In 導入事例

法務省保護局様で組織理念についての研修を実施させて頂きました。

法務省保護局は、更生保護といって罪を犯した人たちが、自立更生する為の指導や支援を目的とする法務省の組織です。罪を犯した人たちや非行のある少年たちの社会復帰を支援する保護観察官と病気の為に重大な他害行為をした人(医療観察制度の対象者)を支援する社会復帰調整官の仕事があります。今回は、大変なお仕事ではありますが、社会的に意義ある仕事に取り組まれる皆さんが、改めて仕事の意義を考え組織の理念(ミッション・ビジョン・バリュー)を、複数日程をかけて創り上げるという事で、その冒頭2時間の研修を担当させて頂きました。

私は、これまで、一般企業向け研修ばかりでしたので、 日本の中枢を担われる霞が関の方々というのは、いったい、どのような方々なのか?「今日は、民間の講師の方もお招きして・・・」などと紹介されてしまいますと、更に緊張感が増すばかりでしたが、始まってみればアッと言う間にみなさんとひとつになれとても楽しい時間を過ごさせて頂きました。初めての中央官庁での仕事とは思えない私の弾けっぷりは、勇気あるこのプロジェクトの責任者の方が、かなりの部分お任せ下さった事が大きかったと思います。伸び伸びやらせて頂きました。

今回は、正式には更生保護管署職員の職業倫理要綱(仮)策定プロジェクトというものの冒頭の研修です。名前からして、めまいがしそうな固さです。全国の現場の保護観察官・社会復帰調整官・管理職のうち次世代を担う方々が代表で集まられ、組織の理念を作るのです。「柏先生には、冒頭の理念に対する講義をお願いします」と言われていましたが、グループ島形式でお座り頂き、いつも通り、ガンガン個々の方々とやり取りしながら、進めてしまおうと決めていました。恐らくこれまで通りスクール形式で並んで座り、真面目にメモを取って頂いた所で、新しいものは生まれないと考えたからです。

私の役割は、経営理念の専門家として「経営理念とは何か?なぜ必要なのか?を明らかにすること」、そして年明け後も続くこの策定プロジェクトに参加される皆さんに「この策定プロジェクトの素晴らしい意義」をお伝えして、最後までモチベーションを保って粘り強く策定に係わって頂く事です。経営理念の専門家を作りたい訳ではないのです。

責任者の方のオリエンテーションのご挨拶は、何の為に、どのように考えて進めていくべきか?そして、外に向けて仕事内容の理解を進めていき、みらいの仲間たちにも思いを届ける事、そして何よりこのプロジェクトに参加する事で、専門家としてのアイデンティティを見直す機会になる事を願っていますという主旨でした。このご挨拶がご参加の皆さんにも、そして、私にも強く響きましたので、このご挨拶を軸にして研修を進めて行きました。このように柔軟に内容に手を加える事が出来る所は、自分自身がコンサルタント兼講師の強みだと思います。勿論優秀な方々への研修ですから、理論で紐解いて事例で解説という順序は組立上強く意識しました。

しかし、理論の話を5分も続けるとある問題がある事が判りました。理論の話をさせて頂くと皆さんとても真面目にメモを取って下さるのです。このままメモを取って頂きながら勉強で終ってしまってはグループ島形式でお座り頂いた意味がないですし、どなたの心も動かせないと私自身がいつにも増してエンジン全開になりました。

冒頭申し上げた通り、特に力を入れたのが、単に策定するのではなく、策定に係わる意義を感じて頂く事、この策定のプロジェクトにやりがいを感じて頂く事です。今年度も沢山の経営理念策定研修を実施させて頂きましたが、各企業の目的は、共通のゴール、共通言語、良質な企業文化と様々ですが、私へのご依頼に限って言えば、理念策定や改定の目的No1は、「従業員のモチベーション向上」です。つまり理念浸透は「共感が鍵」という事を常に申し上げている私の理論から申しますと、共に創り上げるその過程こそが大切となります。そのような民間企業事例を紐解きながら、「職員モチベーションと組織理念の係わり」について、特に時間を割きました。いったいモチベーションの話でなぜそのように楽しそうに進行しているのかというのは、秘密です。現場の話をざっくばらんに話して頂きながら、進めているのです。

下の写真をご覧頂くと、皆さんが講師の方を向いて下さっているのがお判りになりますでしょうか?講師の動きを目で追って下さっているのです。この素晴らしい集中力が最後まで続いたのは、流石としか言いようがありませんでした。

実はオリエンテーションの時間を15分削って頂きプラスの御時間を頂いた為、最後は、商社時代にタラバガニの下敷きになってキャリアが崩壊し、その際にビジョン(目的・目標)を持つ事の大切さを学んだお話をさせて頂く事ができました。今回選抜メンバーで組織理念を創って終わりではなく、ご参加の皆様が熱い心を持って各職場の推進役(アンバサダー)となって組織を変えて行く為に私の経験が刺激となれば幸いです。

数名の方に皆さんの前でご感想を共有して頂いたのですが、「分厚い書類を事前に配布された時は気が重かったが、やる気になった」というご感想や、「発想が変わりました。組織が何を求めているかではなく、私がどうありたいかで良いんだという事ですね。」というコメントが印象的に残りました。

このプロジェクトチームが組織理念を創り上げる過程では、これまでの慣習など様々な障害にぶつかることと思います。しかし、自分たちも活き活きと働く続ける為に、もし変えて行きたい、変えた方が良いと思う組織文化があるならば、自分たちの手で変える勇気をお持ち頂きたいと思いました。また今回ご一緒にお仕事をさせて頂いて強く感じた事は、更生保護の仕事は民間との連携が非常に重要な要素となる事です。それぞれの方が、判り易く自分たちの仕事の意義を定義できること、それが結果的に更生保護という意義ある仕事を世の中に広め、多くの人を助ける事になる事に繋がるのだと思いました。

(2019年12月実施)