。もうこのあたりまで来ますと、最初にみなさんが管理職になりたいのか、なりたくないのか、なれるのか、なれないのかと気を使っていたのが嘘のように抵抗なく、もし私がチームを持ったらこうしようという展開に自然になっています。

仕事におけるビジョン

今回は、マネジメントの仕事のひとつ、方向性を示すという事を体現して頂く為に、チームを持ったらチームのビジョンを部下と一緒に作りましょうというお話をさせて頂きました。こちらの会社では、常に「使命と誇り」を持って仕事をしましょうという事が、あらゆる場面で問われます。そのしっかりとした哲学(フィロソフィー)があるからこそ、この話も生きてきます。

弊社のコンテンツで人気なのは、やはりタラバガニの下敷きになって水産商社時代のキャリアを棒にふってしまった講師の事例です。今回もビジョンのお話の後に、まとめとして、目標を持つことの大切さ、
最後は、みなさんがどのような想いを持っておられるかが大切ですというお話をさせて頂きました。カニの下敷きになってバリバリのキャリアウーマンが寝たきりになったり、復帰したものの取引先に強烈なダメ出しをされて人生最大の危機を迎えたり、まさに波乱万丈、そこから目標だけを頼みの綱に立ち上がるお恥ずかしい講師事例ですが、単なるマネジメント研修で終わらず、最後は、「結局自分自身がどうありたいか?」ご自身のビジョンや想いに、それぞれの方が想いをはせ研修を終了しました。

ご担当者様からのコメント

柏先生のお陰で、受講者皆の表情がどんどん変わっていくのを、非常に嬉しく有難く思いながら、また、ポストがどうあれ、人生において、こういった機会を提供することは、非常に重要であるということを、実感した時間でございました。