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今、人事系の方たちの間では、政府主導で推進される「働き方改革」の話題がかなりホットです。
厚生労働省のページには、「働き方改革」について以下のように記述されています。

『「働き方改革」は、一億総活躍社会の実現に向けた最大のチャレンジであり、日本の企業や暮らし方の文化を変えるものです。厚生労働省では、女性も男性も、高齢者も若者も、障害や難病のある方も、一人ひとりのニーズにあった、納得のいく働き方を実現するため、「働き方改革」の実現に向けて取組を進めていきます。』

働きすぎ防止の為の「長時間労働対策」や「休暇取得の推奨」、勤務時間中に適度な休憩を取らせる「勤務間インターバル制度」など、広く働き方に対する取り組みが行われています。1980年代の商社ウーマン時代は、今なら言語道断の月間135時間の残業をしていた私としては、「働き方改革」とは、実に良い世の中になった、このような考え方や施策が広まれば、働き易い環境が作れるかもと思いましたが、実際は持ち帰り残業が増えていたり、はたまたその残業代も含めて生活の糧と考えていたので、「残業が減る=給料が減る→困る」という図式の方がいらっしゃったりと、そう簡単ではないようです。

そして私のご面談先である各社の人事部の目下の興味は、施策の自社にあった効果的な運用というよりは、働く時間を減らした分をどのように取り返すかに尽きるようです。つまり一人一人の働く時間を減らした分は人員の補充ではなく、個々人の生産性の向上で補う必要があるという考え方です。早く帰ってもらう、だから仕事の時間が減る、生産性を上げなくては・・・・・という論理展開です。

そのような状況の中で「働き方改革」という事で、日系企業の人事部で、運用管理の面倒もありテレワークの話が主たる話題になる事は今のところあまりないようです。テレワークとは、『tele:離れた場所で』『work:働く』という意味の造語です。ICT(情報通信技術)の活用で、時間や場所にこだわらずに柔軟に働く事を指します。在宅ワークや営業の方はすでにやっている事と思いますが、PCさえあればカフェ等でも働くモバイルワーク、本社ではない場所のオフィス、いわゆるサテライトオフィスで働く等がテレワークにあたります。怪我や病気、育児、介護など、これまで働けなかった方々も働けるようになる労働人口の減少の打ち手としても有効な施策ですが、私は、このテレワークの積極的な導入こそ生産性向上の鍵だと考えています。

前職の外資系研修会社ではコンサルタント、つまり営業職でしたので、お客様との面談があれば基本的に直行直帰が認められていた為、パソコンを持ち歩いてどこでもモバイルで仕事をしていました。会社の場所より、自宅の場所の方が各方面へのアクセスが良かった為に、他のコンサルタントのトレーニングを担当する日とミィーティング以外は、平均すると週に2回程度とあまり会社に寄り付かずに仕事をしていました。

退職する最後の1年ぐらいは、さらに会社に行かなくなり、他の方はちゃんと会社に行っていたので、あくまで例外的にだと思いますが月に1-2度くらい。お客様訪問がなくても自宅で仕事をするという働き方は、まさに在宅勤務テレワークでした。
営業職で裁量労働に近いという前提条件付きですが、私自身が感じたテレワークのメリットとデメリットは以下の通りです。大きなメリットは、働く場所と時間を選ばす成果を出せる事ですが、
ここでは、自分がテレワーク(在宅勤務型)をして見て感じたメリットを少し詳しくご紹介します。

テレワークのメリット

  1. 通勤時間がないので、会社往復の時間と出勤準備時間(化粧時間等)が丸々浮く
    メリットの中で特に素晴らしいのは、通勤時間と身だしなみの時間が丸々浮くことです。
    通勤が1時間の方は、通勤だけで2時間、それに着替え、女性の場合は、化粧時間など含めるとさらに、最低プラス1時間程度浮くのではないでしょうか?真面目に働くことを前提に考えれば、これだけでも在宅勤務型のテレワークのメリットは大きいです。
  2. プライベートの時間との調整が容易(家事・育児・介護・自己投資の勉強など)
    就労人口を増やすという意味でも、非常に大きなメリットです。女性活躍推進、シニア活躍推進も含めて、仕事の時間を自ら選べるというのは、大きいです。
  3. 自分の最も生産性の高い時間帯に集中して仕事をこなせる
    私は生産性の高いのが早朝の為、4時に起きてすぐ仕事を始めると、朝食を食べる時間を除いて9時までに5時間近く、昼までに1日分の仕事ができます。
    私の場合、昼食時間を挟んでだいたい3時ぐらいまで働いて(体力的にも頭の回転的にも)電池切れになって終了という働き方でした。このような働き方の選択ができた為に、第2のメリットとも関連しますが、私は、4時には夕食の支度をして夜間は大学院へ通うという事ができたのだと思います。
  4. 成果にフォーカスした仕事の仕方となる
    誰にも監視していないところで仕事をするので、勢い最終的には誰にでも判るように成果で結果を示す必要があるので、より成果にフォーカスした仕事の仕方となりました。私の場合、お客様訪問で外へ出てしまう事も多く、全くの在宅勤務日は提案書を作り込む為の日となり、週に1度ほどでしたが、その日は必ず他のメンバーに提案書のひな型を一斉共有する日としていました。
    また、自分の好きに任せて貰っている(泳がせて貰っている)という自負とか誇りでしょうか、私の場合は、モチベーション高く仕事に取り組む事ができました。

ちなみに数年前にボスが変わって、できるだけ会社に来て欲しい等と言われると途端にやる気が消失したのを覚えています。これは、モチベーション理論でも良く言われる事なのですが、一度貰った特権を取られてしまうと反動が物凄く大きいので、人の感情としては、当たり前の事です。
それだけに、このような制度を新しく作る際には、メリットもデメリットも考慮の上、慎重に制度策定をされることが望ましいと考えます。

次回は、テレワークのデメリットとその克服の工夫をお伝えしますが、先にデメリットをご紹介しておきます。

テレワークのデメリット

  1.  強い意志力がないとサボる
  2. 上司との信頼関係がないと報告に時間と気を遣う事になる
  3. 会社へ行く頻度が下がると情報収集ができなくなる(孤立感)
  4. 職務レベルの低い人がテレワークすると学びの機会を失う